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2014年6月23日 (月)

武雄市図書館がそんなに「民業圧迫」?

「出版界唯一の専門紙『新文化』2014年6月19日号」のカバーストーリーは『武雄市図書館 改装から1年2ヵ月の現状 周辺の2書店「売上げに影響あり」』という冨田勲氏の記事である。

2014_06_20_59562

 佐賀県の武雄市図書館がカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)を指定管理者としてリニュアールオープンしてから1年2ヵ月経ったわけだが、その結果、地元書店が疲弊しているという内容なのだ。

 しかし、私は「その結果、地元書店が疲弊している」という見立ては間違っている、と考えるのだ。

『CCCが指定管理者として企画・運営を担い、2013年4月1日にリニューアルオープンした武雄市図書館(延べ530坪)は、公共施設とは思えないような空間を作り出した。ライフスタイル別の陳列や重厚感のある内装、電源を完備した読書スペースを設置。館内には武雄市初となるスターバックス、蔦屋書店(170坪=音楽/映像館含む)も併設した。また、開架式図書、蔵書を増やしたほか、開館時間を従来より4時間延長、365日オープンとした』

 これが新聞などにより「民業圧迫だ」などと書かれることになったわけだが、さて周辺書店ではこの図書館リニューアルの影響はどのように表れているのだろうか。

 まず、「ゆめタウン武雄」内の明林堂書店。

『様々な要因があり、図書館ができたことによる影響かどうかは分からないが、書籍の売上げは少し悪くなっている』

 周辺のA書店。

『自然減を除いても、売上げは数パーセント落ちている』

 もうひとつのB書店。

『15~20%は落ちている』

 という証言。

 う~ん、弱い!

 もうちょと、具体的なデータとか、その間の書店としての売上げ努力(店のレイアウト作りとかPOP展開、商品構成の変化など)がどれだけあって、なおかつ日本全体の書籍の売上げ減がどれだけあって、それと比較して図書館ができたことによる影響はこれだけあったと考えられる、という客観的な資料がないと、ただただ「ウチの売上げが落ちたのは図書館ができたせいだ」と言っても、何の説得力は持てない。

 もともと、武雄市は図書館の指定管理者をCCCに決定する以前、地元の武雄市図書納入組合に運営を任せる構想を持っていたようで、武雄市から納入組合に打診があったそうである。納入組合に言わせれば『「(武雄市図書館に納入する図書を)装備なし、1割引きで納めることはできないか」という打診があり、それを承諾。その話が進行していたにもかかわらず、12年5月4日、CCCと市の共同会見が「突如行われた」という』そうだ。

 以下は、私の勝手な推量である。

 まず、武雄市が地元の図書納入組合に図書館納入図書を打診したのは事実だろうし、それを納入組合側がOKしたというところまでは事実だろう。

 次に、武雄市の樋渡市長が多分上京した際にCCCの店にでも行って、その店舗や商品構成のセンスなどに感動して、CCCに図書納入の話をしたのか、あるいは、CCCがどこかで武雄市図書館の納入の話を聞きつけて、いやいや我が社では図書納入だけでなく図書館運営までできますよという売り込みをしたのではないだろうか。いずれにせよCCCは「図書納入+図書館運営」がセットで話を持って行ったのだろう。

 一方、地元を大切にしなければいけない地方公共団体としては、当然、図書納入の話を持って行った武雄市図書納入組合に対し、(CCCからの提案を受け)図書館運営の話まで打診をした筈である。

 何故なら、今や地方公共団体としては如何にして人件費を削るかというのが至上の命題になっている。であるならば、図書館の運営に関しても市が直接市職員を雇って運営するよりも、どこか私企業に運営を任せてしまった方が安い人件費でもって運営が可能なのだし、私企業に丸投げしてしまった方が、運営自体も安定的に行える。

 なので、多分、納入組合に対しても「図書館運営が可能なりや」という問い合わせが行った筈だ。ところが納入組合側は図書館運営などのノウハウは持っていないので、その市の問い合わせには「NO」と答えたのであろう。

 ここに、樋渡市長が言う『何度も打診したが納入組合からの返事は「NO」だった』というのと、納入組合側の『著書には、こちらが「NO」と言ったと書いているが、そんなことはない』という、両証言の食い違いが発生しているのではないか。

 私の見立てとしては、樋渡市長が言う「何度も打診した」という言葉の中には「図書館運営の話も含めて」という言葉が隠されているようだし、組合側が言う「著書には、こちらが「NO」と言ったと書いているが、そんなことはない」という中には、「図書館運営の話」が抜け落ちているのではないか。

 実はこれは東京でも起きている問題で、図書館流通センター(TRC)と地元書店組合(東京都の場合基本単位は「区」にある)とのせめぎ合いが起きている。つまり、TRCとしては区立図書館に図書を納入するだけではなく、図書館運営もお任せください、という売り込みをしているのに対して、地元の区書店組合では図書館運営まではできないので、結局、図書館への納入図書の競争でもTRCに殆ど負け続けているという実態がある。

 ところが、このTRCの攻勢に対して唯一勝った区書店組合があったのだ。

 東京都大田区書店組合がそうである。

 大田区書店組合は、実は図書の納入だけではなく、区立図書館の運営まで手掛けていて、司書を雇ったり、図書館でのいろいろなイベントなども自らやって、結局、TRCの攻勢に勝ってしまったのだ。

 つまり、書店側がもうちょっと前向きに対処して、それまでやったことのないことまで手掛けてみようという姿勢さえ示せれば、それまで不可能だと考えていたことまで可能になる、ということなのだ。

 むしろ、武雄市の図書納入組合にはこうした「前向きの努力」を期待したいし、『新文化』にも『図書館は単に大資本の企業の力に頼った書店を導入するのではなく、地域の公共施設として地元書店と連携できるかたちを探ってほしい』と、一方的に地方公共団体だけに要求するのではなく、地元書店自身にもっと「前向きの努力」を要請すべきなのではないだろうか。

 今の時代、政府や、自治体などによる「後ろ向きの規制」に頼るのは、まったくもってナンセンスである。むしろ、規制を緩和して自分たちも自由に動けるような社会を作ろうとしない限りは、先の世界は開けないだろう。

『新文化』にも、そうした双方向での記述をしてもらいたかった。

 

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