フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« 『1000年の山古志』を買おう。山古志村への支援になるからね。 | トップページ | ジロ・ディ・イタリア・スタート! »

2014年5月10日 (土)

『都立一貫校10校の真実』では書けない真実

 すべては当時の小尾乕雄東京都教育長が1967年に手がけ、1981年まで続いた「学校群制度」という『前代未聞の愚策』に端を発する問題なのだ。

Photo『都立中高一貫校10校の真実 白鴎/両国/小石川/桜修館/武蔵/立川国際/富士/大泉/南多摩/三鷹/区立九段』(河合敦著/幻冬舎新書/2013年11月30日刊)

『1960年代、高校の受験競争が大都市部を中心に過熱し、東京都でも日比谷高校や戸山高校、西高校といった戦前のナンバースクールに受験者が殺到するという現象が起こっていた。
 ナンバースクールに入学したいがために、わざわざ住民票をその学校の通学区域に移すという越境入学が、当時はごくあたり前に行われたいたのである』

 それを解消させようと、『ナンバースクールを含めた複数の周辺校を群(グループ)としてくくり、中学生はこの群を受験させることにしたのである。そして合格者はアトランダムに群内の学校に振り分けられる。つまり、自分が入りたい高校を受験者が個人の意思で選べないのだ。
 現在では、到底信じがたいことであろう。まさに人権の無視だといえる』

 私の場合も、まさしくこの1967年の高校入学だったので、その学校群制度の最初の適用者だったわけだ。私は都立江北高校(前身は府立十一中)に入学したかったのだが、結局、偶数順位だったために同じ学校群の都立足立高校(前身は都立足立高等女学校)に振り分けられてしまい、大いにガッカリした経験を持った。これはその後のヤル気にもおおいに影響を与え、希望していた大学にも行けなかった、という副産物を生み出したわけだ(って、学校群制度に無理やり責任を押し付けるな)。

 結局、こうした悪政は受験生を都立高校から引き離し、国立の付属や私立高校受験に向かわせるようになり、その結果、都立高校の大学受験実績ははなはだしく悪くなっていった。それ以前は、都立高校の「すべり止め」だった中堅以下の私立高校に行く人も多くなり、その結果そうした私立高校も「特進クラス」を作ったりして、有名大学への進学実績を上げるようになり、ますます都立高校は嫌われてきた。今や都立高校は受験者がほとんど入学できるようになり、そうなるとあまり勉強しなくても入学できてしまうということになり、そうなると問題行動を起こす生徒や、校内暴力や、中退者が激増するという結果となってしまったのだ。

 その結果を受けて、東京都は単位制高校や、受験指導を行う重点施策校などを作ったり、都立高校にも私立みたいな中高一貫校を作ったわけだ。

 1997年の中教審があげる中高一貫校のメリットとは以下の4点であるそうだ。

・高等学校入学者選抜の影響を受けずに「ゆとり」のある安定的な学校生活が送れること
・6年間の計画的・継続的な教育指導が展開でき効果的な一貫した教育が可能
・6年間にわたり生徒を継続的に把握することにより生徒の個性を伸長したり、優れた才能の発見がよりできること
・中学1年生から高校3年生までの異年齢集団による行動がおこなえることにより、社会性や豊かな人間性をより育成できること

 つまり、そこには「有名大学への進学実績があがること」という、親としては一番気になることには触れていない。そうなのだろうか? 子どもが進学を希望したり、親が子どもを進学させたいと思うきっかけは、やはり「有名大学への進学実績」なのだから、そこに注力して高校を立て直すというのが、一番の道なのだが、やはり公立高校としてはタテマエとしてはそのことには触れてはいけないのだろう。

 とは言うものの、やはり実態はそちらの方だろうし、本音は「有名大学への進学実績」であるに決まっている。都立高校最初の中高一貫校である白鴎高校の場合、平成17年から中高一貫校になったわけだが、特別枠、一般入試とも受験倍率はずっと低いままだったのが平成23年に突如倍率が上がるのだ。その理由は平成17年に入学した中学生が最初に卒業した平成23年、それまで途絶えていた東大合格者がいきなり5名、東大を含む難関国公立に10名、さらに早慶に52名という進学実績によるものだ。

 ただし、都立高校であるから、それほど熱心な受験指導というものはやっていないだろう。むしろ重要なのはどんな生徒がその学校にいるかということなのだ。以前の日比谷高校だって別に受験指導はやっていなかった。それにも関わらず、毎年何十人もの東大合格者を輩出していたのは、やはり厳しい受験競争を経てきた生徒たちのお互いの競い合いから、自然と自ら勉強する雰囲気というものが学校のなかに醸し出されて、その結果としての有名大学への進学実績があがるというものなのだ。

 私の息子が出た開成高校もそうで、毎年母の日に行われる運動会に参加した高校2年生は、その次の日から1年間、その運動会にかかりっきりになる。開成高校の運動会は生徒が自主的に運営するという面白い運動会で、まさしく開成高校生はまるまる1年間、この運動会の準備に没頭するのだ。で、高校3年生に運動会を終えると、次の日からアタマを切り替えて今度は受験勉強に没頭するのだ。この切り替えの良さが開成生独特なのである。

 開成高校というのは「東大に行くのが当たり前だ」というトンでもない「常識」のある学校で、殆どの生徒は東大を受験する。しかし、学校では一切受験指導などは行わないのである。というのも、もともと「できる子」しか入ってこない学校では、別に学校で受験指導なんて行わなくても、生徒が勝手に勉強するし、お互い助け合い勉強をしあうのだ。

 それは開成高校ばかりでなく、灘高校、麻布高校などでも同様であるそうだ。

 つまり、有名大学への進学実績を上げるためには、「できる子」を沢山集めることが一番大事であり、高校での受験指導じゃないことがわかる。つまり「できる子」を集めるためには、受験の際の倍率を上げること。その為に、東大や旧帝大、国公立医大などの難関国公立大学への合格実績を上げること、という具合に順番がある。

 公立高校としては特進クラスを作るなどの受験指導に力を入れることはできない。なので、初めから「できる子」を入れたいという本音があるということがよくわかるところなのである。まあ、都立高校の先祖返りというか、都立の私立化なのだなあ。

 最後に、現在東京都では中高一貫校どころか、小中高一貫校でしかも6・3・3制ではなく、4・4・4制を考えているそうだ。基礎期(小学1年生~4年生)、拡充期(小学5年生~中学2年生)、発展期(中学3年生~高校3年生)に分けて考えるということで、要は受験勉強をやりやすくしようというのだ。しかし、これはまったく意味がない。そんなことをやるよりは、今、ほとんどの中学卒業生は高校に進学するのだから、高校の無償化をするべきなのではないだろうか。

 財政的に問題のない東京都がまず取り組むべきは教育の無償化である。ヨーロッパなんかは大学まで殆ど無償で進めるというのがデフォルトになっている。

 エリートを作ろうというのも分からないではないが、まずやるべきことをやってからにしてもらいたい。

『都立中高一貫校10校の真実 白鴎/両国/小石川/桜修館/武蔵/立川国際/富士/大泉/南多摩/三鷹/区立九段』(河合敦著/幻冬舎新書/2013年11月30日刊)Kindle版も出ているぞ、少し安い。

« 『1000年の山古志』を買おう。山古志村への支援になるからね。 | トップページ | ジロ・ディ・イタリア・スタート! »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/59608384

この記事へのトラックバック一覧です: 『都立一貫校10校の真実』では書けない真実:

« 『1000年の山古志』を買おう。山古志村への支援になるからね。 | トップページ | ジロ・ディ・イタリア・スタート! »

2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?