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2013年10月20日 (日)

『里山資本主義』は『評価経済社会』の現実的な実践例だ

「里山資本主義」というのは、里山にある間伐材やら森林材を使って、まず木質ペレットを暖房に使いましょう、更にはそこから発展させたバイオマス発電もしましょう、更に里山やその周辺で取れる野菜や米をみんなで分け合って、「おカネ」を使わない経済を始めましょう、ということなのだが……。

20131015_212223 『里山資本主義――日本経済は「安心の原理で動く』(藻谷浩介・NHK広島取材班著/角川oneテーマ21/2013年7月10日刊)

 たとえば『里山資本主義』で『これまで人類が経験したことのない超高齢化社会のトップランナーであり、マネー資本主義を徹底的に突き進んでその限界を自覚しつつある日本だからこそ、里山資本主義的な要素を取り込むことで、「明るい高齢化」の道を進んいけると思っているのだ』という書き方をするのと、『評価経済社会』で『これから先、人の係わり合い、物々交換などが発生しているのに、今のマネー経済ではこれが把握できない。これが0にカウントされるから、まるで経済成長が下がっているように見える。でも、経済は活性化している。
 <中略>
 日本は世界で先進国だから見本がないからみんな、びっくりしている。他国もいずれ、低成長で高齢化になる。
 でもギリシャみたいになるのではなく、リアルマネーの動きが静まって、地域通貨と評価通貨がこれからどんどん増えるから、「総経済成長」は続く』と書くのと、実はまったく同じことを書いているのだ。

 つまり『里山資本主義』で言うところの「マネー資本主義」は、『評価経済社会』で言うところの「貨幣経済社会」なわけだし、そのそれぞれが「貨幣の交換を伴わない経済社会」を目指しているというところもまったく同じ。で、結局それは「貨幣の交換を伴わない経済なので、いわゆるGNPやGDPなどの指標には表れない経済となり、したがって現在の経産省なんかのデータでは「経済活動」とはされないまったくゼロの経済活動なんだけれども、でもちゃんとそれで人々は生活できるし、もしかしたらマネー資本主義(貨幣経済社会)でもってアクセク仕事をしているよりもずっと豊かな生活が送れるかもしれない」という、経済指標の表には表れない一つの裏経済なのである。

 裏経済、ってつまりはヤクザ経済なんかと同じ、税金を払わなくてもいい経済なのである。政府はこれは困る。でも、ヤクザ経済は基本的には貨幣経済なので、それを炙り出せれば表の経済になって、数字に反映できるから、まだいい。しかし、里山資本主義や評価経済ってのは、基本的に「おカネ」の交換がない経済なので炙り出しようがない。

 里山資本主義と評価経済社会の違いは「ネット社会」と繋がっているかどうかなのだろう。ネットを通じて個人に対する評価が出来て、その結果、評価が集まった個人がいろいろな意味で貨幣交換を伴わない経済活動が出来るというのに対して、里山資本主義では、そんなネットでの評価はないけれども、もうちょっと狭い世界ではあっても、地元の人たちからのいろいろな評価を集めた人は、やはり貨幣交換を伴わない経済活動を行って、社会生活が可能になる訳である。まあ、昔からある里山資本主義を現代に持ってきたのが評価経済社会なのだとすると、ネットなんかの使い方も知らない人たちだって、ちゃんとやってきた評価経済社会が里山資本主義だったってこと。

 面白いのは、1958年生まれという団塊世代よりちょっと後の生まれの岡田斗司夫氏と、1964年生まれというバブル世代の藻岩浩介氏の、道筋は違うのだけれども、辿ってきてやってきたところが同じということである。

 ということは、最早、世の中の趨勢としてはそちらの方向へ動いているのかな、と思えばそうはいっていないというところもある。つまり、役人の世界ではいまだにGNPやGDPなどの「見える経済」だけが指標となっていて、それは「アタマの悪い政治家」のためにあるんだけれども、同時にそのために、彼らが「白書」などの「見えるペーパー」を作らなければいけない立場にいることもあるのだし、またやはりそのために里山資本主義とか評価経済社会とかの「見えない経済」を如何にして「見える化」する方法を見出していないからなのだろう。

 そう、貨幣というのはきわめてラクに経済指標を作る際の指標になり得るものである。

 しかし、今はそんな「ラクに経済指標を作る」ことを求めてはいけないのだ。もっともっと、複雑になる、というか実はもっともっと単純になる、経済指標を求めればいいのだ。

「複雑になる」というのは、里山資本主義とか評価経済社会という考え方が、マネー資本主義とか貨幣経済社会と並立する考え方である、という部分をいっしょくたに考えて国家の経済を作って行こうとする無理やりさなのである。

一方「単純になる」というのは、それらの経済社会についての考え方が並立する状況をありのまま受け入れればいいのだ、「白書」としてマネー資本主義や貨幣経済社会と同じ指標のもとではない形で表現できればいいという考え方をすればいいということなのである。

 小泉純一郎氏が最近「反原発」を言い始めて困っている自民党の人たちがいるそうである。何でだ? 別に自民党総裁・総理大臣時代は「原発推進派」であっても、その後、「原発廃絶派」になってもいいじゃないか。

 つまりそういうことなのである。世の中の価値観は常に変わっているのだから、それまでマネー資本主義社会だったところに、おカネの介在を伴わない里山資本主義が入って来てもいいじゃないか。

 GDP主義であったものが、反GDP主義になってもいいじゃないか。

 問題は、私たち日本人が(本当は日本人だけじゃなくて世界中の人たちが、なんだけれども)幸せに、あまり先のことをくよくよ悩まないで暮らしていけて、安心して死んでいければいいのである。

 最後に、『里山資本主義』の結論を引いておく。

『問題は、旧来型の企業や政府やマスコミや諸団体が、それを担ってきた中高年男性が、新しい時代に踏み出す勇気を持たないことだ。古いヴィジョンに縛られ、もはや必要性の乏しいことを惰性で続け、新しい担い手の活力を受け入れることもできないことだ。しかし年月はやがて、消えるべきものを消し去り、新しい時代をこの島国の上にも構築していく。結局未来は、若者の手の中にある。先に消えゆく世代は誰も、それを否定し去ることができない』

 まあ「老人は去れ」ってことですね。

『里山資本主義――日本経済は「安心の原理で動く』(藻谷浩介・NHK広島取材班著/角川oneテーマ21/2013年7月10日刊)Kindle版は9月10日刊。Kindle版が出たんで読んだ。ちょっとだけ安い。本体の2013年版は10月22日リリース。

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