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2013年7月13日 (土)

『ビル・カニンガンム&ニューヨーク』が示すニューヨークのストリート・カメラマンの在り方

 ヴァニティ・シティ・ニューヨークでストリートファッション・フォトを撮り続けた男のドキュメンタリーである。

 使用カメラは(多分)ニコンFE2、レンズは(これも多分)35mm。ごく当たり前の廉価版仕様である。まあ、この辺が田中長徳氏が言う、アメリカ人写真家の「実用主義」ってやつだな。

20130709_210143『ビル・カニンガム ニューヨーク』(監督:リチャード・プレス/プロデューサー:フィリップ・ゲフター)

映画の公式サイトはコチラ

 これが雑誌のカメラマンだとポジ(リバーサル)フィルムを使うところであるが、さすがに『ニューヨークタイムズ』という新聞のカメラマンであるから、ネガフィルムを使う。『ニューヨークタイムズ』の定番コーナーの写真であるから、当然写真はすべてアサインメントの写真なのであるが、スタッフフォトグラファーではないので(というかアメリカでは社員カメラマンというのはいないようだ)数十年のネガはすべて自分で保管しており、そのキャビネットで一杯になったカーネギーホールのスタジオで生活している。って言うか、カーネギーホールに住民がいるなんて知らなかった。

 とは言うものの、その生活とは「単に寝ること」だけであり、それ以外はすべてニューヨークの街の中にある。食事はすべてコーヒーショップかレストランですませて、酒も殆ど飲まないようだし、何が楽しみで生活しているのかは分からないが、結局、写真を撮ることだけが「趣味」であり「仕事」であり「生活」であり、そして「人生」なんだろうな。

 今では、日本の雑誌でもこうしたストリートファッション・フォトは全盛であり、そこから発するファッション・トレンドもあるようである。しかし、その一番最初のところがニューヨークだったというのも、何となくわかるのである。まあ、ニューヨークというよりはマンハッタンだろうな、まさしく「見栄っ張り」の街、「虚栄」の街、そして「嘘つきだらけ」の街。

 でも、そんな街で「見栄っ張り」や「虚栄」や「嘘つき」と付き合いながら、彼らのファッションを撮影し続けてきた男、ビル・カニンガムである。

 1928年生まれのビル・カニンガムは最初は帽子デザイナーだったらしい。それが第二次世界大戦に徴兵され、帰国後、写真というものを教えてもらい、最初のカメラが人からもらったオリンパスペンだったというのが面白い。つまり、ハーフサイズのそのカメラは、基本的にタテ位置で撮影されることの多いファッション写真向きのカメラだったということなのだ。多分(本当に多分)それが彼をファッション写真に向かわせることになったのだろう。

 これが、もしかしてライカかニコンだったら、ファッション・フォトグラファーの方ではなくて、シリアス・フォトグラファーの、ニューヨークの社会的問題を撮影するフォトグラファーになっていたのかもしれない。社会的問題も一杯あるし、ニュー・ファッションも一杯あるニューヨークならではの選択肢だ。つまり社会的問題もニュー・ファッションも等価だということが、如何にもニューヨークなのだ。

 世界で一番進んでいる街であると同時に、世界で一番問題を抱えている街でもあるニューヨーク。世界で一番ファッショナブルであると同時に、世界で一番着るものが貧しい街であるニューヨーク。世界で一番お金が渦巻いている街であると同時に、世界で一番貧しい街であるニューヨーク。そんな、ニューヨークのカオスを現場で一番見てきて、なおかつその「きれいな」ところだけを撮影してきたビル・カニンガム。

 ビル・カニンガムは決してそんな「きれいな」ところだけを見てきたわけではないだろう。つまり、それはニューヨークの貧しい部分の写し鏡としての「きれいさ」なのだ。だって、ビル自身は、いまだに道路清掃者が着る青いジャケットで、パリの勲章授賞式にも出てしまう人なのだ。

 多分、ビルは基本的には自分が貧乏人として憧れのニューヨーカーを見る、それは我々日本人のニューヨーク視線と言ってもいいかもしれない。

 そんな、アウトサイダー・ニューヨーカーとしての視線を今でもずっと持っているのかもしれない。

 ニューヨークのスノッブの中にいながら、決して自分はスノッブにならないというのは、ちょっと難しいことなのだから……。

 映画では出てこないが、カーネギーホールを追い出されて移ったセントラルパーク・サウスのアパートも、早速キッチンをキャビネット置き場に改装したそうだ。

B0007805_47108(c)Bill Cunningham

 東京都写真美術館での公開は8月9日まで。以降はコチラを。

Img0052

OLYMPUS FT E.ZUIKO 25mm/F4 Kodak Super Gold 400 @Yebisu, Shibuya (c)tsunoken

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