フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« 『幻のB級! 大都映画がゆく』のタイトルの意味は? | トップページ | 田宮岩の墓 »

2014年8月 8日 (金)

『銀翼のイカロス』敵は国家権力だぞ。立て餓えたる者よ……てこともないか

 っえーとっ、ネタバレいっぱいありますので、嫌な人は読まないでね。

 読んだ後で、「ネタバレばっかしじゃんかよ」なんて文句をつけられても、私は知りません。

 これまで「銀行の支店長」「銀行の幹部」、更には出向先の証券会社では、結局、「元いた銀行幹部」といった銀行内部の人間を相手にしてきた半沢直樹であるが、この作品ではついにそれを飛び越えて銀行の外の、それこそ国家権力との対峙になるのだった。

Photo『銀翼のイカロス』(池井戸潤著/ダイヤモンド社/2014年7月28日刊)

 今度の相手は、2009年、地滑り的に憲民党から政権を奪い取った進政党が、それまで憲民党が進めていた「有権者会議」を廃止して新たに立ち上げた「帝国航空再生タスクフォース」であり、そのリーダー、大手企業の再建実績が豊富な弁護士の乃原正太、国土交通大臣の白井亜希子、憲民党を離党して進政党を旗揚げした同党の重鎮、箕部啓治である。

 と、こうなればもう物語の設定はお分かりですよね。

「帝国航空再生タスクフォース」とは、2009年9月に自民党から民主党への政権交代が行われて際に、前原誠司国土交通相が前政権下の「日本航空の経営改善のための有識者会議」を廃止して作った「JAL再生タスクフォース」であり、そのリーダーは、野村證券顧問であり元産業再生機構産業再生委員長だった高木新二郎、サブリーダーは冨山和彦、株式会社経営共創基盤代表取締役・元産業再生機構代表取締役、田作朋雄、PwCアドバイザリー株式会社取締役パートナー・元産業再生機構取締役、大西正一郎、フロンティアマネジメント株式会社代表取締役・元産業再生機構マネージングディレクター、奥総一郎、レゾンキャピタルパートナーズ専務執行委員・株式会社ラザードフレールシニアアドバイザー。

 国土交通大臣の白井亜希子は前原誠司ではなくて、多分、蓮舫でしょう。

 そして、一番大事な「憲民党を離党して進政党を旗揚げした同党の重鎮、箕部啓治」とは、言わずもがな「小沢一郎」その人と言わずして誰あろう。

 つまり、今回の半沢直樹の相手は、民主党の(当時は)党首の小沢一郎と、主要閣僚の蓮舫、そしてその蓮舫が指名した「JAL再生タスクフォース」なのである。

 政界の深奥に関わるストーリー。

 最早、銀行内部での「倍返し」の話ではないのである。

 う~ん、大和田常務を土下座させる程度の話の方が、もっともっと身近で良かったなあ。しかし、物語として常に「上を、上を目指す」以上は、結局は銀行内部の話では「頭取」との決戦にならざるを得ないし、中野渡頭取は半沢直樹が尊敬する頭取である以上、それを避けるのであれば、どこか銀行以外の場所に敵を作らなければならないだろう。で、今回はいい標的になったのが、結局、日本政策投資銀行(物語では「開発投資銀行」)という政府系の銀行もさすがに手を投げた案件である「JAL再生タスクフォース」だったわけなのであるな。

「JAL再生タスクフォース」って何だったのか?

 結局、それは単に政治経済音痴だった当時の民主党の幹部たちが、単に「企業立て直しのプロ」を自称した高木新二郎に乗せられて作った、トップがアマチュアの気分集団でしかなかったわけだ。

 確かに、当時JALが抱えていた債務は大変なものがあったのだろう。しかし、その債務の出所の大半は自民党の要請に応じて、赤字路線を大量に作ったこととか、必要のない機材を大量に購入したこととかが原因なのである。

 だったら、その責務は自民党に負わせるべきであり。民主党が「私たちの党が解決します」なんて大見得を切る必要はなかったのである。つまりは、自民党政権と、それに一蓮托生になっていた官僚たちにである。で、その結果、JALが倒産しようが「それは民間企業の倒産です」と言って、知らん顔をしていれば良かったじゃないか。それを何故民主党が解決しなければならなかったのか。

 ひとつは「もっと簡単に解決できるだろう」という甘い読みがあったんだろうと思う。要は、JALの臍帯を持たない民主党ならばそれはできると……。ところが、そうはいかなかったんだよな。結局、JAL利権というのは、自民党だけじゃなくて、各党(多分、共産党以外のすべて)に行き渡っていて、その辺はがんじがらめになった利権の構造で、民主党としてもそれは各議員の段階では結局みんなJAL利権のお世話になっていたということ。

 もうひとつは、JALと対抗するANAの問題もあるだろう。ANAは元々、政府公認のナショナルフラッグキャリアとして国策会社として作られたJALに対抗して民間会社としてのスタートがある。なので、JAL利権というものはJALでしか使えなくて、ANAでは使えない。つまり、国会議員としてはJALの必要性がこれまたいや増すのである。多分、国会議員のお国入りの費用の大半はJALで使っているのではないかな。

 で、結局は進政党の「帝国航空再生タスクフォース」では何も解決できずに、箕部は離党、白井は辞任ということになってしまい、まあ半沢は勝利ということですね。これは、ドラマのお約束。

 そこで「ドラマのお約束」で言っちゃあいけないことがあるんだよな。

 つまり、私は前原誠司が言った「JALは潰しません」という言葉を信じて、ボロカスになったJALの株を買ったと思いなさい。まあ、10万円位ですけどね。でも、「JALは潰しません」という以上は、そんなボロ株を買う意味があるじゃないですか。このボロ株が今後どれだけ上昇するかというね。

 ところが、2010年2月20日に、JALは東証1部に上場廃止になってしまい、私の株も「本当の紙屑」になってしまったという話。

 まあ、JALにはそんな感じでいろいろあるんだけれども、頑張ってほしいという気持ちはある。

 昨年、香港に行った時にも、行きはキャセイパシフィックだったんだけれども、帰りはJALとコードシェア便で、結局、JALで帰ってきたわけだし、まあ、これからも海外に行く時はJALを使うときは多いんだろう(なるべく別会社便を使いますがね)。

 ということで、あまり「帝国航空=JAL」は使いません「宣言」をするんだけれども、どうかな?

『銀翼のイカロス』(池井戸潤著/ダイヤモンド社/2014年7月28日刊)Kindle版も早速出ている。これは買わなきゃ。

« 『幻のB級! 大都映画がゆく』のタイトルの意味は? | トップページ | 田宮岩の墓 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/60113906

この記事へのトラックバック一覧です: 『銀翼のイカロス』敵は国家権力だぞ。立て餓えたる者よ……てこともないか:

« 『幻のB級! 大都映画がゆく』のタイトルの意味は? | トップページ | 田宮岩の墓 »

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?