フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« 『定年後の勉強法』のポイントは知識のアウトプットにあり | トップページ | 『終戦のエンペラー』は「どっちがエンペラー」っていう映画だよね »

2013年8月 3日 (土)

『蔵書の苦しみ』は本当は「苦しみ」を語っているんではないなよなあ

 本来「蔵書の愉しみ」であるはずの愛書家の話である筈なのに、それが『蔵書の苦しみ』になってしまう瞬間というのはどのタイミングでやってくるのだろうか。

 考えてみれば、私も来年夏、現在建替え中のマンションができたらそこに引っ越しする予定なので、それまでに蔵書を処分しなければならない。「毎日1冊 毎日2000字」を書きながらである。嗚呼……。

2013_07_28_99712『蔵書の苦しみ』(岡崎武志著/光文社新書/2013年7月20日刊)

 取り敢えず各話の最後に付けられた「教訓」を抜き出すと;

【教訓 その一】本は想像以上に重い。二階に起き過ぎると床をぶち抜くことがあるのでご用心。
【教訓 その二】自分のその時点での鮮度を失った本は、一度手放すべし。
【教訓 その三】古本屋さんに出張買取をお願いする時は、どんな本が、どれだけの量あるかを、はっきり告げるべし。
【教訓 その四】本棚は書斎を堕落させる。必要な本がすぐ手の届くところにあるのが理想。
【教訓 その五】段ボールに溜めておくと、本は死滅する。背表紙は可視化させておくべし。
【教訓 その六】本棚は地震に弱い。地震が起きたら、蔵書は凶器と化すことを心得ておくべし。
【教訓 その七】蔵書はよく燃える。火災にはよくよく注意すべし。
【教訓 その八】本は家に負担をかける。新築の際は、蔵書の重さを概算しておくこと。
【教訓 その九】トランクルームを借りたからといって安心するべからず。やがていっぱいになることを心得ておくべし。
【教訓 その十】三度、四度と読み返せる本を一冊でも多く持っている人が真の読書家。
【教訓 その十一】実生活とコレクターシップを両立させるためには規則正しい生活をすべし。家族の理解も得られる。
【教訓 その十二】紙の本を愛する人間は電子書籍に向かない。よって蔵書の苦しみは解決しない。
【教訓 その十三】地味な純文学作家の作品は、売ってしまっても図書館で再び会える可能性が高い。閉架扱いを要チェック。
【教訓 その十四】蔵書を一気に処分するには、自宅での「一人古本市」がお勧め。うまく売るためのポイントは値段のつけ方にあり。

 まあ、それぞれの教訓はそれなりに分かるんだけれども、別に今更言うことでもない。結局、岡崎氏は自ら「あとがき」に書いているように『「本が増えすぎて困る」というぼやきは、しょせん色事における「惚気」のようなもの、ということだ。「悪いオンナにひっかかちゃってねえ」「いやあ、ぜいたくなオンナで金がかかって困るのよ」、あるいは「つまらないオトコでさ、早く別れたいの、どう思う?」など、これらを本気で悩みとして聞く者はいない。そして「苦しみ」は多分に滑稽である。救いは、この「滑稽」にある。だから、「蔵書の苦しみ」については、他人に笑われるように話すのがコツだ』ということである。

 そりゃあね、別に本をそれほど読まない人たちにとっては「蔵書の苦しみ」なんてことを言ったって、全然、意味を承知してくれない。というよりは、「そんなのバカじゃね?」と言われておしまいだ。別に、本を蔵書として取っておかなくても、取り敢えず今読む本は買ってもいいけど、読み終わった本を持ってても意味ないじゃん、また読みたければ図書館にでもいけば? ってなもんだ。

 まあ、でも読み終わった本を手元に置いておきたいという読書家の気持ちはよくわかる。とは言うものの、その本自体が昔みたいに「数少ない写本しかない」なんて「中世か?」ってなもんで、今、普通に新刊本屋さんで手に入る本は、まず持っていてもさほど意味のない本ばっかりなのである。つまり、同じ本を読みたければ図書館に行けば? ってなものである。まあ、別に同じ本を何冊も買ったっていいんですけどね、著者の印税のためには。

 で、結局、理想の書斎とはとなると『第四話 本棚が書斎を堕落させる』でも引用している「方丈記」に至るのである。

「今、日野山の奥にあとをかくして後、東に三尺余りのひさしをさして、柴折りくぶるよすがとす。南、竹のすのこを敷き、その西に閼伽棚をつくり、前に法花経を置けり。東の際に、わらびのほとろを敷きて、夜の床とす。西南に竹のつりだなをかまへて、黒き皮籠三合を置けり。すなはち、和歌、管弦、往生要集ごときの抄物を入れたり。かたはらに琴、琵琶、おのおの一張をたつ。いはゆる折琴、継琵琶これなり。
 仮の庵のありやう、かくのごとし』(ちくま学芸文庫)

 という、なにもない部屋、というか小屋が日本人にとっての最高の書斎環境なわけなのだが、一方、それが分かっていながら、結局は自分が集めた(世界中の総知識量からすればホンのわずかな量でしかないにもかかわらず)知識を自分の身の回りに置いておきたいという欲求から、みんな大量の書籍を抱えてしまったり、書庫を作ったり、トランクルームを借りたりしたりしているわけなのだ。

 まあ、そうした行いが日本経済を(ごく一部ではあるが)活性化させている部分なのでマクロ的にはそれでもいいので全否定はしないけれども、ミクロ的にはもうだめでしょ。だって「単にムダ」だもん。

 ということで、皆さん、読み終わった本はどんどん捨てましょう。で、気になった時に「あっ、もう捨てちゃた」と思ったら、もう一回買いましょう。ヒマがある人は図書館に借りにいきましょう。

 そうやって、日本経済を回していくんだよ!

 まあ、図書館じゃあ経済は回らないがね。

2013_08_01_9984_edited1 我が家の地下倉庫の有り様もこんな感じである。床に置いてある段ボール箱は売る予定の全部、本。引っ越しの度に本は捨ててきたはずなんだけど、すぐにこうなってしまう。何とかせねば。RICHO GRDⅢ @Kamishaakujii, Nerima (c)tsunoken

『蔵書の苦しみ』(岡崎武志著/光文社新書/2013年7月20日刊) 「方丈記」は著作権が切れているのでいろいろなバージョンが出ている。青空文庫でもあるんじゃないかな。大体の文庫には入っているので、一度お読みすることをお勧めします。理想の書斎(というか殆ど世捨て人の書斎兼住まい)。短いので読むのは簡単。

« 『定年後の勉強法』のポイントは知識のアウトプットにあり | トップページ | 『終戦のエンペラー』は「どっちがエンペラー」っていう映画だよね »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/57881150

この記事へのトラックバック一覧です: 『蔵書の苦しみ』は本当は「苦しみ」を語っているんではないなよなあ:

« 『定年後の勉強法』のポイントは知識のアウトプットにあり | トップページ | 『終戦のエンペラー』は「どっちがエンペラー」っていう映画だよね »

2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?