フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« 東海道品川宿を往く | トップページ | 東京六大学野球秋季リーグ戦閉幕 »

2013年10月28日 (月)

『失踪日記2 アル中病棟』の面白くも壮絶さである

 吾妻ひでおという漫画家は元々自虐的な漫画家だった。

 もっぱら自分が主役になって、美しい女性キャラにバカにされるというのをマンガのネタにしてきた人だ。それが、まさしく「自虐⇒自ギャグ」になっていたのが前著『失踪日記』であった。

 それが今度はもっと「自虐⇒自ギャグ」の度を深めて『アル中病棟』なのである。まあ、別に吾妻氏は法を犯した訳ではないので刑務所とは違って、嫌なら出ていけばいいというユルさはあるんだけれども、でも、アル中とおさらばしたいという気持ちが本人にあれば、そこの仕組みに従わなければならないわけで、それはそれで厳しい規則の中での生活なのである。

2013_10_24_1969_edited1失踪日記2 アル中病棟』(吾妻ひでお著/イースト・プレス/2013年10月10日刊)

 私も毎晩酒を飲む、というか昼間でも気分によっては酒を飲む。そんなわけで私も「アルコール依存症⇒アル中」の道を歩んでいるんだろうけれども、まあ、別に「死」を怖がっている訳ではない。それは単なる物理的な「生物としての生の終了=死」であるに過ぎないんであって、「魂」や「精神」の存続なんてことは一切信じていない仏教徒であるので、別にアルコールで死んでもいいのだが、遺族はなんてことを考えるのかなということは少しは考える。が、まあ、「少しは」だけであまり考えていない。

 まあ、「魂」や「精神」が存続しちゃったら困るけれどもね。

 で、アルコール依存症ってどういうものか、本書自ら登場する吾妻ひでお氏に従えば;

『アルコール依存症者は酩酊することで自己を拡大し「万能感」「合体感(他人と自己の区別がなくなる)」などの誇大傾向、いわゆるパワー幻想にとらえられ、その陶酔感(=薬因性オーガズム)から逃れられなくなってしまいます。
 退行状態(子供返り)になった時の多幸感が忘れられず、同じことを繰り返すようになるんですね。
 それが精神的依存になり、やがて身体的依存にまで進行します。
 こうなると、もはや引き返せなくなるわけです。
 アルコールの身体的依存の怖さは以前にもお話しした通り、死に至る病です。
 ではなぜ依存症者は陶酔感を求めるのか。
 素面(現実)への不安感・空虚感を否認するためです。
 現実生活での不安・淋しさ・怒り・抑うつ等に直面して、自分が壊れてしまうのを防ごうと自己防衛しているわけです。
 不安や空虚感にとらわれる要因は、人それぞれ多種多様です。
 一因に幼児期の精神的外傷(出ましたトラウマ)があると言われています。
 幼児期の拒絶体験(放置・見捨てられ・愛情の拒絶)、過保護(芝生的母子関係)、早すぎる責任分担(長男・長女)、これらの体験から過剰な依存欲求を持つ性格が生まれてくるわけです。
 100%以上の愛情を他人に求めてしまう。
 なにかと「退屈だ退屈だ」と言っている人は、一人を楽しむことができない、自己愛(自立)が育っていない人です。
 過剰な依存欲求を他人に向けると、当然拒絶されます。
 ここから「拒絶→不安→否認→失敗→自責感→飲酒→否認」となって描いている私もわけがわからない。
 他人の過剰な依存欲求をむしろ喜んで受け入れる人は、共依存的性格ですので、この場合2人して破滅します。
 依存症には過剰適応性格の人が多いとされています。
 がんばりすぎる、頑固すぎる、高望みしすぎる、割り切りすぎる、惚れ込みすぎる、中庸がない、独自性にこだわりすぎないのが大事。
 そして健康な依存関係を作っていくこと。自助グループ(断酒会・AA)で、家族ではなく仲間を作る。その中で自己愛(自立)を確立する。
 恨みを開放するのだ。
 私は孤独ではない! 私には仲間がいる。
 私は自己の欲求・行動・感情に対して無力である。
 足(行動)・耳(素直に聞く)・口(感情の分化)を使い、仲間を信じて、私は回復してゆくでしょう。
 感謝します。
 私は皆さんに感謝しています』

