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« 万世橋駅、なう…再び鉄オタの聖地になるか | トップページ | PARIS GALERIE DE LUMIERE 2010-2013 »

2013年12月 1日 (日)

『「就社志向」の研究』といっても、別に特別なことが書いてあるわけではない

「希望は社畜」って腰巻の煽りがちょっと気持ち悪いが、まあ、書いてあることは普通だ。というよりは「凡庸」だ、と言うべきか……。

 って言うか、こういう本って、あまり書評に困る本ではあるんだよなぁ。自分で決めたくせに。

R11972512『「就社志向」の研究――なぜ若者は会社にしがみつくのか』(常見陽平著/角川oneテーマ21/2013年11月10日)

 結局、就活する方(学生及び大学)はあくまでも大学受験のような「公正さ」を求めるのに対して、採用する側(企業)はそんな公正さなんてものは一顧だにしないということなのである。つまり企業の求める人材というものは一定の基準なんてものはなくて、「多様」であるということなのだ。

 企業を取り巻く環境は常に変化している。そんな時に、企業に所属する人材が一つの価値観に凝り固まっていては、変化に対応できずに企業は倒産してしまうだろう。したがって、企業は多様な人材を求める訳で、その際には企業の採用する人材は様々な要素によって決まるわけである。つまり、企業は「私たちの会社が求める人材はこんな人たちです」なんてことを言っていても、別にそんなことを守るつもりはさらさらないのである。

 で、そんな企業が求める人材は東大、京大、一橋、早慶上智、GMARCH、関関同立あたりで充分求めることができるし、更にそれらの大学出身者なら普通の知能、感覚、技能は備えている筈だから、その辺から採用しておくのが一番間違いがないということにすぎない。勿論、日東駒専、大東亜帝国あたりからでも一流企業に採用される人もいるわけで、まさしくこれが企業の求める人材は一様じゃないということの表れなのである。

 ところがこうした企業の採用活動を一変させてしまったのが、リクナビやマイナビなどの、ウェブでの採用作業であろう。

『ネットを活用することにより、学生は居ながらにして、求人情報を閲覧、検索することができ、自分に合った企業に簡単に出会え、応募することができ、就職活動の手間を軽減することが期待されていた。ネットであるが故に、地域間の格差を解消するものだと思われていた。資料請求ハガキの送付や、企業説明会の予約など、手間のかかるものから解放され、自分の就きたい仕事や働きたい企業を探すことに専念できるようになることが期待されていた。企業も同様で、履歴書の山から解放され、より必要な人材を探せるようになることが期待されていた。
 しかし、これらの期待は大きく裏切られ、問題が起きてしまった。応募数の増大、ミスマッチの増加などが指摘されるようになった。結局、就活はますます肥大化、膨張化、煩雑化してしまった。
 まず、応募数の膨張である。就職課の求人票から探す時代、資料請求ハガキを送付する時代は、応募そのものに負荷がかかる時代だった。いくら資料請求のための事務的なハガキとはいえ、学生はこれも選考に関係あるのではないかと丁寧に書こうとする。
 逆に言うと、これにより応募数は抑制されていたとも言える。
 ただ、就職ナビでは、クリック一つで応募できるようになり、応募数は膨大になったのだった。一括エントリーと言って、例えばある業界を軸に検索したらこれらの企業に一気にエントリーすることも可能になった。結果として、企業への応募数は膨張していった。
 これまでの採用活動で活用されていた大学経由の求人票や、学生ごとに宅配される求人情報誌とは違い、学生は、掲載されている情報はすべて閲覧することができる。これにより、これまででは「ウチの大学からはこの企業は無理だろう」と思うような企業へのエントリーも可能になったのであった。これでまた母集団が増える。
 なお、この「エントリー」はあくまで、情報を企業に登録したものであって、応募書類を書いたわけではない。他の項目でも触れるが、メディアでは学生が何十社も「応募」しているのに内定が出ないという言説が紹介されるが、これはあくまで情報を企業に届けただけの状態である。とはいえ、これにより企業から多数のメールが届いたり、アプローチがあるので、心理的な負担は増えるのである』

 と学生側の負担増を言っているが、それは同時に企業の側の負担も増えているわけで、そんな「どうしてもこの会社に入りたい」と願っている学生ばかりでなく、それこそ「記念受験」みたいな気分の学生の相手までしなければならなくなってしまっている状態も、企業側の負担増も大きな問題なのである。

 なので、企業側も就活改革を言いだす訳である。つまり;

「インターンシップで低学年時から内定がもらえる採用手法」
「受験資格に社員か関係者の紹介状を求める採用方法」
「特定の技術・経験を有している学生には初任給が著しく高く設定されている採用手法」
「文系でも職種別に応募できる採用手法」
「入社時期を春と秋で選択できる制度」
「はじめから海外勤務が約束されている制度」
「一芸に秀でた人を採用する制度」
「他社のエントリーシートでも選考してもらえる制度」
「自分の動画を撮影し、その動画で選考される制度」
「会社の現場で実務経験を行い、選考される制度」

 このうち「インターンシップ」「社員か関係者の紹介状」「海外勤務」「一芸」「動画」などが学生からは受けが悪い採用手法なのだが、こうして見るとなんか学生側の消極的な就活姿勢が窺えるのではないか? 「インターンシップ」が採用と関係ないなんて発想は日本だけであり、欧米ではインターンで働くのはまさしく就活そのものだし、「紹介状」だって、どこの大学だって岩波で本を書いた教授はいるだろうから、その先生から紹介状をもらえばいいだけの話だし、「海外勤務」なんて希望したってできない人が多いし、「一芸」「動画」なんてまさしく今の学生のお得意分野なんではないかと思うのだ。

 ところがそうした手法が人気がないというのは、学生側の自身のなさというか、普通に試験で採用してねという消極性でしかなし、そんなでは結局、企業からの採用通知はこないのであろう。

 結局のところ、「はじめっからフリーランスでやる自信のない」人、「最後までフリーランスになるつもりがない」人たちがサラリーマンになるわけで、「はじめっからフリーランスでやるつもり」の人、「サラリーマンになりたかったがなれなかった」人がフリーランスになるという状況は全く変わっているわけではない。中には「いずれフリーランスになるつもり」ではあっても、結局、定年までサラリーマンをやってしまった、私のような人間もいる、というか多分そんな人が一番多いのだろうけれども、だとしたら、もうちょっと真面目に就活というものをやってみてはどうなんだろうか。

 言っておきますが、サラリーマンになるのだって、そんなに簡単なのではないのだよ。

『「就社志向」の研究――なぜ若者は会社にしがみつくのか』(常見陽平著/角川oneテーマ21/2013年11月10日)Kindle版もある。さすが角川。

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