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2013年9月14日 (土)

『写真のフクシュウ』にフクシュウされたtsunokenなのであった

 森山大道、荒木経惟と言えば、末井昭である。

 元白夜書房(旧・セルフ出版)専務取締役の末井昭が創刊してきた雑誌は「NEW SELF」「ウィークエンドスーパー」「写真時代」「パチンコ必勝ガイド」などなど。最後の「パチンコ必勝ガイド」以外は、タテマエ上はノン・フクション誌、映画雑誌、写真雑誌の形をとっていたが、実際にはエロ雑誌であった。

 私が最初にセルフ出版の雑誌を知ったのは「ウィークエンドスーパー」からではないだろうか。荒木経惟の真正エロ写真と「荒木経惟の偽ルポルタージュ」は面白かった。というか、その頃荒木の『男と女の間には写真機がある』という、とんでもない本を買ってぶっ飛んでいた時期なので、荒木の写真を毎月見られるというのが、その購入の理由だった。

 そして「写真時代」になって荒木の連載は3本になり、森山大道が登場するのである。

2013_09_10_31712 『写真のフクシュウ 森山大道の言葉』『写真のフクシュウ 荒木経惟の言葉』(山内宏泰著/パイ インターンショナル/2013年7月19日刊)

 エロ雑誌とは言いながら、当時の「ウィークエンドスーパー」や「写真時代」を飾るライター、イラストレーター陣は、田中小実昌、嵐山光三郎、南伸坊、平岡正明、上杉清文、赤瀬川原平、秋山祐徳太子、三上寛、安西水丸、林静一、鈴木志郎康、佐伯俊男、巻上公一、奥成達などの、そうそうたる反体制というか半体制というか反耐性というか、過激だったりカゲキだったり、蔭木だったり、枯れ木だったりする人たちが多く誌面には登場していた、まあ、なんともアナーキー(無政府状態)な魅力あふれる雑誌だったわけなのだけれども、そんな「写真時代」に荒木経惟は「景色」「少女フレンド」「荒木経惟の写真生活」をいう3本の連載をもっており、森山大道は「光と影」「仲治への旅」などの連載や、いろいろなコラージュ作品なんかを掲載していた。

 まあ、それは言ってみれば末井昭の趣味雑誌みたいなもので、しかし、雑誌を編集長の趣味雑誌にするというのは、雑誌編集の一番理想的な姿として、大手出版社では絶対にできない雑誌編集のスタイルではあった。そんな「写真時代」も、先行する「NEW SELF」「ウィークエンドスーパー」と同じく「猥褻図書」の指摘・摘発を数度受けてしまい、あえなく沈没。

 そんな末井雑誌と荒木経惟は以前からの知り合いで、ずっと末井雑誌に連載を持っていたわけなのであるが、そんな荒木経惟が「写真時代」創刊にあたり、当時スランプの淵にあった森山大道を引きずり込んだというのが、森山大道末井雑誌への登場のきっかけでもあった。

 以降の森山大道の旺盛な写真活動は皆の知るところとなった。

 しかし、同じくモノクロの写真が多い、荒木経惟と森山大道だが、実はその写真スタイルは正反対なのである。「写真は表面だけである」と考える森山大道に対し、「カメラは内面だ」とする荒木経惟。

Moriyama『安全地帯から撮る。スリみたいなもの、中に入ったらおしまいだと思うし、つねに表面しか見たくないというか、そのひとの人生がみえてくるような撮り方はしたくない』

Araki『カメラをこう、持ったときに、感情・愛情・人情、つまり「情」、それがなくて客観的なんて、人間のやることじゃないじゃないか。だから「私写真」がいい、私情の入っていない写真はだめだ』

 というまったく異なる方向からの写真へのアプローチをする二人の実は共通する考え方が;

森山大道『写真は時間を<定着>する行為である。
       決して世界を<表現>する行為ではない』

荒木経惟『空間じゃなくて、
       時間をフレーミングするんだよ』

 という、結局写真というのは「空間をアートする」ものではなく、「時間を記録するためのモノ」であるという、一種の開き直りなのである。

 そう、写真は写し取った瞬間から「過去」になる時間の記録であるにすぎないのである。そこには、アートとか、表現するものとか、絵とかはない。単なる時間の記録。

 そう考えると、かなり気楽に、誰でも「写真家」になれる……、ような気がする。

『写真のフクシュウ 森山大道の言葉』『写真のフクシュウ 荒木経惟の言葉』(山内宏泰著/パイ インターンショナル/2013年7月19日刊)飯沢耕太郎の『『写真時代』の時代』も、当時の雰囲気を伝えて面白い。

2013_09_06_23392 Fujifilm X10 @Azabu, Minato (c)tsunoken

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