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« 『40歳からの会社に頼らない働き方』の新しいこと、古いこと | トップページ | オリンパスOM10カメラテスト »

2014年1月11日 (土)

グロースハッカーとは何か?

「グロースハッカー」とは「(商品を)成長させるハッカー」ということなんだろうけれども、私には同時に「増長するハッカー」と読めないこともない。

Photo『グロースハッカー ――会社もサービスも劇的に成長させるものの売り方、つくり方(Growth Hacker Marketing : A Primer on the Future of PR, Marketing, and Advertising)』(ライアン・ホリデイ著・佐藤由紀子訳・加藤恭輔解説/日経BP/2013年12月16日刊)

 たとえば「泊まりたいところ、きっと見つかる 現地の人から借りる家・アパート・部屋・バケーションレンタル」というエアビーアンドビー(Airbnb.com)の立ち上げの頃、『貸し出す部屋をエアビーアンドビーに投稿するユーザーが、同時にクレイグスリスト(Craigslist)にも投稿できるツールを構築したのだ(クレイグスリストは技術的にはこれを認めていなかったので、かなり高度なワザだ)。その結果、ちっぽけなウェブサイトのエアビーアンドビーのリスティングが、いきなり世界有数の人気サイトに無償で表示されることになった』という話なんかは、完全に「増長するハッカー」そのものだ。

 なあんて、あだしごとはさておき、グロースハッカーってなんだ。

『グロースハッカーは、伝統的なマーケティング戦略を放棄し、検証・追跡・測定・が可能なものだけを用いる。彼らの武器は、CMや宣伝や資金ではなく、電子メール、PPC(ペイパークリップ)、ブログ、プラットフォームAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)だ。古い世代のマーケターが‟ブランディング”や‟マインドシェア”などの漠然としたものを追い回している間、グロースハッカーはひたすらユーザーと成長を追跡する。そして、戦略が当たれば、ユーザーがユーザーを引き込む連鎖反応が生まれる。グロースハッカーとは、自立し、自己増殖する成長マシンの発明者であり、オペレーターであり、整備士だ。この成長マシンが新興企業を成功に導くのだ』

 というのがライアン・ホリデイのグロースハッカーの定義。

 つまり、ここで言う「新興企業(スタートアップ)」の大半は、ドロップボックス(dropbox)、メールボックス(mailbox)、ツイッター(twitter)、フェイスブック(facebook)、エヴァーレイン(everlane)、インスタグラム(instagram)、ミント(mint)、アップスモウ(appsumo)、スタンブルアポン(stambleupon)などのIT系企業であり、マーケティング資金の乏しいこれらの企業のスタート時点でどうやって企業自身や製品のPR、マーケティング、宣伝をやっていたのかというのが本書のテーマ。

『製品開発とマーケティングを完全に別のプロセスとして行う方法はもう古い』

 ということ。ではどうやって「製品開発とマーケティングを同じプロセス」として行うのだろうか。

『グロースハッカーのルーツはエンジニアだ。データサイエンティストでデザインフリークでマーケター。彼らは情報を取り込み、処理して利用可能な形にする。そして、そうした情報が、直感と芸術志向が支配してきたマーケティングの世界で、切実に求められてきた明晰さだとみるのだ』

『グロースハックとは、ツールキットというよりも、マインドセット(考え方)だ』

『グロースハックのマインドセットは、製品発表の数週間前に始まるのではなく、製品の開発・設計フェーズから始まる』

『あらゆる場所で話題になりたい、動画を数百万回再生してもらいたい、ツイッターの「トレンド」になりたい――こういう感覚はよくわかる。こういうマーケターは、あらゆるところに行こうとして、結局どこにもたどり着けない。
 なぜなら、‟あらゆる人”のほとんどは自分の製品のユーザーにはならないからだ。
 グロースハッカーはこの誘惑(というか、もっと適切に言うと、妄想)を退け、アーリーアダプターだけを魅了するよう慎重に動く。<中略>その結果、余計な‟バズ”なしで今やユーザー数百万人規模になっている。彼らは、少なくともスタート段階では、マスマーケットに訴求したいという衝動を無視することで、結果的にマスマーケットにリーチしたのだ』

 なるほど、旧式のマーケティング(本書では「ハリウッド映画式マーケティング」と呼んでいる)では初めからマスマーケットを意識してPRしマーケティングをし、宣伝を行う。しかしこれは莫大な資金がいる。

 じゃあ資金に乏しいスタートアップ企業はどうすればよいかといえば、最初はマスは相手にしない。製品の開発と共に、開発情報を出してそれに目を付けたアーリーアダプターにまずアプローチ。アーリーアダプターを取り込んだら、彼らのアドバイスも聞きながら製品開発を行い、β版ができたあたりでアーリーアダプターに使ってもらって、その使い心地を楽しんでもらう。

 そうなれば自分も開発に参加したアーリーアダプターは、自らのブログやツイッター、フェイスブックなどのSNSを使って「クチコミ」で拡散するだろう。こうなれば、その拡散スピードは複利方式でどんどん加速していって、短期間で数百万人のユーザーを獲得できるのだ。

 こうなってしまえば、最早製品のブランディングにお金をかける必要はない。SNSを通じて無料でブランディングができてしまうのだ。

 当然、そうやって掴んだ顧客を定着させるには製品の改善も常にしていなければならない。

『企業はサービスそのものの改善に投資する必要があるのだ。ユーザーがそのサービスから離れられなくなる(そして友達を誘う)まで改善しよう』

 で、その仕事もグロースハッカーの仕事なのである。

『グロースハックのスタートは、かつてのマーケターには関係ないと思われていた領域(製品開発)だった。だから、ゴールもマーケターのこれまでの仕事と無関係なのは当たり前だろう』

 まさに「小さい会社」でのエンジニアの仕事をやりながら、同時にマーケターの仕事もやるのがグロースハッカー。

 というか、それは小出版社の編集者の仕事にもよく似ている。

 本(製品)を企画し、作家とともに(読者のことを考えながら)作業を進め、プルーフ(試読版)ができたらそれを書店員に配り(本の場合、書店員がアーリーアダプターであることが多い)、彼らのクチコミに期待し、本が刊行したら作家と一緒に本の宣伝に書店を回る。

 うん、まさに小出版社の編集者というのは、少し違うかもしれないが、アナログなグロースハッカーの一種でもあるのだな。

 と、自分の経験に近いところに無理やり結論を持ってきて、終わり。

『グロースハッカー ――会社もサービスも劇的に成長させるものの売り方、つくり方(Growth Hacker Marketing : A Primer on the Future of PR, Marketing, and Advertising)』(ライアン・ホリデイ著・佐藤由紀子訳・加藤恭輔解説/日経BP/2013年12月16日刊)Kindle版もあり。少しだけ安い。

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