 って、何が何だか訳が分からなくなってきたぞ。

『というような、感情の効用も1~2ヵ月で消え、またもとの依存的感情生活に戻ってしまうのが普通です。断酒への道は遠い。がんばってください』

 というオチなのであった。

 この業界(何の業界だ)に伝わる格言『一度呑もうと決めたアル中は、何人とも止められない』そうなので、ということは一度アル中になってしまったら、もう死ぬまで治らないというのだろうか。

 取り敢えずアル中病棟を無事退院した吾妻氏は、断酒してから1年後くらいに強烈な飲酒欲求に囚われる。清酒やビールの自販機をみてそこにお金を入れてしまう。

 しかし『にらみ酒すること半日……。よい子のアル中さんは真似しないでくださいね。だいたい酒のほうが勝ちますから。この時の私はほっぺたの内側の肉噛んで、血流して耐えたけど』

 というのなら飲んじまえばいいじゃないか。

 どうせ人間一度は死ぬんだから。

 なんて悪魔の囁きでした。

失踪日記2 アル中病棟』(吾妻ひでお著/イースト・プレス/2013年10月10日刊)

« 東海道品川宿を往く | トップページ | 東京六大学野球秋季リーグ戦閉幕 »

アニメ・コミック」カテゴリの記事

コメント

ごめんください。初めて書き込みさせて頂きます。
アルコール依存症についてですが、私の場合父が依存症で、病院の閉鎖病棟に今、入院しております。

率直に書いてしまいますが、アルコール依存症患者の場合、その家族は地獄です。
(患者本人に家族がいれば、の場合ですが)

本人は酒で人格が崩壊し、仕事や生活の全てを放り投げて周囲に多大な迷惑をかけ、たまりかねた家族が酒を取り上げようとすると、「貴様なんかいらん!」「バカ息子!出て行け!」などと罵倒する。

私の場合、家族経営の小さな自営業だったため、仕事上親父をそのままほっぽり投げることも出来ず、結果として15年以上、延々と(私だけでなく、母もですが)罵倒され続け、こちらの人格も崩壊しそうになりました。
(あのまま続いていたら、親父を殺していたかも知れません)

もはやどうしようもなくなり、数年前に病院へ入院させ、そこでアルコール依存症について初めていろいろ知ることとなり、同時に思いつめた表情の、他の家族の方の顔を見る事となり、「ああ、この方々もまた、地獄のような苦しみを味わって来たのだな・・・」と、思いました。

アルコール依存症の場合(他の依存症については、知りません)深刻なのは、「酒」を「飲む」という、日常生活ではごく当たり前の行為の延長線上(行き着く果てではありますが)にあるため、本人や家族の知らない間に依存症となってしまい、やめる事が難しく、そして家族や周囲の人間を激しく傷つけ、苦しませ、そして本人はもとより、身内の人間の人格までも、崩壊させかねない・・・という事だと思います。(私の経験からですが)

患者本人だけが勝手に苦しむのなら、まだマシです。しかしその周囲にいる人間、支えようとした家族、それら多くの人をも巻き込み、どうしようもない苦しみを与え続ける。それが一番悲劇ではないかと、考えます。

毎日酒がきっかけで罵り合いの喧嘩となり、一日として心が落ち着かない。それが延々と10年以上続く。
私の場合、大人だったからまだマシでしたが、もし子供のいる家庭でこのような事が起こり、それが日常となったとしたら、子供の心が壊されてしまいます。
(そうなった例も、病院の勉強会で知りました)

そして最後は連続飲酒により脳が破壊され、健忘症状がひどくなり(私の父は、コルサコフ症状と診断されました)、日常生活に支障をきたし、家族に更に負担がかかる。

延々と罵倒され、殺意すら湧いた父が、酒を飲んでぶっ倒れ、頭を打ち血を流している姿を見たら、例え憎しみを持っていたとしても、助けざるを得ません。そしてそれが、何回も起こります。

長々と書いてしまい、申し訳ありません。
失礼ながら、アルコール依存症の悲惨な実態について、「実感」としてご存知ないようでしたので、書かせて頂きました。
このようなことを「実感」として知らないまま、生きていける人生だったなら、そちらの方がよっぽどマシだとも思います。

アルコール依存症患者を抱える事が、どれほど家族にとっては悲惨な状況なのか。
この事を知って頂きたい、そしてそのリスクを一人でも多くの方に、避けて頂きたい・・・との思いから、書かせて頂きました。申し訳ありません。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/58446951

この記事へのトラックバック一覧です: 『失踪日記2 アル中病棟』の面白くも壮絶さである:

« 東海道品川宿を往く | トップページ | 東京六大学野球秋季リーグ戦閉幕 »

2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?