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2014年8月19日 (火)

ハートマウンテン日系人強制収容所

 解説者の一人、ジャスミン・アリンダーによって「ヴァナキュラーな写真=家族写真や遺影のような、芸術や美術とは無関係とされてきた無名の職業作家や素人の手による写真」とされた本書の写真は、しかし、ヴァナキュラーな写真であるからこそ、異様な説得力を持っているのである。

Photoコダクロームフィルムで見る ハートマウンテン日系人強制収容所』(ビル・マンボ:写真/エリック・L・ミューラー:編/岡村ひとみ:訳/紀伊國屋書店/2014年7月14日刊)

 本書の原題は「Colors of Confinement: Rare Kodachrome Photographs of Japanese American Incarceration in World War II」、つまり「幽閉された色彩:第二次世界大戦で捕えられた日系アメリカ人の数少ないコダクローム写真」というもの。

 つまり、1935年に発売開始されたコダクロームによる、当時としては珍しいカラー写真による、日系人強制収容所の写真なのである。カメラはやはり1936年に発売開始されたコンタックスⅢaに手製の三脚を使っている。外付けファインダーを使っているということは広角レンズを使用しているのであろうか。望遠系の写真はないので多分そういうことだろう。

 当時のことなのでまだISO64のコダクロームはない筈だ。ISO感度10か25位しかない(からこそ保たれている)外式カラーリバーサルフィルムならではの美しさが今でも保たれているその写真群は、戦争中の強制収容所の中の写真であることを一瞬忘れさせられる。まるで、普通のアメリカに行った日本人と日系人の家族の写真みたいだ。

Photo

Photo_2

Photo_3

 その写真のほとんどは彼=日系二世のビル・マンボの息子や両親、友人や仲間たちの写真である。日系人の強制収容所での写真ではあるが、そんな強制収容されている悲惨さは写されてはいない。むしろ写されている人は皆笑顔である。しかし、あらゆるところにある有刺鉄線に囲まれた場所であることは、同じ写真を見ていればすぐに目に入る。

 同じ人種差別による強制収容ではあっても、それがナチによるユダヤ人強制収容所の悲惨さ、死に向かって強制収容されるという悲惨さはそこにはないが、しかし、ある国民(民族)とその家族を強制収容するということ自体に何ら変わりはない。

 強制収容所ではあっても、そこはアメリカ国民としての意識を持たせることが目的であるのだろう、高校があったり、ボーイスカウトやそのマーチングバンドがあったりする。しかし、同時に日本国民であるという自らの民族意識を同時に持っている証拠である盆踊りや相撲の大会なども捉えられている。まあ、多分その辺がアメリカ合州国という「文化的多元主義国家」というという現実からするところなんだろう。

 ビル・マンボの写真は確かに「ヴァナキュラーな写真」ではあるのだが、同時にそこに捉えられた映像には、アメリカ国民である意識と日系人である誇りが同時に写されているのだ。

 多分、アメリカ白人にとっては、日本から移住してきた人たちが持つ旺盛な仕事への意欲への恐ろしさというものがバックにあって、そこに日本という国との戦争が始まってしまったという事実が、その恐ろしさを強化しすることとなって、結果として日系人を強制収容するということに繋がってしまったのだろう。

 アメリカという国が持つ文化的多元主義というものも、結局はごく最近になって(しょうがないから)認められるようになっただけで、今からたかだか70年前までは一般的な感覚ではなかったんだな、ということの証明がこの写真集『ハートマウンテン 日系人強制収容所』なのである。基本的にアメリカには白人至上主義っていうのがあって、その次にアフリカ系黒人とかアジア系黄色人種ってのがあるのが、実際のアメリカという「ないまぜ国家」である。

 その辺の基本は今でも変わってはいない。

 日本が憲法解釈を変えて「集団的自衛権」って言っても、結局は「アメリカの属国」であるという事実と変わらないようにね。

コダクロームフィルムで見る ハートマウンテン日系人強制収容所』(ビル・マンボ:写真/エリック・L・ミューラー:編/岡村ひとみ:訳/紀伊國屋書店/2014年7月14日刊)

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