東京国際ブックフェア開幕、5日まで
昨日7月2日より7月5日までの4日間、東京ビッグサイトで『第21回東京国際ブックフェア』が開催されている。毎年、7月初めはブックフェアであり、今年もその通りというわけなのだが……
本来、こうしたブックフェアとかブックマーケットというのは版権の国際売買という、どちらかというとインナーのマーケットだったのである。例えば、最も古くからある「フランクフルト・ブック・メッセ」なんかは、基本的にはヨーロッパ全土から各国の出版社やエージェントが集まって、本の著作権の売買、翻訳権や販売権の交渉をする場だった。
まあ、ヨーロッパはそれぞれの国民の人口も少なく、言語もバラバラだったので、ある国で話題になった本も、それを自分の国向けに翻訳しないと出版できないという問題があって、結局、そんな本のマーケットが成立するバックボーンがあったわけである。
そんなわけで、日本の大きな出版社はフランクフルトとかボローニャ(こちらは児童書)などにブースを出展したり、エージェントを派遣したりして、版権の売買交渉を行っていた。
ところがそんなブックマーケットを東京でやるという話が出たのが、今から20数年前。
日本の大手以外の出版社は海外マーケットにはまったく興味がないし、翻訳出版にもまったく興味がないという、完全な内向き状態。そんなところでマーケットを開催したって、ほとんど意味がないのでは、というのが当時の私の観測であった。
で、その観測通り、東京国際ブックフェアは「国際」とは名ばかり、どちらかというと「日本の読者」向けの出版社の宣伝マーケット、廉価本販売マーケットが主体のなんだか、なんでそれが「国際フェア」なのかよくわからないマーケットになっていったのである。
まあ、それはそれで日本のユーザーが書店に足を運んで「読者」になるきっかけにでもなってくれればいいですけれどもね。
ということで、まず講談社ブースへ。
なにやらティラノザウルスの小さいのがブースの入口にましましているのだが……
そうか、講談社が「動く図鑑MOVE」というDVD付きの図鑑を出版して、それまで小学館と学研が占拠していた図鑑マーケットに参入したのが2011年初夏だった。
それが今年は、小学館、学研陣営も動画付の図鑑で巻き返そうとなって、今年は三つどもえで図鑑戦争を繰り広げている。で、今年の講談社ブースは「図鑑」一色なんだな。
毎年、講談社ブースの隣で(ということは入口に一番近い)存在感を示している楽天も、なにやらKOBOがちょっと元気がないので、今年は規模こそ大きいがちょっと寂しい。
小学館は当然「図鑑NEO」を全面的に前に出してきています。
KADOKAWAは「艦これ」かあ、なんか脱力感が漂うんですけど……。
なんか、大手出版社は完全に「読者志向の宣伝の場」という捉え方ですね、ブックフェアは。
で、今年の特集はマレーシアです。
ここだけは「版権売買」というマーケット本来の仕事をしてるっていうか、まあ、マレーシアの絵本とかが日本で翻訳出版されれば何しろ人口1億1千万人の国ですからね。
電子出版EXPOもなんか今年は落ち着いてきちゃったみたいで、あまり「おおっ」というような展示はなく……
毎度のことながらボイジャー社が唯一存在感を示していたっていうところかな。
7月2日、3日はビジネスデー(と言っても普通の人も入れちゃいます)で4日、5日が一般公開デーなので、4日、5日に行った方が面白い出し物なんかも見られるかもしれません。
ふなっしーなんかを呼ぶ出版社なんかが出てくるかも知れないしね……(やれよ富士見書房、宝島社)。
第21回東京国際ブックフェアは7月5日まで、公式に登録すれば無料で入場できます。
公式サイトはコチラ。
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