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2014年7月30日 (水)

『アニメを仕事に!』を是非!

 確かに、絵描きの立場から「アニメの作り方」を解説した本は多いけれども、「制作進行」という立場から「アニメの作り方」を書いた本はない。

 だからなのだろうか、5月22日初版のこの本も6月30日にして既に第三版である。売れているのである。

Photo『アニメを仕事に! トリガー流アニメ制作進行読本』(桝本和也著/星海社新書/2014年5月22日刊)

 著者・桝本和也氏は最初はメルヘン社という小さなアニメ・プロダクションに入ったらしい。入社は2000年のことだったらしいので、私がメルヘン社との付き合いがなくなってから後のことのようだ。メルヘン社というのは、「日本昔話」「ムーミン」「ホワッツマイケル?」などの有力下請制作会社で、小規模ながらなかなか質の高いアニメーションを作っている会社だった。JR大塚駅のそばにあった会社なので、私の会社からも近いところにあった。

 で、「アニメションのプロデューサーになる」という方法も、今やアニメーション制作会社に入るというだけでなく、私のように出版社経由であったり、キングレコードの大月俊倫氏のようにレコード会社経由であったりなど、アニメとは別の業界にいてもアニメーション・プロデューサーになる方法はいくらでもある。

 とは言うものの、別の業界からアニメーション・プロデューサーになるというのは、かなり強く自分の要望を上司に伝える技術と熱意が必要だし、会社がそんな方向に向かうというタイミングの問題もあって、そうそう自分の意思だけでなれるものではない。ということで、取り敢えずアニメ―ション制作会社に入る、それも絵が描けないのであれば制作進行として入るというのが、まあ、一番の方法ではある。

 ただし、アニメーション制作進行というのは桝本氏が書くように『自動車免許と体力があればだれでもなれる職業』だと言われるとおり、基本は「何日でも徹夜ができる体力と、どんなに徹夜しても事故を起こさない運転技術」さえあれば誰でもなれる職業なのだ。そんな職業なので給料は13万円~18万円とメチャクチャ低いし、制作進行から制作デスク、プロデューサーにならないと給料アップはまずない職業なのである。なので、「だれでもなれる職業」ではあるけれども「誰でも続けられる職業」ではない。桝本氏によれば『3年後の業界滞在率は10%~20%といわれています』ということなのである。

 じゃあ、そんな「キツい、苦しい、暗い」(「汚い」は、風呂にも入らないで徹夜している自分の体くらいしかないけどね)「3K」職業で如何にして、制作進行から制作デスク、ライン・プロデューサー、アニメーション・プロデューサーに上がっていくかについての本なのである、この本は。

 ではアニメーションにおける「制作進行」とはどんな仕事なのか。

 基本的なことを言ってしまえば、「アニメーションの制作現場におけるすべての作業に立ち会う仕事」である。あくまでも「現場」なので、それ以上のビジネス部分には関わらないけれども、それ以外のすべての制作業務には携わるというのが制作進行である。アニメ―ションの現場作業とは「シナリオ」→「絵コンテ」→「カット割り振り」→「設定準備」→「作画打ち合わせ・作監打ち合わせ」→「レイアウト作業」→「原画作業」→「色美打ち合わせ」→「動画作業」→「仕上げ(彩色)」→「背景素材回収」→「撮影出し」→「カッティング」→「アフレコ」→「リテイク出し」→「ダビング」→「ビデオ編集」→「初号試写」→「各セクションへの挨拶」→「素材整理」のすべての作業である。

 この作業のすべてに立ち会うというのは、実は演出家や監督への登竜門でもある。宮崎駿氏や高畑勲氏のように、アニメーター出身の監督もいるが(最近増えている)、実は制作進行出身の監督の方が圧倒的に多いのだ。なぜか、つまり制作進行出身の監督の方が「プロデューサー感覚」があるからなのだ。

 アーティスト出身の監督はえてしてロジックができていない。例えば宮崎駿氏が作った『崖の上のポニョ』のように「金魚が海水で泳いでしまう」というような荒唐無稽な設定は、結局、絵コンテ優先で制作をしてしまった為の問題だということがよく言われている。つまり、本来であればまず優先されるべきシナリオ制作を行わなかった『崖の上のポニョ』は、ロジック優先であるべきシナリオ制作を行わなかったが故に、「気分」だけで「金魚を海で泳がしてしまった」のである。

 また「スケジュールを守らない高畑勲氏」の話は既に業界でも有名である。

 こうしたアーチスト出身の監督に比較して、制作出身の押井守は、そのちょっとロジック優先ぶりにもちょっと困ってしまう部分はなくもないが、スケジュールをキチンと守る姿勢にはなかなか好感を持っている。

 先に「給料は13万円~18万円とメチャクチャ低い」と書いた制作進行だが、出来高払いのフリー・アニメーターと異なり、正社員であることが多い。厚生年金・雇用保険・健康保険などはキチンと払われているというのは、アニメーターより場合によっては手取りは良くなったりする。

 それでいて、演出・監督への道が開かれているのだから、これは挑戦しがいのある職業でもあるのだ。勿論、制作進行からプロデューサーになる、制作進行から演出・監督になるというのは、そう簡単なことではなくて、先に述べた制作現場の全作業に立ち会いながら、それの何たるかを考えながら、時には演出・監督などとも激論を交わすこともあるだろうし、喧嘩をすることもあるかも知れない。安い給料も、若さが乗り越えてくれることもある。

 ただし、「アニメが好き」だけど「絵が描けないから」制作進行になる、という後ろ向きの姿勢では制作進行は務まらないだろう。

 単純に「アニメが好き」というだけだったら、何か別の職業に就いて、趣味としてアニメを楽しむという方が長続きするかもしれない。

 もっと積極的に、プロデューサーになりたい、監督になりたいというような明確な目標を描ける人、そんなひとこそ制作進行になって、業界人を目指して欲しいと考えるのだ。

 アニメーションの世界は日本の映像業界でも「プロデューサー・システム」が有効な世界でもある。是非、そんなアニメーション・プロデューサーを目指してもらいたいものだ。

『アニメを仕事に! トリガー流アニメ制作進行読本』(桝本和也著/星海社新書/2014年5月22日刊)

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