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2014年1月 7日 (火)

『BOSS』楽天の三木谷浩史氏は日本を切れるのだろうか?

 若手経営者のための雑誌『月刊BOSS』2014年2月号のカバーストーリーは『三木谷浩史の「日本改造論」』である。

「日本改造論」というと古くは北一輝の『日本改造法案大綱』とか、田中角栄の『日本列島改造論』、小沢一郎の『日本改造計画』なんかを思い浮かべるが、それらに共通するのが「既得権益の廃止」でなのである。

2014_01_05_00012『月刊BOSS』2014年2月号(経営塾/2013年12月24日発行)

 勿論、小沢の『日本改造計画』や三木谷の『日本改造論』では「規制緩和」というのが一番の眼目にはなってはいるが、それも結局は既成勢力の力の源泉が規制強化なのだから、「規制緩和」と「既得利益の廃止」というのは同じ意味。

 北一輝の『日本改造法案大綱』の基本は「言論の自由」「基本的人権尊重」「華族制廃止」「農地改革」「普通選挙」「私有財産制への一定の制限(累進課税の強化)」「財閥解体」「皇室財産削減」といったもの。現在でも納得できる改善策が盛り込まれていて、二・二六事件にコミットした若手将校たちの心情にも理解ができる。この若手将校たちの多くは東北地方出身者が多くて、かの地の貧乏な家の少女が身売りされている現実を見て、そのような行動をとったということも追記する必要もある。

 田中角栄の『日本列島改造論』も「工業再配置と交通・情報通信の全国的ネットワークの形成をテコにして、人とカネとものの流れを巨大都市から地方に逆流させる‟地方分散”を推進すること」を主旨として1972年に総裁選で勝利し内閣総理大臣になった訳である。まあ、これも一種の革命ではあったわけである。つまりそれまでの東大出の官僚か、代々自由党か民主党の党人派であった人間がしか総理大臣になれなかった自民党の歴史を、一介の高等小学校卒のなんの後ろ盾もない人間が総理大臣になってしまったわけである。やはりバックには貧しい新潟県をなんとかしたいという願いがあったに違いない。

 ただし、総理大臣になった田中角栄がやったことといえば、「交通・情報通信の全国的ネットワークの形成」のおかげで「地方・中央」の交通ネットワークが形成されたことで、却って人口や産業の中央集中が進んでしまい、田名角栄の思惑とは逆の方向に日本が進んでしまったということ。首都圏や大阪圏、名古屋圏などの大都市に人口が集中し、その一方で地方都市ではシャッター街化が進んで行ったことは田中角栄の思惑にはなかった人間の心理のなせる業ではある。

 小沢一郎の『日本改造計画』は「新自由主義的な経済改革」「自由貿易の推進」「軍事も含めた積極的な国際貢献」「政権交代のある二大政党制を可能とする政治改革」などが眼目で、基本的には21世紀へ向けての主要な政治課題を先取りしたものだ。

 しかし、この「軍事も含めた積極的な国際貢献」という点が、アメリカ追随ではなくて国連主義を謳ってしまったために、その政策はアメリカの同意を得られなくってしまい、結局アメリカに指導された日本の官僚によって政治生命を失うことになってしまったのである。

 で三木谷氏の『日本改造論』はどんなものかといえば、とりあえず医薬品の「体面原則・書面交付原則の撤廃」という、まあ前三者からすればあまりにも小さい「改造論」なのであった。

 しかし、大きな問題は

『国が成長するためにはイノベーションが不可欠だということ』

 そのためには

『ネット規制を筆頭に、成長を阻害する様々な規制を撤廃すべきであり、日本企業が国際的に競争できるように、法人税率を他国並みに引き下げることだ。さらにはグローバルで活躍できる人材を育成するために教育改革が必要であり、中でも英語教育に力を入れろ、といったものだ。いずれもかなり昔から言われていることであり、特に目新しい内容ではない。総論で反対する経営者はほとんどいないはずだ。
 にもかかわらず、日本社会はこれまで変わってこれなかった。そしてこのままでは、いつまでたっても変われないのではないか。その恐怖心が三木谷氏を動かしている』

 というのが、三木谷氏の「日本改造論」の根幹であるそうな。

 しかし、それが三木谷氏の根本なんだろうか。

 楽天という会社はとりあえず日本で起業した会社だ。そんな意味ではとりあえずは日本という社会の中で生きていかなければならない。しかし、三木谷氏の心の中では必ずしも「楽天は日本の会社である」という必要性はないのではないだろうか。

『三木谷氏は13年7月に行われた楽天市場の店舗向けのイベント「楽天EXPO」東京会場での講演で、
「楽天の全流通総額のうち、将来的には30%は海外向けの販売にしたい」と語っていた。これは単にグローバル化を語っているのではなく、国内の楽天市場の出店者に対して「君たちも海外に出ろ」と促したコメントでもある』

 であるならば、楽天自体も別に日本で営業を行い続ける必要はないわけで、いつでも本社を日本以外の場所に置くことも考えているのであろう。

 多分、そのきっかけは、上記の医薬品のうち全医薬品の流通量の0.2%ではあるけれども、劇薬や発売から3年以内の新薬の28%と処方箋薬についてはインターネット販売を禁止した改定薬事法を成立させた政府に対して、それは憲法違反にあたるとして国を提訴した裁判の結審する時だろう。もしそれが憲法に反していないということになれば、もう楽天は日本に本社を置く必要はない、日本には出先会社だけおいて、本社はもっと法人税の低いどこか別の国に行ってしまえばいいのだ。それでも今までと同じように楽天市場は運営できるのだ。

 で、問題はこれまでどちらかというと堀江貴文氏なんかと違って、うまいことお年寄りの経営者(つまり既成勢力の既成権益獲得者)なんかともうまく付き合ってきた三木谷氏が、本当に日本を捨てることができるのか、ということなのだ。

 問題はそこだよなあ。

 自分では日本を捨てること充分であると思っていても、これまで付き合っていた人種が完璧に日本人だったらからなあ、なかなかその関係は切れないもの。

「お前は裏切り者だ」

 と多くの日本人経営者から言われてもなお、日本を捨てられるかというところが、三木谷氏が経営の革命者と呼ばれるのかどうかというところだよな。

 ただし、本当の社会革命家は祖国に居残って、着実に国を変えていくんだけれどもね。その辺が革命家に「社会」がついているかどうかの違いかな。

『月刊BOSS』2014年2月号(経営塾/2013年12月24日発行)

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