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2014年9月 2日 (火)

池井戸潤作『株価暴落』を歩く

 池井戸潤作品『株価暴落』に登場する場所をご案内する。

 9月に入ってブログ新シリーズ「○○○○作『××××』を歩く」スタート。さて、いつまで続くやら。

Photo『株価暴落』(池井戸潤著/文春文庫/2014年8月1日Kindle版刊行)

 今回の作品の舞台は「白水銀行」。確か、「半沢直樹シリーズ」では半沢が所属していた「東京中央銀行」のライバルが白水銀行だったと思うのだが、今回はその白水銀行が舞台。で勿論、池井戸氏の銀行物の舞台は、池井戸氏の出身母体である三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)であります。

『白水銀行の“病院”は、丸の内にある銀行本部ビル十三階にある』

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 今回の事件は、大手スーパー「一風堂目黒店の食品売り場」で爆発事件が起きて死傷者が出たというのがきっかけ。

 この一風堂というのは、会長にカリスマ性のある創業者を抱えており、現在は実質債務超過に陥って、再建途上にある。2004年に書かれたこの作品の多分このモデルは中内功というカリスマ性のある創業者を抱え、1998年に経常赤字を出し、2004年に産業再生法の適用及び産業再生機構からの支援を受けることになったダイエーだと思われる。

 物語の設定上では一風堂の本社は「芝大門」にあるが……

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 ダイエーの本社は現在は東陽町にある。

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『白水銀行蒲田支店は、JR蒲田駅前の一等地に店舗を構えていた。とはいえ、大田区の小工業地区で、不況に喘ぐ中小企業のうめき声を聞きつつ、密集する商店の細かな取引に忙殺される独特の環境にある。それゆえに、白水銀行三百五十店舗の中で、もっとも多忙な店舗として知れわたってもいた』

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 今回のお話は、大田区の蒲田から糀谷、穴守稲荷という典型的な下町の工場地帯が舞台で、呑川周辺が多く出てくる。

 というか池井戸氏の作品には『下町ロケット』なんかもそうだが、この京浜工場地帯が舞台になっている物が多い。池井戸氏が担当していた場所だったのだろうか?

2014_08_30_83702

 西糀谷商店街は京浜急行糀谷駅前から展開している、結構、賑やかな商店街である。

『京浜急行の蒲田の駅前から環状線を南下し、西糀谷の一角で車を降りた』

『ネオ一風堂が進出するとき、地元商店街が反対運動を起こしたんだ。その中心がこの安岡だった』

『「安岡社長は自殺をされたと聞いていますが。その後、社長になられたのは?」
「奥さんですよ」
 大林はクレジットファイルの概要表を開き、代表者欄の安岡文恵という名前を指した。そして一言、「亡くなられましたけどね」と付け加える。
「いつですか?」
「倒産してまもなくですか。心労がたたって。クモ膜下出血だったそうです」
 坂東も概要表の生年月日を覗き込む。
「まだ若いじゃないですか。お子さんは?」
「息子さんがひとり。両親が亡くなったので、親戚の家へ引き取られたという話は聞きましたけれど、詳しいことはわかりませんね。結局、相続放棄したようです。そうなれば銀行はもう関係なくなる」
 息子の名前は、概要表の二枚目にある「代表者家族構成」のところに印字されていた。
「なんと読むんですかね。黄って書いて――」
「コウじゃなかったかな。安岡黄」
「黄……。変わった名前だな」』

『坂東も覗き込む。
 住所と電話番号欄に記載はなかった。代わりに「不明」の文字。
 名前欄には「犬鳴黄」とあった』

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『穴森稲荷駅を降りた黄がまずしたことは、空を見上げることだった。なんとか無事に辿り着いた。時間はまもなく午後七時になろうかという頃で、約束の時間まで余裕がある。道路沿いにあるファミレスに入ってコーヒーを頼んだ黄は、環状線を往来する車の流れに視線を投げながら、由希と会ったとき、なにをどう話すべきか、考えを巡らせ始めた』

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『百名を超える刑事が雨に煙る東糀谷第一公園の内外に展開している。
 胸に仕込んだマイクで何度目かの確認を終えた野猿は、腕時計の文字盤を覗き込んでそろそろ来てもおかしくない、と小声でいった。
 八時五分前だった。
 公園に近い路上に停めた警察車両の助手席で、雨だれがフロントグラスを伝い降りていく様を眺めながら、野猿の胸に浮かんだのは打ちひしがれた東堂由希の表情だった』

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 と、いっても実はここは当然、東糀谷第一公園ではありません。「東糀谷防災公園」というのが正しい呼び方。このそばにも「南前堀緑地」という公園があって、そこの方が羽田旭町や穴守稲荷駅には近いので、作品の設定に近いのかなとも思うのだが……。

 まあ、どちらでもいいですね。所詮、フィクションなんだから……。

 で、実は物語は全然こちらの大田区糀谷付近とは関係ないところで決着するんです。芝大門と丸の内で……って、書いちゃいけない。そう、ここまで書いてきても、全然「ネタバレ」にはならないというところで……、安心して書けたなあ。そう、犬鳴黄は完全な「Red Herring(赤いニシン)」なんですな。これは、面白い。

 そうか、この『株価暴落』が、その後の半沢直樹シリーズに繋がるような、「銀行内部不祥事」ネタに行くんだなというのがよくわかります。

 この『株価暴落』、WOWOWで10月19日から、主人公の白水銀行審査部坂東洋史調査役を織田裕二が演じてテレビドラマ化されるそうです。皆さん、あまり「Red Herring」に騙されないように。

 ああ、それで8月にKindle化だったのか。

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『株価暴落』(池井戸潤著/文春文庫/2014年8月1日Kindle版刊行)

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