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2014年2月18日 (火)

『新白河原人』って何やねん?

 今日はこれから確定申告に行く。e-taxは嫌なので、紙で提出だ。なんだ電子書籍、電子書籍

 って言うこととは関係なく、B&Bで買ってきた本、その2は守村大『新白河原人』だ。

『モーニング』では『万歳ハイウェイ』で読んだ守村大氏は、的確なメカ描写と結構可愛い女の子キャラで覚えているが、こんな自給自足の生活をしていたとは……。

Photo『新白河原人 遊んで暮らす究極DIY生活』(守村大著/講談社/2011年8月5日刊)

『北海道から沖縄まで同様のコンビニ、スーパー、ファストフード店が展開していて、旅先でバイパスを走っていると、既視感に幻惑され、自分が今どこにいるのか不明になる。
 日本中、同じ情報と開発になめつくされてしまい、かつて「田舎」といわれた、のどかで、多少泥くさい生活感は心細くなり、廃れつつある。
 私も買い物は車で5分程の街のスーパーやホームセンターで済ます。なんと、新幹線の駅まで10分とかからない。
 雲行きの怪しい地球環境の未来や、快楽に行き詰まって迷う社会を人並みに憂うけれども、私は文明を批判するものでも、原理に頑なな自然主義者でもない。山暮らしも高邁な思想性や哲学に基づかない。
 それは単純な選択。アスファルトよりも土、便利よりも面倒を覚え、効率・利便イコール快適てのが嘘の気がした。
 時間に追われて忙しく働くより、シフトダウンして生活を切り詰めたほうが、より安楽なのではあるまいか。
 お金をかけずに自分の心と身体の力を試して遊び、生活するほうがカッコイイ気がする』

 というのが、守村大氏が田舎暮らしを決めた理由だそうだ。

 それはそうだが……、しかし普通の人がこんな「田舎の不便な暮らし」を実現できるかといえば、そうはいかないのだろう。「年間食費20万円」って言ったって、それはそこに至るまでの食費は入っていない訳で、じゃあどうすりゃいいのさ、って言ったってそうはなかなか思い通りにはいかないのである。結局、「フツーの人」は、そんな生活に憧れながら、しかし、現実はそうはいかないのだから、たまの休みの時なんかに、どこか「原人的」な生活が出来るところを探してキャンプに出かけたり、野や山に出かけたりするんだろう。で、数日のそんな生活を楽しんだ後は、またまた都会の「北海道から沖縄まで同様のコンビニ、スーパー、ファストフード店が展開していて、旅先でバイパスを走っていると、既視感に幻惑され、自分が今どこにいるのか不明になる」生活に戻り、アスファルトの生活に戻る訳なのであるな。

 まあ、やはりそうした「原人的」な生活を実現できるっていうのは、守村大氏のように、取り敢えず東京でそれなりの成功を収めた人だから、その余裕でもって、その後の「好きな人生」を送れるのである。

 すなわち、この本を読んで、守村氏の生活に憧れて(というか憧れる人は多いと思う、今の世の中では)、単に憧れるだけならいいけれども、実際にそんな生活を自分でも始めてしまうと、ちょっと困ったことになってしまうだろう。

 取り敢えず『広さは4町歩、1万2000坪。東京ドーム約1個分の面積てことになる。広い広い。坪単価は、都心の郊外に我が家を求めた時の1/1800、約500円。ごひゃくえん。山林手のは経済的に虐げられている』

 と言っても、総額600万円である。

 多分、守村氏は、ちゃんと東京にも家を持っている筈であるから、プラスの出費でこの土地を手に入れたんだろう。フツーの人が、まず600万円を支払い、なおかつそれに倍する以上の、「土地開発費」あるいは「開墾費」をかけることを考えれば、機械の購入費や材料費などで数千万円という、ちょっとしたお金が必要になる訳だ。それを、「不退転」でやっちゃあいけない。基本的には、こうした新生活(それもかなり厳しい)を始めるためには、撤退した時のことも考えてやらなきゃいけないってことは、自分の家が東京なり都会の普通に便利なところにあって、なおかつ収入というか所得というか財産といったものに、多少なりとも余裕がなければ、やっちゃあいけないということなんだろう。

 まあしかし、こうしたとんでもない田舎に、山林を東京ドーム1個分くらい買って、そこを開墾し、ログハウスを作って、竈を作って、サウナを作って、そこに暮らすっていうのは、言ってみればある種の「男のロマン」である。『BE PAL』が売れる訳である。

 実際に、ログハウスを一人で作るなんてことは、実に大変なことである。普通の大工仕事でも、自分ではやらなくなってしまった都会人が、ログハウスなんて作れるわけはない。釘さえ打つことのない都会人が、サウナ小屋なんて作れるものではない。鋸の使い方も知らない都会人がチェーンソーなんて使える訳がないじゃないか。

 ということなので、「モノ作り」なんて出来ない人たちは、結局、他人の作った家に住んで、他人の作った服を着て、他人の作った食材でせいぜい最終的な食事の形だけは自分で作る生活を送らなければならないのだ。

 で、どういうことかと言えば、これは究極の「ゼイタク」なのである。

 今の世の中で、こんなに「苦労しなければならない生活」「こんなに不便な生活」「こんなに困難な生活」を「送ることが出来る」(つまり「送らなければならない」のではなく)生活って、実は物凄く「リッチな生活」なのではないでしょうか。

 フツーの人では味わえない生活を、とんでもなく「不便な生活」を普段は味わえて、しかし、軽トラで10分も走れば、東北新幹線新白河駅について、そこから上野までは1時間ちょっとで着いちゃうんですよ。スゴいなあJR東日本……じゃなかった、スゴいなあ、「白河の原人生活」ってことですね。

 そう、それは現代の東京に住む人の永遠の魅力だけれども、でも、誰をしもそれが出来るとは限らない生活でもあるんだよなあ。

 できれば、そんな原始的生活と、現代的生活を往還できるような生活が、多分、現代的生活を送っている人たちの希望なんだろうけれども、実は、なかなかそれは叶わない希望だからこそ、なおさらその希望も募ってくるんだろうなあ。

 なので、なおさら守村大氏の生き方が羨ましくなるのである。

 だって、そんな原人生活を送っていながら、それを『モーニング』で連載しちゃったら、なんだやっぱり漫画家生活をネタにした、「ネタ漫画」にすぎないんじゃん。

 ってなっちゃうんだよなあ。

 別に、羨ましいだけだけどね。

『新白河原人 遊んで暮らす究極DIY生活』(守村大著/講談社/2011年8月5日刊)さすがに講談社、Kindle版もある。ただし、イラストがかなりあるので、紙版の方が読みやすいかも。

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