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2014年5月31日 (土)

『イケアはなぜ「理念」で業績を伸ばせるのか』って、理念だけじゃないんだけどなあ

「理念」があるから業績を伸ばせる訳ではない、ただし、その「理念」のおかげで働くものが気持ちよく働ける職場が実現し、その結果業績が伸ばせたのではないだろうか。

Photo『イケアはなぜ「理念」で業績を伸ばせるのか』(立野井一恵著/PHPビジネス新書/2014年4月1日刊)

 イケアの企業理念ってなんだ、と本書には直接触れてはいないが、ネットで調べるとこんなのが出てきた。

1.イケア製品―当社のアイデンティティ
  できる限り多くの人々が買うことができるように、廉価でよく設計された
  機能的な家庭用具製品を幅広く提供する。
2.イケア精神。力強く生き生きとした毎日
3.利益は私たちにリソースを与える
4.わずかなリソースでよい結果を得る
5.簡素化は美徳である
6.違う方法でやってみる
7.一つに集中することが成功の秘訣
8.責任を取ることは特権である
9.ほとんどのことはまだ手つかずだ。輝かしき未来!

 これは『イケアの挑戦 創業者は語る』(ノルディック出版)の最終章に示された、著者にしてイケアの創業者であるイングヴァル・カンプラードが大事にしている価値観、モットーである。

 これに、スウェーデン流の仕事に対する考え方を反映させたのが、言ってみれば「イケアの経営理念・哲学」である。

 それはどういうことかと言えば、まず、『従業員のことを「ともに働く仲間」という意味をこめて、「コワーカー」と呼ぶ』そうだ。そしてそのコワーカーはフルタイムもパートタイムも何の差別もないそうだ。つまりフルタイムであってもパートタイムであっても休暇はあるし、福利厚生面での差はまるでない。さらにパートタイマーであっても別に有期雇用ではなく、フルタイマーと同じく無期雇用であるし、パートタイマーは『店舗ごとの採用なので基本的にストアの異動はないが、熱意のあるコワーカーにはフルタイマーへキャリアアップする道も開かれている』という。

 基本的に、「同一労働同一賃金」という思想がいきわたっている北欧企業であるから『日本の企業のように、正規雇用と非正規雇用(契約社員やパート、アルバイトなど)の間に歴然と違いがあり、同じ職場で同じような仕事をしているにもかかわらず、待遇格差が大きいということもない。』

 じゃあその待遇はどうなっているのかと言えば、やはり本書にはないのでネットで調べたところ、「スーパーバイザーで年収3万5000ドル、チームリーダーで年収4万ドル」というから、日本の一流大企業ほどの年収ではない。まあ、中小企業のちょっと上くらいの感じだろうか。

 でも、そんな収入面での差を感じさせない方法として、例えば休暇に関して言うとこうなる。

●所定休日…年間127日
●有給休暇…初年度15日、6年目以降20日
●私傷病休暇
●子どもの看護休暇
●出産時休暇…1回の出産につき15日(男性コワーカーのみ)
●産前産後休暇…9ヵ月(女性コワーカーのみ)
●育児休暇…1年間

 とまあ、日本企業なら有給休暇でこなさなければならない休暇が沢山あるなあ。

 更に言ってしまうと『社内託児施設「ダーギス」』という存在だ。

 要は、それだけ社内で働く女性たちに対して、彼女たちがいかに気持ちよく働けるのかを考えた施策がなされているということなのだ。つまり、彼女たちが気持ちよく働けるということは、その配偶者である夫ももっと家事に参加できる体制を作っているということ。

 
 う~ん、こうなってしまうと我々「昭和の日本サラリーマン」では想像もできない事態になっているということがよくわかる。我々は、と言えば有給休暇とは、いざというときの傷病とかに備えて多少は休暇日数を残しておくのが当たり前だったし、ヘタをすると「休暇を取らないことがサラリーマンの鑑だ」みたいな、変な自意識があったりしていた訳だ。

 外資とはいえ、こんな会社が日本にもできてしまったんだ、ということには感慨を覚えるし、そんな風に給与以外の部分での福利厚生を考えているのであれば、多少は給与が低くても、自分の生活トータルで考えれば、その会社にいる方が幸せになれるのかも知れない、と働くものが考えても不思議はない。

 当然、「給与の低さを会社の別の価値感で納得させて仕事をさせる」という考え方は、言ってみれば「宗教法人」の考え方と同じだ。

 これも

『イケアについて「金太郎飴みたいな会社」「イケア教という宗教のようだ」と評する人がいるが、ある意味で当たっているだろう。基本的に同質の価値観を持つ人を集めることが、イケアの人事戦略のもっとも大きなポイントだからだ』

 ということに収斂される。

 まあ、日本企業であっても、アメリカ企業であってもリーダーの指導力が強かったり、経営理念・経営哲学が下部の社員までいきわたっている企業は、宗教集団とあまり変わらない。トップの持つ価値観が下部社員までいきわたっていて、上からどこを切っても同じ返事が返ってくる。

 多分、高度成長期の日本企業もそんな感じだったのだろう。サラリーマンは、トップから下部社員まで同じサラリーマンとして、同じ価値観、同じ企業観、同じ成功意識の中で仕事をしていた。その結果"Japan as No.1"にまで上り詰めたわけであるが、その後、バブルの崩壊と共に、同じ会社にいながらも幹部社員と下部社員との意識の乖離が始まり、待遇の乖離が始まり、同じ職場に働く仲間でありながら、会社からの扱いの乖離が始まったのだろう。

 そんな状況をみて育った人たちからしてみれば、同じ企業で働く仲間を「コワーカー」という言い方で、すべて平等に見る企業のあり方に魅力を感じてもおかしくはない。

 つまり、そんな「皆が働きたくなる職場」にいる人たちが作り上げた店だから、お客さんも気持ちよく買い物ができるし、その結果、業績を伸ばせたのだろう。

 まあ、日本における業績は、むしろこれからだろうけれども……。

『イケアはなぜ「理念」で業績を伸ばせるのか』(立野井一恵著/PHPビジネス新書/2014年4月1日刊)Kindle版もあり、約200円安い。

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