企業の盛衰、ソニーとソフトバンクの株主総会(の記事)から
三月決算の会社の株主総会がここのところ集中して開催されている。
で、対照的なふたつの企業の株主総会の記事から見えてくることがある。
ソニーの株主総会は『日刊ゲンダイ』の記事から……
タイトルは『復活兆しなし「落日ソニー」がハッキリした株主総会一部始終』というもの。
『1200億円を超える最終赤字を出した企業の総会にしては、出席者は昨年(1万693人)の半分以下の4662人。所要時間は昨年より16分短い99分と、大荒れというより「ソニーに対する落胆が、諦めに変わった」(市場関係者)総会だった』
という書き出しに始まり
『「高性能のイメージセンサー」や「壁に巨大な4K画像を映す新発想のプロジェクター」をアピールしていたが、株主にはほとんど届かなかったようだ。
「競争相手とは夢にも思わなかったソフトバンクが、来年2月に20万円を割るコミュニケーションロボットの原型を作っていたじゃないか。もっと新しい市場を創造する話を聞きたかった。ソニーらしい夢が感じられない」(最後に発言した株主)』
と株主の発言を捉え
『ソニーは再び株主を喜ばせることができるのだろうか』
と書き終わるレポートはいかにも現状のソニーの姿を表している。
ソニーは「イメージセンサー」という「部品」を作るメーカーではなく、「ウォークマン」のような、「我々の生活を変える製品」を作り出してきたメーカーであらねばならないのではないだろうか。なんか、まだまだ先の希望が見えてこないソニーの株主総会ではあったようだ。
『日刊ゲンダイ』の記事はこちら
一方、ソフトバンクの株主総会についてはちきりんさんというブロガーの記事から。
こちらは
『2時間ちょっとの総会は“孫正義ショー”といった趣で、エンターテインメントとして人気の映画やコンサートと比べても、まったく遜色のないすばらしい時間でした』
という書き出しから、ちょっとしたワクワク感に満ち溢れるものであり、勿論、話題のロボットPEPPERについても書かれている。
ポイントは
『今までのロボットは道具だった。ソフトバンクのロボットは、そうではない。機械のように仕事をさせるより、感情がわかるロボットを開発する』
というところ。
既に、アメリカが開発した無人飛行機が中東で人を殺し始めているし、ロボットが人の仕事を奪うような未来が見え始めている今、ソフトバンクは「人間の悲しみを減らし、喜びを増やすためのロボット」を開発している、という。
ソフトバンクの時価総額は現在、日本2位の9.4兆円だそうだが、いつか時価総額200兆円になって、世界でトップ10の企業を目指すそうだ。
ちきりんさんの『Chikirinの日記』はコチラ
私は今、ケイン岩谷ゆかりが書いた『Haunted Empire(沈みゆく帝国)』を読んでいる。スティーブ・ジョブズが既にいないアップルが、その後どうなっており、これからどうなっていくのかについて書かれた本である。
アップルがソニーになってしまうのか? これまでのアップルのままでいられるのか? そんな視点でソニーとソフトバンクというふたつの典型的な企業の株主総会を見るっていうのも、なかなかに興味深い。
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