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2013年11月23日 (土)

『独身・無職者のリアル』スネップ(SNEP)って何だ?

「スネップ」って何だ?

『スネップ(SNEP)とは経済学者の玄田有史教授が提唱した言葉で、文字通りには、孤立した(Solitary)無業の(Non-Emplyed)人びと(Persons)を指します。より詳しくは「20~59歳の、結婚したことがなく、学生でもなく、家族以外の人付き合いがない、孤立状態にある無業者」と定義されています』

 なるほど、ニートが「Not in Education, Employment, or Training」と言って、日本では15~34歳の非労働人口の中から学生や専業主婦を除いて、求職活動を行っていない人を指すのに比べて、それよりもっと広い対象に向けた言葉なんだな。

 もっとも、ニートや引きこもりの人たちが、そのまま大人になってしまっている状態を指している訳で、ニートや引きこもりのなれの果てとでも言えるのではないか、と考えたのだが……。

R11972472~果てしない孤独~独身・無職者のリアル』(関本徹平・藤原宏美著/扶桑社新書/2013年10月1日)

 第二章に4つの実例が出ている。

 ケース1は『現在、都内で予備校講師や家庭教師をしている中井壮平さん(仮名・49歳)は、仕事量がシーズンによって大きく異なる。「週に家庭教師の授業が1コマだけ」という無業同前の時期もある潜在的スネップの一人だ。
「予備校の場合、少子化の影響もあるけど、それ以上に大きいのはネット配信の授業が増えたこと。だから、講師の数が要らないんですよ」
 予備校講師といえば「いつやるの? 今でしょ!」のセリフで2013年に一躍ブレイクした林修氏が有名だが、彼は以前から多くの受験生に支持されていた大手予備校の人気講師だった。だが、彼のような高い報酬をもらっているスター講師はほんの一部だ。実際にはこの5年、10年の間に学習塾を含め、多くの講師が淘汰されている。授業コマ数を減らされて収入の大幅ダウン、契約を打ち切られて転職した者も少なくない』という状況だそうだ。

 ケース2は『現在、北海道で市役所の嘱託職員として働く小林礼子さん(仮名・47歳)は、3年前に22年間勤めていた首都圏の私立大学職員の仕事を退職。その後、北海道の実家に戻ってから無業と契約社員などを繰り返す不安定な状況が続いている。
「大学職員を辞めることになったのは、私の病気が理由です。以前から双極性障害を患っていて、退職する少し前には拒食症で入院していたんです」
 このときはまだ休職の状態だったが、医師からは一人暮らしで周囲に支えてくれる人がいないことを不安視され、「もう働くのは無理だ」との宣告を受けた。
「しかも、追い打ちをかけるように職場からも『退職してほしい』と言われました。どのみち仕事を続けることは無理でしたし、辞めざるを得ない状況でした」
  <中略>
 小林さんの父親は75歳、母親は74歳。高齢の両親は仕方なく同居に応じたにすぎず、病気についても理解できていなかった。それどころか同居開始から1年後、障害給付金の受給期間が切れようとする娘に、「働きなさい」と冷たく言い放ったという』。

 ケース3は『神奈川県在住の遠山淳司さん(仮名・49歳)。2008年に職を失って以来、5年近く定職に就けずにいる。
「42歳のとき、約1年間の求職活動を経て電気部品の工場で働き始めました。でも、大口の取引先からの受注が突然なくなって会社の経営が傾いてしまったんです。それで財政的に社員を雇えないって、僕を含む50人ほどの社員がリストラされました」
 44歳で無職となり、長期間の職探しを覚悟していた。だが、すぐに面接してくれる企業が見つかり、最終の5次面接まで残ることができた。
「でも、ここでリーマンショックが起きてしまい、求人自体が白紙になったんです。このとき、『正社員じゃないけど……』そのお詫びとして提示されたのが3か月の試用期間限定の採用でした。こっちは他に仕事もなかったですし、断る理由はありませんでした」
 このとき会社側は、「ノルマを達成できたら正社員として雇う」という約束。ところが、その条件とは、「期間内に飛び込み営業で300万円を売り上げる」という大変厳しいものだった。扱う商品の単価は1個500円や1000円。雇う気がないのは明らかだった』

 ケース4は『北海道在住の吉田啓太さん(仮名・37歳)は、典型的なスネップだ。
 35歳のときに、流通系企業の子会社を退職。以来、求職活動をしておらず、無業の状態が続く。同居する両親以外の人間と接する機会は皆無で、せいぜい近所の人と挨拶を交わす程度。学生時代の友人とは会うことはもちろん、電話やメールのやりとりもない。
  <中略>
 就職も、志望したのは地方公務員。役所勤めなら、人付き合いが苦手でも務まると思ったからだ。大学在学中は、アルバイトも一切せずに試験勉強に励んでいた。
  <中略>
 しかし、努力の成果が実ることはなく、気がつけば6年連続で不採用という結果に。結局、年齢制限などの問題もあり、ついに公務員になることを断念。このとき、すでに28歳になっていた』

 とは言うものの、ケース3の遠山さんの場合はブラック企業顔負けの超ハードな職場だけど、年収約800万円という企業に10年間勤めていたおかげで、現在でも約2000万円の貯金があり、スポーツサークルにも参加していて、他のスネップほどには悲壮感はないが。

 結局、こうしたスネップが多く生み出されている原因は、現代日本のコミュニケーションのありかたの変化にありそうだ。

(1)高度経済成長期の始まる前の農村を中心とする社会=地縁・血縁社会
(2)高度成長期に形成された「学校・企業・家族の三位一体」の社会=社縁と家族の社会
(3)「学校・企業・家族の三位一体」が崩れ始めた社会=無縁社会

 という変化である。

『社縁を結べなければ、家族というつながりを形成することも難しくなります。今まで育ててくれた家族との関係も悪化しかねません。実家にいられなくなれば、ネットカフェ難民や路上生活を余儀なくされるかもしれません。住居を失えば、求職活動の条件は余計に悪くなります。
 社縁から排除されていることが血縁からの排除に結びつき、血縁からの排除が社縁からの排除につながるといったように、排除はたがいに関連しています。社縁に恵まれなかった人びとが、家族を形成できずに孤立するという、無業と孤立の連鎖がおきるのです』

 結局、スネップという孤立無業者の問題は「個人の問題」ではなく、そうした社会の中での人と人の関係性の変化によって起こされるものだということ。つまり「社会の問題」なのである。

 そこが「引きこもり」や「ニート」とちょっと違う。

~果てしない孤独~独身・無職者のリアル』(関本徹平・藤原宏美著/扶桑社新書/2013年10月1日)

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