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2013年10月 8日 (火)

『許されざる者』全部ネタバレ……ったって、もう既にある映画のリメイクですからね

 黒澤明の『用心棒』をパクった『荒野の用心棒』に出演したクリント・イーストウッド。そのクリント・イーストウッドが製作・監督してワーナーブラザースが配給したのが『Unforgiven』。それをパクらせてくださいと李相日が考えて、渡辺謙がイーストウッドにお願いしたら、意外や意外OKが出てしまい、ワーナーブラザース・ジャパンが製作したのが『許されざる者』なので、これは一種の「先祖返り」なのかなと思った。

 予告編を見ると、何か完全に西部劇のリメイクって感じがして、ちょっと心配だったが。

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 勿論、映画を見る前にDVDで『Unforgiven』をみておさらい。っていうか、実はこの映画、公開当時に気になっていたにも関わらず、観ていなかったんだよなあ。何故だろう。

 人物設定は若干変わっている。

 主役がウィリアム・ビル・マニー(クリント・イーストウッド)=釜田十兵衛(渡辺謙)であり、二人の子持ちであることは変わりはないが、二人の子供の亡くなった母親(つまり十兵衛の妻)はアイヌである。マニーの妻がアメリカ先住民という設定は、多分ない。

 準主役のネッド・ローガン(モーガン・フリーマン)=馬場金吾(柄本明)はアメリカ先住民の女と結婚していたが、ネッド馬場は風来坊で、ウィリアム釜田に賞金稼ぎの話を持ってきたのはスコフィールド・キッド(ジェームズ・ウールヴェット)=沢田五郎(柳楽優弥)ではなく、ネッド馬場であった。

 ビッグ・ウィスキーを守るのは保安官リトル・ビル・ダゲット(ジーン・ハックマン)だが、鷲路の町を守るのは警察署長大石一蔵(佐藤浩市)。つまり、保安官は町から雇われた用心棒兼税務署長兼町長みたいなものだが、警察署長は行政組織のひとつ。つまり、国から認められていたのが警察署長なのである。当然、保安官殺しよりは警察署長殺しの方が罪は重い。

 その他の人物設定は原作『Unforgiven』とそんなに変わりはない。顔と心に大きな傷をつけられてしまった娼婦ディライラ・フィッツジェラルド(アンナ・トムソン)=女郎なつめ(忽那汐里)はまんまだ。

 ストーリー設定は先に触れた賞金稼ぎの話をウィリアム釜田に持ってきたのがスコフィールド沢田ではなくネッド馬場であったというものの他、ラストシーンもちょっと違っている。

『Unforgiven』では、ダゲットがマニーに「I'll see you in hell. William Munny」というのだが、『許されざる者』では、釜田十兵衛が大石になぶり殺しにされた馬場金吾の「地獄で待ってろよ」と声をかける。何か、こっちの方が、グンがヒデヨシに「地獄で鬼でもぶっちぎれ!」と言っているようで、ちょっとジーンときた、って分からない人には分からないでよろしい。

 そして一番の違いは、『Unforgiven』では「多分、カンザスの農場に帰ったウィリアム・マニーは子どもたちとサンフランシスコで堅気の商売に成功したらしい」という噂話をマニーの亡妻クローディアの母親が聞いたという話がスーパーされるのであるが、『許されざる者』では、どこへとも行方も知らぬ釜田十兵衛、そんな釜田十兵衛から命を受けて沢田五郎となつめが賞金を持って農場に帰ってくるところで終わる。多分、彼らは十兵衛の残された子供たちと一緒に平和に暮らすことになるのだろう、という余韻で終わるのである。

 まあ、確かに保安官殺しよりは警察署長殺しの方が重罪ではあるし、そんな重罪を犯した十兵衛を日本の警察が許すはずもないと考えると、十兵衛はどこへとも行方をくらますという方が納得がいけるし、自然な終わり方である。

 問題は馬場金吾をなぶり殺しにしてしまった署長大石一蔵の目的はなんだったんだろう、ということ。

 リトル・ビル・ダゲットは自分で自作の家を作っていて、そこで静かに暮らすのが望みだったというようなセリフが最後のマニーとの対決の中で出てくる。つまり、ダゲットにとっては、なんかとっても小市民的な夢があって、それを実現するために小さな町で権勢をふるっているわけなのだが、それをちょっとやりすぎちゃったんで最後はマニーに殺されるという、なんか少しは良心というか、小心者的なちょこっとした隙間はある。

 一方、大石一蔵の方の小目的、大目的は何だったんだろう。多分、役人として北海道のそれも札幌からかなり離れた場所にある鷲路という超弩級の田舎町に赴任してきたというのは、そうとう忸怩たるものがあるはずである。自ら選び取るスタンスとしては、①何とかして札幌あるいは内地へ帰ろうとして、一生懸命任務に励むあまりやりすぎてしまう②もうこんな田舎町に赴任してきた以上は、好き勝手にやって札幌や内地になんか帰らなくてもいいもんね、的な『地獄の黙示録』のカーツ大佐みたいになってアイヌや住民たちを暴力的に支配してしまう、という二つがあると思うのだが、どちらにせよ町民にとってはちょっと迷惑、ちょっと頼もしい、という相反する感情があるだろうか。

 しかし、大石の目的っていうのが画面の表には表れてこない。果たして、大石は「根っからの悪者」なのか、それとも「立場からやむなく悪者になっている」のか、あまりはっきりしない。まあ、その辺は「日本映画」。

 そんな訳なので、私は大石一蔵よりはリトル・ビル・ダゲットの方に肩入れしたくなるのである。えっ? そんなに悪人ではないじゃん。という具合に。

 つまり私も小心者だということです。ハイ。

 しかし、映画のラスト、釜田十兵衛(=渡辺謙)の目のどアップで終わるというのは完璧に日本映画のセオリーである。なかなかやるな李相日。ハリウッドは基本的にロングショットで終わります。

 ということは『許されざる者』は完全に日本映画になっていたってこと?

『許されざる者』の公式サイトはこちら

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