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2013年12月 4日 (水)

『ブラック企業ビジネス』って、そんなに裏側があるわけでもない

 そうか<ブラック企業>のウラには<ブラック士業>がいるって訳なんだな。

R11972522『ブラック企業ビジネス』(今野晴貴著/朝日新書/2013年11月30日)

<ブラック士業>ってのは、本書によれば「弁護士」と「社会保険労務士」ということになるようだ。本来は、一般の人を違法な労働条件やらその他の違法な状態から守るべき立場にある「法律を基本にした仕事」を行う人が、何故<ブラック士業>に手を染めてしまうのか。そこにも問題がありそうである。

 ひとつは『1999年7月、内閣に「司法制度改革審議会」が設置され、司法制度改革を目指す議論が開始された。主要な柱は、①法科大学院(ロースクール)の設置(2004年4月から)、②司法試験制度改革(2006年5月に新司法試験開始)、③裁判員制度の施行(2009年5月から)の3つである。特に①②で目指されたのは、法曹人口の拡大だった』という。訴訟件数の増加や、企業や公共団体などへの弁護士の進出というニーズの拡大を見込んで、主に弁護士の人数の拡大することを考えたわけである。

 ところが、ロースクールで学ぶための費用だとか、司法修習生への給費の廃止などの問題が出てきて、多くの弁護士たちが「法律家の卵」の段階で既に貧困状態に陥っている。更に景気停滞などの影響を受けて訴訟件数は減ってしまい、その結果、2009年東京を拠点とする弁護士15,894人のうち、実に3割にあたる4,610人の弁護士が年収70万円以下となっていることが分かったという。2011年には全国の弁護士の中で100万円以下の年収しか受け取れなかった弁護士が6,009人(約22%)もいたというのだ。

 結局、昔は「イソ弁」などという多少は自虐的な言い方をしていた若手弁護士が、いまやイソ弁どころか、「ノキ弁」、「即独」、「ケータイ弁護士」などという弁護士自身がワーキング・プア常態になっているというのである。

 そんなワーキング・プア状態に陥っている弁護士たちを狙って暗躍する者たちがいるそうだ。

『「非弁」と呼ばれる集団である。弁護士資格を持たない彼らは、名義を貸してくれる弁護士を取り込んで法律事務所を立ち上げ、「事務局」を形成して、大量に事件を集めて大量受注・大量処理を行うことで利益を上げようとする』

 その結果、こうした弁護士たちがブラック企業の側に立ち、取り入れる手法は主に3つあるという。

『第一に、「脅し」である。これは弁護士・社労士といった専門家の権威を悪用した手法だ。第二は、訴訟・係争費用で相手を怖じ気づかせる手法である。第三は、法制度を意図的に「誤用(濫用)」し、当事者を混乱させ、紛争を無限に拡散させていく方法である』

 これ知ってる。私も以前ある女性との別れ話をした時に、女性側の弁護士から「訴訟するぞ」って脅しを受けたんだが、「フザケルナ!」って言い返したら、そのまま音沙汰なしということになってしまった。その時から、私は弁護士って言ったってたいしたことないな。法律に反していることをやっていない限りは、別に弁護士なんて怖くない、という風に考え方を決めてきたのだが、そうした経験を持っていない人にとっては、なんか弁護士自身が法律を操って「怖い人」という風に映ってしまうのだろう。

 で、そんな弁護士が「ビジネス」として法律を操ろうとしているのが、<ブラック企業>のウラにいる<ブラック士業>の構造なのだ。

『今、言論を封じ込める不当な目的で起こされる訴訟が世界中で社会問題となっている。そして、何を隠そう私自身も、ユニクロとワタミから「脅し」ともとれる通告書を受け取っている。
 本書でこの問題を取り上げるのは、ブラック企業の社内圧迫的な体質と、訴訟による言論への圧迫行動が連関しているように見えるからだ。会社内の社員に対して、圧力をかける企業は、お金と弁護士の力を借りて批判的意見をも封殺する』

 しかし、そんな圧迫的行動も結局はそんな行動を無視する、あるいはそんな行動に対抗する気構えをもっていれば、まったく問題にはならないのだ、

『アメリカでは、市民団体に対する「名誉棄損」「業務妨害」などの民事訴訟が70年代から増え始め、80年代にSLAPPとして社会問題化したことで認識が広がり、90年代には全米各地の州で反SLAPP法が制定されるようになっていった』

 いずれ日本でもこうした法律は出来るであろうが、なんかアメリカに先を越されるのは残念ではある。というのも、結局はアメリカでこうしたブラック企業が既に存在していたんだなということもわかるのである。

 20世紀の日本は社会主義国ではないかと言われていた位に、国の規制が強く、しかしその中で高度成長を遂げてきたという歴史があって、(経済的には)世界の一等国になった日本である。

 しかし、そんな日本もそうした護送船団方式ではうまくいかなくなって、結局、規制緩和の方向に向かっていったところ、出てきたのは<ブラック企業>問題である。結局、社会の規範が緩くなって企業が勝手に事業を展開できるようになれば、それはどこかで<ブラック企業>が暗躍どころか、社会の中で受け入れらるような形ですら存在してしまうということになるのだろう。

 そこで企業経営者に求められるのは「モラル」なんだろうけれども、その「モラル」というものは、明確な規範がない。というか、明確な規範がないからこそ「モラル」なんだろうけれども、だから結局は経営者の人間としての考え方が「モラル」になるのである。

 渡邉美樹氏や柳井正氏が、自らの働き方を正当化するのは別に構わないけれども、それと同じことを従業員に強制するのは問題がある。だって、自らの働きがそのまま自らの収入になる創業者と、企業の儲けの一部分しか収入にならない従業員の立場は違うのだ。それを一緒くたにして従業員にまで創業者的な仕事の仕方を押し付けるっていうのは……やっぱりブラックでしょ。

 で、そんなブラック企業を後押しするブラック士業の人たち。

 もう、そんなことは辞めて、普通に法律を守って仕事をしましょうよ。

 えっ? そんなことを言ったら弁護士辞めなければならなくなってしまうって?

 じゃあ、辞めりゃあいいじゃんかよ。

 弁護士やめてもいくらでも仕事はあるんだけれどもなあ。

『ブラック企業ビジネス』(今野晴貴著/朝日新書/2013年11月30日)残念ながらKindle版は今のところない。電子書籍への対応が遅いのが朝日新聞出版である。

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