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2014年4月25日 (金)

ワレサ 連帯の男

「ワレサきに 自由が欲しい ポラニスキー」なんて駄洒落を言っている場合じゃない。というか「ポラニスキー」なんて人はいないからね。

 って言うか、あの「地下水道」「灰とダイヤモンド」のアンジェイ・ワイダですよ、アンジェイ・ワイダ。まだ生きていたんだ! もう88歳!

 しかし、この邦題「ワレサ 連帯の男」ってどうよ。英題の"Walesa. Man of Hope"(希望の人、ワレサ)のままで良かったんではないかいな、とも思うんだが。っていうか、イマドキ「ポーランドの連帯」なんて知っている人が、この日本に何人いるのかね。

201404241949412『ワレサ 連帯の男』(監督:アンジェイ・ワイダ/脚本:ヤヌシュ・グウォヴァッキ/製作:ミハウ・クフィェチンスキ)

「地下水道」は第二次世界大戦中の対独(対ナチ)レジスタンスでもって地下水道(下水道)に潜って戦っていた主人公が、明るいところでは眼が見えなくなってしまう悲劇。

「灰とダイヤモンド」は、第二次世界大戦後ポーランドを支配したポーランド統一労働者党(後のポーランド共産党)への、対コミュニスト・レジスタンスでもって命を落とすマチェクを主人公とした、やはり悲劇。

 ではこの「ワレサ」はどうかと言えば、グダニスクのレーニン造船所で電気技師として働くレフ・ワレサが1970年に、その当時の社会的な貧しさから起こったストライキ委員会に参加して当局から目を付けられるというところから始まって、1980年に独立自主管理労働組合「連帯」の創設メンバーとして働きはじめ、工場でのストライキに始まって、ポーランド全土を巻き込むゼネラル・ストライキにまで発展させて、最後にはポーランド共産党の一党独裁体制を「円卓会議」でもって打ちこわし、1990年には自ら大統領選に打って出て、当選し、最後はアメリカの議会で演説するシーンで終わるのだ。

 つまり、それは「ハッピーエンディング」。

 アンジェイ・ワイダ作品としては珍しいハッピー・エンディングなわけではあるけれども、それを単にハッピー・エンディングの映画にしていないのは、さすがにアンジェイ・ワイダである。

 映画は、レフ・ワレサの妻ダヌタ・ワレアにフォーカスする。

 彼女は6人の子どもを育てながら、夫で連帯の中心人物であるレフを支えるのである。いわば「糟糠の妻」ってやつ。そう、映画はワレサの政治的な部分の表現よりは、彼の家庭人としてのあり方を問う映画になっているのだ。

 
 例えば、ワレサが一労働者として自主管理労働組合(それは共産党政府からは禁止されている)の組合運動に参加する時は、当然それはポーランド共産党(と言ったって、それは単なるソビエト連邦共産党の傀儡にすぎないんだけれども)の弾圧に遭う訳である。

 そんな時、普通の妻だったら、なおかつ、子どもを沢山抱えている普通の妻だったら、やはり夫の活動には反対するだろう。「子どものことを考えて」ってな具合にね。

 でもこの妻は反対しないのだ。ツラい気持ちは出すけどね。

 勿論、妻として、母として、夫の行為には抵抗はする。とは言っても、基本的には「この人、私がこれだけ言っても、絶対言うことは聞かないんでしょうね」という諦念がある。そうした「諦念」があるからこそ、妻は強くなれる。なので、妻は夫を送り出す。送りだした後は、夫が家に帰ってこないこともあるだろうし、下手をすれば殺されてしまうかもしれない。なにしろ、相手はソビエト共産党を後ろ盾にしたポーランド共産党である。KGBの影もある。人を殺すことなんかはなんてこともない連中だ。

 毎回、夫が置いていくのは結婚指輪と腕時計だ。「いざというときはこれを売れ」というのが夫の覚悟である。

 それでも、男は一旦前に進んだら辞める訳には行かない。妻はそれを理解して(理解しなくても)、彼についていくしかないのか? まあ、そこで離婚するなり、別居するなりの選択肢はあるのだろうけれども、ワレサの妻、ダヌタ・ワレサはその道を選ばなかった。

 結果として、ダヌタはノーベル賞授賞式に出席し、授賞式史に残る演説を行った。まあ、その後ポーランドに帰国してからの入国審査では、ちょっと屈辱的な入国審査を行われたが、それも夫がそんな立場にいる以上、しょうがないのだろう。そこはまた、妻の覚悟なのかも知れない。

 それほどに、当時のポーランドの置かれていた状況は厳しかったんだろう、というか東西冷戦とは言うのも、我が日本にいるとソビエト連邦や北朝鮮を国境を接しているにも関わらず、なんかそんなに冷戦状況が見えなかったりしていた。まあ、我々が鈍感だったといえばそうなのかもしれない。しかし、東ヨーロッパのソビエト連邦支配下の国々では、一部の共産党官僚を除いて大半の大衆は、やはりワレサと同じ感慨を持っていたのだろう。

 その結果が「連帯」という訳なんだよな。つまり「連帯」は別に共産主義体制自体を批判している訳ではない。共産主義の一党独裁体制なおかつバックにソビエト連邦共産党があることを批判していたのだ。

 ポーランドの人たちも、別に共産主義から資本主義に変えるために革命を起こしたわけではなく、もっと労働者が自分の主張を言えるような社会ににしたいから革命を起こしたのだ。

 でも、結局、ポーランドの共産主義から解放する方向としては資本主義への回帰(というか、農奴制から資本主義への革命というか)という形を取らなければならなかった。

 というところは映画と関係ないところ。

 結局、映画としては、レフ・ワレサとダヌタ・ワレサのファミリー・ドラマである、ということなのだ。

「アンジェイ・ワイダ、初の家庭劇」なんちゃってね。

「ワレサ 連帯の男」と言ったって、結局は妻がいなければロクなことも出来ずに、普通の男で終わったかもしれない。

 ということなので、この映画は「レフ&ダヌタ・ワレサの夫婦物語」というのが、本来正しいタイトル付けであり、映画の内容にも即したタイトルだと思うんだがなあ。

『ワレサ 連帯の男』の公式サイトはコチラ

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