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2014年6月 7日 (土)

『安部政権の罠』というよりは、それに囚われてしまったマスメディアの罠だな

 結局、小泉内閣の「ワンイシュー」「Yes or No」という単純化された二元論の政治に、いまやマスメディアもそれに倣って、二元論で語ることに慣れてしまっている。そのことの危険性を訴えた本書ではあるが……。

Photo『安倍政権の罠 単純化される政治とメディア』(清水克彦著/平凡社新書/2014年5月15日刊)

 そうした問題に「そんな簡単に二元論で語れないのだ」と「第一章 安倍「一強」体制」「第二章 アベノミクス」「第三章 TPP参加」「第四章 改憲と国家主義」「第五章 原発と普天間移設」「第六章 教育再生」という、安倍首相が進める政策について問い、最後に「第七章 マスメディア」について反省しつつ問いかけるわけなのだ。

 が、「おわりに」を読んでしまうと、そこには何と本書を簡潔にまとめてしまっているのだなあ。

・官邸主導 官僚は巨大コンピューターのようなもので、政治家がきちんと主導すれば高い能力を発揮する。ゆえに望ましいことだが、安倍晋三―菅義偉体制は永遠のものではなく、トップに指導力がなければ、民主党政権時代の「政治主導」のように有名無実化する恐れもあるのでは?

・アベノミクス 消費税増税後の経済への影響が現時点では未知数。とはいえ、社会保障費の増大を考えれば10%でも足りない。増税は誰もが嫌だが、有権者にいい顔をせず、軽減税制を導入したうえで税率を上げるべきでは?

・TPP 経済効果はあるが、アメリカのルールがまかりとおれば、農業などへの打撃は大きい。交渉の展開しだいでは乗合バスから降りる勇気も必要なのでは?

・原発再稼働 感情的には「脱原発」。電力会社への不信感も強い。ただ、再生可能エネルギーのシェアが低い現状では、「即、ゼロ」というのは無理があるのではないか?

・普天間移設 沖縄だけに大きな負担を押しつけていることに国民の関心が高くないのが問題。普天間飛行場周辺の「危険除去」という点では名護市辺野古地区への移設でベターな状況が生まれるが、政府の姿勢以上に国民意識の変化が求められるのでは?

・憲法改正 今の憲法は時代に合わない。したがって改憲は必要だが、96条からいじろうとしたり、集団的自衛権行使を憲法の解釈を変えて容認しようとするのは姑息。改憲問題では9条に焦点が当たるが、13条や21条も大事ではないか?

・教育再生 教員の質を上げ、勤務にゆとりを持たせなければ、制度を変えても効果は上がらない。教育委員会制度改革は、偏った考え方の首長が、自分の意に沿う教育長を選ぶ可能性があるので危険を伴う。大学改革も都会の総合大学に軸足を置きすぎていて、地方の大学との格差が拡大するのではないか?

 とまあ、世の中は「ワンイシュー」「Yes or No」ではうまく行かないということなんだよな。

 つまり、この「あとがき」を先に読んでしまうと、本書全体を読まなくても十分書いてあることは理解ができるという次第。私のように、「はじめに(はしがき)」と「おわりに(あとがき)」をまず最初に読むような読者にとっては、それを読んで本書に対する興味を持つというよりは、そこを読んでしまえば本書を読んだのと同じ、というのはどう考えればいいのだろうか。便利なのか、余計なことなのか?

 問題は、そんな安倍政権の「一強」体制の問題を語ると同時に、それを伝えるマスメディアの問題にも触れていて、実はそちらのほうが大事だったりする。

『これまで述べてきたような重要課題を、安倍がぐいぐい前へ進めようとしていることもリスクなら、それを伝えるマスメディアの姿勢もリスクという観点から、伝える側の問題点について述べていくが、まずは、テレビメディアの一点集中主義とも言える情報の取り上げ方について触れておきたい』

 といって反省する姿勢も見えるのだが

『筆者をはじめメディアにいる人間は、「他局と同じなら安心する」側面がある。だから、政治にせよスポーツにせよ、どの局も切り口が同じになったりするのだが、独自の構成や別の視点が求められると思うし、受け手の視聴者もまた、メインで伝えられていないものにも目を向ける姿勢が必要になると思うのである』

 といった具合に、結局、自分たちの至らなさをタナに上げて、視聴者にのみ「いろいろ見ろ」と要求するのはいかがなものか。

『筆者をはじめ取材するマスメディア側は、記者会見などをベースにした「発表報道」だけでなく「調査報道」も行い、「それぞれの動きの裏にはこんなことが隠されていますよ」とか、「この法案が成立すれば、こうなることが予想されますよ」といった情報を、視聴者や読者に提供する姿勢が今以上に求められてくる』

 と書くわけであるが、基本的にテレビジャーナリズムは、そうした調査報道にはまったく興味は持たずに、ただただ「今」のみを追いかけて、地味な「調査報道」は殆ど行っていないというのが実情ではないだろか。清水氏が属するラジオジャーナリズムでは、多少はそうした調査報道なんかもあるのかも知れないが、今やラジオは本当のマニアだけの存在でしかなくなってしまい、社会的に与える影響力は低い。

 結局、「分かりやすい見せ方」ばかりを追求するテレビジャーナリズムは、政治家以上に「ワンイシュー」「Yes or No」報道に堕してしまい、そんなテレビかテレビを見てツイートするSNSが数少ない情報源である人々は、ますます「モノ」を考えずに、単なる「脊髄反射」でもって世の中を見るようになってしまう。

 確かに、「ワンイシュー」「Yes or No」という単純二元論は分かりやすい。しかし、世の中は決して分かりやすくは出来ていない。物事には裏表があり、大事なことはメディアに表から見える表情だけでなく、そこにどんな裏側が隠されているのだろうかと考えるのが、要は「メディアリテラシー」なのである。

 とは言うものの、世の中の大半の人はそんなメディアリテラシーは持てずに、単純化した表の顔だけで判断する。

 そんな時に大事なのは、週刊誌などの「ゲリラジャーナリズム」なんだけどなあ。「発表報道」にはまったくあずかわれない週刊誌は、結局、(時間は短いけれども)「調査報道」しかできないんだ。

 でも、その世界は清水氏には見えてこないようだ。

 それが残念っ!

『安倍政権の罠 単純化される政治とメディア』(清水克彦著/平凡社新書/2014年5月15日刊)

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