フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« ウイスキーと私 | トップページ | Hitachi Innovation Forum 2014 二日目 大前研一氏講演『グローバル競争の考え方、日本企業の戦い方』 の苦言 »

2014年10月31日 (金)

Hitachi Innovation Forum 2014 ロジャー・パルバース氏講演『日本は、世界を救う?』

 HITACHI Inspire the Nextの日立製作所が主催するHitachi Innovation Fprum 2014の講演、作家で演出家のロジャー・パルバース氏の『日本は、世界を救う?』を聞いてきた。

2014_10_30_80122

 ロジャー・パルバース氏は1944年、ニューヨークはブルックリンのユダヤ人の家に生まれた。1964年に初めて外国旅行をしたのだが、その先は当時フルシチョフが首相を務めていたソ連(現ロシア)だった。

 その当時の思い出は、ソ連共産党の機関紙「プラウダ」に掲載されている政治家の演説だったそうで、各パラグラフの終わりに、必ず「嵐のような拍手」というのが書かれていたそうだ。まあ、フルシチョフになってスタリーン批判を行ったわけであるが、それでも大政翼賛会的状況は変わっていなかったということである。その後、ワルシャワ大学へ留学したのだが、そこでスパイ事件に巻き込まれ、自身はスパイではなかったが、それでもベトナム戦争に対する反発もあり、アメリカを離れ1967年に初めて日本へやってきた。

 67年に京都産業大学でロシア語とポーランド語を教え、72年にオーストラリアへ行き、そこでオーストラリア人に帰化した。

 その当時、日本人は「エコノミック・アニマル」と呼ばれ、同時に「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とも言われたのであるが、パルバース氏に言わせれば、むしろ「エコノミック・アニマル」は日本人ではなくてアメリカ人のことではないか、ということである。つまり「経済が第一」という考え方は基本的にアメリカ人の考え方だというのである。

「失われた20年」という考え方がある。つまり1991年のバブル崩壊から立ち直っていない日本経済のことをいうのであるが、その後のアベノミクスがなんとかそれを立ち直しているように見えるが、それもパルバース氏にいわせると「アベノミクスは氷山なき氷山の一角」だというのである。つまり、その下に氷山がないけれども、表向きは氷山の一角があるように見える、マボロシだといういうのである。確かに、アベノミクスは何ら実体がない「掛け声」だけの経済政策であり、表面的には量的緩和はあるが、それだけであり、その「気分」だけで円高と株価高が演出されているという、経済の実態を伴わない、「気分だけの好況感」であるのは確か。まあ、それでも株価が上がるのはいいけどね。しかし、それが働いている者の実感にはなっていないというところが問題なのだろう。

 明治の歴史を振り返ってみると、明治元年から20年間、明治45年の歴史から見ると明治時代半ばまでは日本は停滞の時代だった。つまり、明治の失われた20年だったのだ。まだ、日清戦争の前である。日本は、あるいは日本人のアイデンティティは確立されていなかった。その頃、日本の隣国は疲弊していた。その結果、日本は帝国を作った。

 今はそうではない。

 しかし、今、中国とアメリカの両方を深く理解しているのは唯一日本である。だから、その間に立って日本人独特の外交が必要なのではないか。

 その為には、日本人自身が日本の文化に自信をもって、外国に向かって発信していくことではないだろうか。それが今は中国がやっている。しかし、アメリカはキリスト教だし、中国は共産主義という「思い込み」がある。その観点からいえば日本は世界で一番大きな「世俗的民主主義国」である。日本人は宗教は大切にするが、だからといってその宗教に影響されているわけではない。この特定の宗教やイデオロギーに染まっていない日本という国の国民はなんて素晴らしいのだろう。

 現在「MASK」という現象がある。「M=マンガ、A=アニメ、S=寿司、K=カラオケ」なのであるが、例えば、今世界中の若者は寿司を食べたいと思っている。ところが、世界中の寿司屋は韓国人が経営しているものが多い。つまり、日本人は日本文化や日本語が世界に対する普遍性がないと思っている。

 例えば、日本語はあいまいな言語で、日本人たちの「以心伝心」は外国人には分かってもらえないのじゃないか、と考えている人たちが多い。しかし、そうやって外国人にたいして日本文化を伝えないようにしていると、失われた20年は30年にも40年にもなってしまう。

 もはや大事なのは経済や政治ではなく、文化だ。

 いかにして、日本文化を伝えるのか。

「今の若者はねえ」

 という言葉をよく耳にするが、問題は今の若者ではなくて、その上の世代が彼らが本当に進めるような道を作っていなかったのではないか。自分たちが経済的に豊かになることだけを考えて、先祖から過去を受け継ぐのではなく、子どもたちから未来を借りるという発想を持っていなかったのではないだろうか。

 宮沢賢治が生まれる少し前に大地震があって2万人の人が死んだ。賢治が亡くなって直後にも5千人の人がなくなる地震が東北地方にはあった。しかし、賢治はそういった大きな事は書いていない。何故か?

 彼の作品には「勧善懲悪」はない。それは大きすぎて書けないのだ。問題は「大事なのは一人一人の関係」だけだ。沢山の人を助けたいとなると、政治家の美辞麗句になってしまう。問題は、そんなことではなくて、人ひとりひとりの関係だけなのである。

 人間にはNarrative(説話)というものがある。ユダヤ人には長い長いnarrativeがある。その中でもホロコーストがいちばんの中心的要素である。

 日本人にも広島、長崎があるはずである。ところが日本人は広島、長崎をNarrativeにはしなかった。もししえちたら、福島(原発)はなかっただろう。

 これからの世紀は、知識は過去を語る情報ではなく、未来を予言する道具になる。先祖から過去を受け継ぐのでなくて、子どもたちから未来を借りるのだ。

 そう考えて、日本文化を世界に発信することによって、「日本が、世界を救う」になって欲しい。

 ということで、日本通のパルバース氏らしく

「ちょうど、時間となりました」

 という浪花節の一説で、講演を終えたのであった。

Hitachi Innovation Forum 2014は昨日と今日開催。公式サイトはコチラ

« ウイスキーと私 | トップページ | Hitachi Innovation Forum 2014 二日目 大前研一氏講演『グローバル競争の考え方、日本企業の戦い方』 の苦言 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/60566746

この記事へのトラックバック一覧です: Hitachi Innovation Forum 2014 ロジャー・パルバース氏講演『日本は、世界を救う?』:

« ウイスキーと私 | トップページ | Hitachi Innovation Forum 2014 二日目 大前研一氏講演『グローバル競争の考え方、日本企業の戦い方』 の苦言 »

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?