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2014年8月28日 (木)

いちえふ

 そうか「福島第一原子力発電所」のことを「いちえふ」って言うのか。そんな呼び方をするとは思ってもみなかった。

 しかし、考えてみればそういった場所で仕事をしている人たちもいるんだよなあ。

Photo『いちえふ 福島第一原子力発電所労働器(1)』(竜田一人著/講談社モーニングKC/2014年4月1日刊)

『福島第一原発作業員が描く原発ルポ漫画』っていうけど、竜田一人氏の本職は漫画家であり、本来は「福島第一原発作業員」ではない。当時、漫画の仕事がなかった竜田氏が福島第一原発で仕事を探した理由は、『高給と好奇心、それにほんの少しは被災地の為という義侠心から』というもの。

『安全面についての不安は無かったと言えば嘘になるが、今回の事故について放射線について自分なりに調べてみれば、一部のマスコミや「市民団体」が騒ぐほどのものではないと分かったし、逆に彼らの言う「フクシマの隠された真実」みたいなものがあるとしたら、それを見て来てやろうじゃないか、ぐらいの気分になっていた。
 だが、地元の人間でもない者が入り込むのは一筋縄ではいかず、紆余曲折の果てに1Fで働けるようになったのは1年以上を経た、2012年初夏のことだった』

『最初に入った業者は6次下請け以下という、多重下請け構造の最底辺に位置する会社で、直接の工事作業ではなく、管理業務だった為もあるが…』
 あまりの給与の安さに
『同時に集められた仲間は全国から来ており、それぞれに事情を抱えていて、夏が過ぎる頃には全員が辞めるか、少し上の下請け会社に移るかしていった』

『そして俺も
「実際の工事にかかわれる現場へ」
「うん、まあ、あっけどもねぇ…
 ようやくこうして防護区域内で特別手当も出る会社に』

 ということで、そこからが本当の「福島第一原発作業員が描く原発ルポ漫画」になるわけだけれども、結局この下請け構造が原発工事の一番の問題なのである。

 原子力発電所というものがある以上はそこで働く原発労働者というものが必要になることは当然である。当然そこでは被曝線量が高い場所で働くことが必要であるし、被曝コントロールが必要になる訳であるし、そのコントロール下で働く以上は問題はないわけではないのである。

 しかし、そこでの仕事の仕方が、それこそ6次下請けなんていう下請け構造が問題なのである。勿論、6次なんていう下請け会社の場合はそんなに危険なところでは働かない訳なのだが、これがもう少し上の段階の下請け会社になると次第に危険度は増していくわけである。とは言っても下請けは下請け、事故がおきた場合に上位の会社はその責任を追わない訳であるのだから、その無責任性が問題となる。

 上位へ行けばいくほど、会社の規模は大きくなるし、当然従業員の給与なども高くなるわけだし、そうであればあるほど、万一事故が起きた時の補償額も増える訳である。なので、上位の会社はその危険を避けるために下請け会社に作業を丸投げしてしまうのである。

 当然、その頂点には東京電力などの電力会社がある訳であるし、原子力村の住人がいる訳である。これら原子力村の住人達は絶対に危険なところには行かない訳であるのにも関わらず、原子力行政を決めるのはこれら原子力村の住人達であるという、変な理屈が通ってしまうのが、原子力行政のおかしなところなのである。

 更には、今回の福島第一原発事故で働く作業員の多くが、その事故で自分たちの家や働く場所がなくなってしまった人たちであるということ。

『大野さんの家は全面警戒区域になった大熊町にある。当然今も住めない
「しかし、警戒区域追いだされたのに、また警戒区域さ働きに戻んだから、皮肉な話だっぺ」
「多いっスよね、1Fにそういう人。東電に恨みとか怒りとかないんスか?」
「う~~ん。住む所奪われて怒らねえわげがねえべぇ。だげども事故を起こしたのは、俺達の職場なんだっぺ。こごをなんとかでぎるのは、俺達しかいねえ。それに俺達が、こごをどうにがしねがったら、怒りてえ人だって、戻って来れねぇべ」
「大野さん……」
 住民としての怒りと、労働者としての責任……
 被害者でも加害者でもあるという大野さんの複雑な想いに、俺は言葉を呑むしかなかった』

 という事態の複雑さを感じさせる言葉がある。

『起きちまったもんは、恨んだって怒ったって元には戻んね。出来る事やっていぐしかねぇ』

 という大野さんの台詞が生々しく迫る。

『いちえふ 福島第一原子力発電所労働器(1)』(竜田一人著/講談社モーニングKC/2014年4月1日刊)今や「紙・電子同時出版」を目指している講談社なので、当然、一緒に出ているのだなあ。

 美浜、福島第一、敦賀の原発で仕事をしたルポの本。ここでも結局「下請け構造」が問題になっている。

 あっ、いけね。Kindle版ばっかりの書評になってしまった。紙の本が溜まってきてしまっているんだよな。これを何とかしなけりゃ。

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