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2014年6月 8日 (日)

アサヒカメラ『NUDE!』とヌードの終焉

『アサヒカメラ』は毎年7月号が「ヌード特集」で、その月だけは沢山の部数が売れるそうだ。

 まあ、皆好きなのね。

Photo『特別編集 アサヒカメラ「NUDE!」』(アサヒカメラ編集部/朝日新聞出版/2013年11月30日刊)

 その『アサヒカメラ』特別編集版MOOK『NUDE!』が出ている。

 面白いのは、1990年代のヘアヌードブームを樋口可南子の『water fruit』、宮沢りえの『Santa Fe』などの女優ヌードで先頭を切って突っ走っていった篠山紀信ではなく、『NADIA 森の人形館』『少女アリス』などの、どちらかというとロリータ色の強いヌード写真で有名になった沢渡朔を特集していること。

 沢渡はこの本のために『アイスクリーム』『雨』という撮り下ろし新作ヌードと、1990年代から2000年代に『アサヒカメラ』7月号などに発表してきたモノクロ・ヌードを「モノクローム」というタイトルで再録している。

 モノクロとカラーとの違いもあるのだろうけれども、最近の写真の方がより直接的な表現になってきているという、御年74歳の沢渡朔の進化にも驚かせるが、しかし、『NADIA』や『少女アリス』などの「ヘアヌード以前」の写真に懐かしさを覚えるのは何故だろうか。

 沢渡にとって1970年代に『NADIA』『少女アリス』でもってデビューを果たし、二度目のターニングポイントとなった1990年代の『アサヒカメラ』のヌードシリーズを発表した頃に、写真家としてスタートを切った笠井爾示との対談「女を撮ること ヌードを撮ること」が面白い。

『沢渡 アサヒカメラでヌードを撮っていたら、そのうちヘアヌードブームになっちゃった。それから、伊佐山ひろ子さんと『昭和』(94年)を一緒に作ったことは大きかった。また仕事がバンバン来るようになって、調子に乗っていまに至るという感じだけど(笑)。いい女に出会えば、いい仕事ができる。でしょ? 爾示も。
笠井 まだ僕は、そこまでの境地に達していないですね』

 とは言うものの、沢渡などの年齢の写真家のヌードと、笠井などの年齢の写真家のヌードで明らかに違うのは、やはりヌードに対する気負いのようなものの違いだろう。明らかに沢渡世代のヌードには気負いがあるのに対して、笠井世代のヌードはより自然な感じなのだ。

『戦後ヌードとアサヒカメラ』という上野修の原稿の最後は

『日本における戦後のヌード写真は、陰毛のタブーと欧米への憧れをバネに独自の展開を果たしてきた。感性の変化とバブルによって、それらが払拭されたとき、ヌードというジャンルそのものが希薄になっていったのかもしれない。ヌード写真は果たしてこれからどこへ向かっていくのだろうか』

 と締めくくられているが、まさしく日本の戦後写真は、というか戦前から引き続いてなのだが、日本のヌード写真はこの「性器と陰毛」を獲得する戦いだった。

 それまでのおおらかだった「春画」の世界が、一瞬に無くなってしまった明治以降の日本の歴史の中で、「性器と陰毛」は女(男もそうだが)の身体から引き離されて「ないもの」として扱われるようになってしまった。それが何故なのかは、私はポルノグラフィや写真の専門家でも研究家でもないので、よくわからない。しかし、いずれにせよ当然「女(男も)の体に当然のように付いている性器や陰毛」を、欧米とは異なり「女(男も)の身体から引き離されて」しまった「性器や陰毛」という存在にされてしまったのが、日本の歴史でもある。

 そんな「女(男も)の体から引き離されてしまった性器や陰毛」を取り戻す戦いが、やっと部分的ではあっても(未だ性器は全面的には許されていない)勝利を収めたのが1990年代なのだ。『感性の変化とバブルによって、それらが払拭されたとき、ヌードというジャンルそのものが希薄になっていったのかもしれない』というのは当然で、それまでヌード写真が必死で取り組んできた「陰毛を取り戻すための戦い」がなくなってしまった現在、 「ヌード写真の特殊性」というものはなくなってきたわけなのである。

「性器や陰毛が女(男も)の体に付いているのは当たり前」ということになる。

 つまり、「ヌード写真の終焉」がやってくる。

 そんなことを考えながら、見ていくと面白いMOOKではある。

『特別編集 アサヒカメラ「NUDE!」』(アサヒカメラ編集部/朝日新聞出版/2013年11月30日刊)

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