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2014年5月23日 (金)

『アップル、グーグルが自動車産業を乗っとる日』という問題設定にならないために

 産業のカジュアル化というのは確かに進んできていて、第二次世界大戦後の復旧と高度成長を支えたのは、始めは鉄鋼業だし、次に自動車産業、家電ときてその後はコンピュータ産業だった。家電がダメになったのと同じように、自動車産業も最早命運尽きたのか?

 そのきっかけが「テレマティクス(Telematics)」だというのだ。

Photo『アップル、グーグルが自動車産業を乗っとる日』(桃田健史著/洋泉社/2014年3月6日刊)

 テレマティクスとは、テレコミュニケーション(情報通信)とインフォマティクス(情報工学)の融合を指す造語で、

『テレマティクスにより、たとえば交通情報や天気、ニュースなどの情報を車載器でリアルタイムに得られたり、音楽や動画などの車内エンターテインメントが楽しめたり、音声認識による自動運転、そのほかエンジンやサスペンションの制御やダイアグノーシス(車両自己診断)などのセーフティ、セキュリティサービスなどが利用できるようになる。
 わかりやすくいえば、クルマとインターネットが融合し、“クルマがスマホ化”するイメージである』

 と桃田氏は言うのだが、この言葉の前半は理解するのだが、後半「クルマがスマホ化」はちょっと省略しすぎでしょう、ということになる。

 カーナビゲーション・システムが普及した際に、何となくこの行く先が「自動運転」になるだろうということは予測できた。既に「クルーズ・コントローラー」のようなものはカーナビ以前にアナログ技術で存在したし、ホンダがマクラーレンと組んでF1を戦っている頃の「テレメータリング・システム」は、それを一歩進めればモナコの街を走っているマクラーレン・ホンダのエンジンコントロールを日本の和光研究所で行うことができる技術だったし、メルセデス・ベンツやマツダが実用化しているレーダーを使った衝突回避システムや、単眼カメラを使って周辺を見回るシステムも実用化している。ということは、当然その行き着く先に「自動運転」があることは容易に予測がつくことである。

 ところが、じゃあ自動車はみんな自動運転になっていくのだろうか、というのなら、それは絶対「No」なのだ。

 例えば現在グーグルが自動運転の研究を進めているわけだが、実はそれはむしろアマゾンが無人ヘリで商品を届ける研究をしていることに親和性が強いように思える。つまり「モノをA地点からB地点へ届ける際の最適化された方法を考える」ということなのだ。

 例えば、バス、タクシー(ヒト)やトラック(モノ)は「A地点からB地点まで着実に安全に運びたい」というモノである。そんな目的のビークルにとってテレマティクスは重要な要素になる。「A地点からB地点まで着実に安全に運ぶ」というのが目的だからだ。

 しかし、自動車の愉しみとはそれだけだろうか。

 ヒトは自分の能力を超えた存在になるとき、喜びを感じるような生き物だ。例えばスキーの滑降競技で、無動力でありながら時速百数十キロのスピードを体感できた時や、自転車競技の下り坂でやはり百キロを超えたスピードで駆け降りた時に感じる達成感というものがある。まあ、一般の人はそんなスピードを感じることはなく、せいぜい数十キロなのだが、それでも感じる達成感というのがある。

 また、数十馬力から数百馬力の出力を持つ自動車をコントロールし、サーキットコースを何分何秒で走れたが、じゃあ今度はそれを上回るスピードで駆け抜けようとするときの挑戦的な感覚。目標とするタイムが出た時の達成感というものもあるだろう。

 つまり、ヒトというのは自分が生き物として出せる能力を超えた「モノ」をコントロールして、それに成功した時に達成感を感じることのできる唯一の生物なのだ。

 なので、それは自動車を単に「A地点からB地点へ安全に動く」ための道具ではなく「それ以外の愉しみを人に与える」ための道具である、という風に考えた時、まったくそれは「自動運転」とは反対の方向へ向くベクトルとしての自動車の存在というものがある。

 勿論、そのためのある種の「自動化」というものもある。5月16日のブログで書いたような、「イマドキ6速マニュアルトランスミッション」がある一方で、F1では「速さとコントローラブル」を追求した結果、いまやオートマティックトランスミッションが普通になっているという事実があるが、つまりそれは自動車を運転する目的が「何か一つのものを目指す」ものでなくなったということなのである。「速さとコントローラブルを目指した結果がオートマになる」のも自動車の目指すものだし、一方「速さとカッコよさを目指した結果が6速マニュアルトランスミッションになる」というのも自動車の目指すものでもあるのだ。

 バス、タクシーやトラックが自動運転化されれば、それは運転する人の体調などは関係なくなる訳で、事故の減少につながるだろうし、何よりも「人件費の減少」にもつながるだろう。勿論、そのためには法改正がなければいけないが、電車では新交通システムなんかは既に自動運転が実現していることを考えれば、それほど難しい法改正ではないはずだ。

 自動車というものを「A地点からB地点へ安全にヒト(モノ)を運ぶ道具」だと考える人もいれば、「Fun to Driveを実現するための道具」だと考える人もいるし、同時に「A地点からB地点へ遊びながら楽しく勝手に移動してくれる道具」だと考える人がいるわけだ。

 つまり、桃田氏が隔靴掻痒の如くに言わんとしているのは、こうした「自動車に関する価値観の多様さ」を自動車産業は受け入れ、自ら業態変化をしていかなければならないということなのではないだろうか。

 つまりアップルやグーグルはどんどん業態変化をしてきていて、アップルなんていまや自分の所に工場なんかまったく持っていないのに「メーカー」を名乗っていたり、グーグルも本来は「広告業」が収入の大きな要素(というのは今も変わらないが)であったにも関わらず、何故か自動運転の研究を進めているというよに、いまや何がその会社の基幹業務なのかは分からなくなっている。

 日本の自動車産業もいまや「重厚長大」化してしまい、その業態を変化させるのも容易でないように見える。

 しかし、その「創業時のモノの考え方」をもってすれば、今からでもいくらでも業態変化ができる筈だ。

 勿論、製造は消費地に近いところで行えばいい、ということは昔から日本の自動車産業がやってきたところのものだ。

 で、研究開発部門を日本でも、シリコンバレーでも上海でもいいから、先進的な場所でやればいいのであるし、何も「日本企業」に拘る必要もない、ということなんだろう。

 問題は、そうした柔軟な目配りができるかどうか、ということなんだろうな。

 というのが、カーナビの言うことを聞かずに、しょっちゅうカーナビから「目的の方向と逆の方向に進んでいます」と怒られている、tsunokenの戯言なのでありました。

 そんなに怒るなよ。

『アップル、グーグルが自動車産業を乗っとる日』(桃田健史著/洋泉社/2014年3月6日刊)残念ながらまだKindle版は出ていない。

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