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2014年6月 5日 (木)

古屋漫画版『人間失格』は少し甘く、そして優しい

 オリジナル版(太宰治版)『人間失格』は大庭葉蔵という、太宰が知らない人の手記を基に書かれたという形をとったものだが、当然それを原案として漫画を描く古屋兎丸氏の方法論も、同様に、漫画家・古屋兎丸がある日ネタとしていろいろなサイトを覗いているうちに、『人間失格』という日記サイトに行き当たり、それを読むというスタイルで描かれた漫画なのだった。

Photo『人間失格』(古屋兎丸:漫画/太宰治:原案/新潮社/2012年1月20日刊)

 時代は現代と言う設定になっているが、基本的にはストーリーの流れはオリジナル太宰治版『人間失格』と同じである。

 日記は全部で12ある。

<第一巻>
第一の日記「大庭葉蔵」
第二の日記「歪んだ顔」
第三の日記「堕ちる」
第四の日記「鎌倉心中」

<第二巻>
第五の日記「自殺幇助」
第六の日記「寄生虫」
第七の日記「男めかけ」
第八の日記「楽園」

<第三巻>
第九の日記「光と闇」
第十の日記「崩落」
第十一の日記「中毒」
第十二の日記「人間失格」

 古屋版『人間失格』の主人公・大庭葉蔵の仕事も太宰版と同じ漫画家。ただし、オリジナル版とちょっと違うのは、「セッカチピンチャン」という漫画で、少年漫画雑誌「コロポン」にヨータローというペンネームで連載している漫画がそこそこ当たってきて、タバコ屋の看板娘・佳乃との半ば駆け落ちのような形で同棲を始めた生活も安定してきた。

 そんな時、訪ねて来た親友の堀木から聞かされた「罪人」という言葉。

「罪人……」

「その言葉にドキッとしました」

「今までの行いを償う日が
いずれ訪れるかもしれない」

「その刑の執行は
いつなのかと考えたら
ぞっとしました」

「でも その時は
すぐそこに迫っていたのでした」

 担当編集者の布川に無理やり犯される佳乃

「以前から恐れていた神の罰
刑の執行が行われたのです…」

 実は布川は社員編集者ではなくて、漫画では「派遣社員」という呼び方をしているが、要はフリー編集者というやつで、リストラで解雇された腹いせに、会社で暴れまわり、その勢いで葉蔵の許にやってきて、佳乃を犯してしまったのだった。

 壊れていく葉蔵。最後は佳乃とも引き離されてしまい、自暴自棄になる。

「僕は今年25歳になりますが
たいていの人に50以上に見られます。

   人間失格 終」

「あとがき」として堀木の文章が続いているのは、オリジナル版と同じ。

「葉蔵はある日こつ然と姿を消してしまいました。
彼の消息をご存知の方はメールでご連絡していただけますでしょうか」

「この男を描きたい」と考えた古屋兎丸は「コロポン」編集部を訪ね、「バー マノス」を訪ねる。

 大庭葉蔵の存在は確かにあった。周りの人は口をそろえていい人だという。

 自分も彼のような人生を歩んでいたかもしれない、と考える。

 しかし、大庭葉蔵の消息を知ることは出来なかった。

 バー マノスからの帰り道、大庭葉蔵によく似たホームレスの老人がいたのだけれども、彼が大庭葉蔵であるという確信は持てない。

 しかし、そのホームレスが最後に言う言葉

「次元上昇が始まったようだ…」

 という言葉に、漫画家・古屋兎丸にはなくて、太宰治にある残酷さが現れる。

 太宰は本当に突き放したように、絶望や破滅を描く。そこまで徹底できない古屋の弱さというか、優しさがそこにはある。

 なんか、少しホッとさせるものがね……。

2014_06_04_54572太宰が愛人・山崎冨枝と入水自殺をした辺りの玉川上水。現在の水量からはとても自殺ができるような水量ではないが、昔は結構水量豊富だったことが、三鷹駅付近の説明版を見ると分かる。それにしても川幅がねえ……。

『人間失格』(古屋兎丸:漫画/太宰治:原案/新潮社/2012年1月20日刊) 全部Kindle版で紹介。勿論紙版もあり。

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