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2013年6月 7日 (金)

『ユージン・スミス』というよりはアイリーン・スミスへの問いかけなのだ

 別にこの本のタイトルが気になって買ったわけではない。表紙の写真が気に入ったので買ったわけなのであるが、あれっ? ユージン・スミスって言ったら、『MINAMATA』以前はライカだったし、水俣取材はミノルタじゃなかったかな? オリンパスペンFTなんてカメラを使っていたなんて知らなかった。

 しかし、さすがにサマになっているなあ。カッコイイ……。

 ということで、思わずオリンパスペンFTの中古を買っちまった。ユージン・スミスみたいな写真が撮れるわけでもないのにね。というところが小人成すべくして成す「不善」なんだなあ。ライカなんてその極みだしね。

 勿論、写真はカメラが撮るんじゃなくて、写真家が撮るってことは分かってはいるんですがね。

2013_05_31_54302『ユージン・スミス ―水俣に捧げた写真家の1100日―』(山口由美著/小学館/2013年4月27日刊)

 ユージン・スミスというと我々には「水俣の人」というイメージが強いが、しかし、むしろ第二次世界大戦でアジアや特に日本戦での写真が多い。有名なのは沖縄戦であるが、その沖縄戦で重傷を負ってしまい、その療養中に撮影した「楽園へのあゆみ(The Walk to Paradise Garden)」が有名だ。小さな女の子と男の子のふたりがどこかの庭を歩いている象徴的な写真である。

 この写真を見ている以上、ユージン・スミスはどちらかというとジャーナリスティックというよりは、アーティスティックなフォトグラファーであると言える。

 そんなウィリアム・ユージン・スミスと妻のアイリーン・水緒子・スミスが水俣で活動したのは1971年9月から1974年10月までのおよそ3年である。殆どそれは、ユージン・スミスにとっての生涯最後の撮影行と言ってもよいだろう。

 その3年の間に撮影したネガは560本ほどになるそうだ。およそ20,000カット。

 その20,000カットの中から選ばれて写真集『MINAMATA』になった写真の一つが、上村好男・良子夫妻自らの手によって封印された写真「入浴する智子と母」である。本来なら、別に上村夫妻が進んで協力して撮影されたそのカットの著作権者はユージン・スミスであるし、ユージンの著作権継承者であるアイリーンに、その写真を公開するかどうかの判断は委ねられている筈である。

 しかし、上村夫妻にその写真の使用に関する決定権を渡してしまったのは何故か? 実はそれが本書において山口由美が一番に取り上げたテーマなのである。

 山口は当時ユージン夫妻のアシスタントを務めた写真家・石川武志とともに、水俣へ行き当時の被写体である水俣病の患者たちと会い、アリゾナ大学のCCP(センター・フォー・クリエイティブ・フォトグラフィー)に行き大量のベタ焼きと格闘する、がしかし、当然そんなことでは問題は解決しなかった。

『写真が封印された理由が、そもそも「智子を休ませてあげた」という両親の意向である。智子は、一九七七(昭和五二)年十二月、二一歳で亡くなったが、その後もユージンの「水俣」を代表する写真として、また水俣病の悲劇を象徴する写真として、注目され続けてきた。そうした状況に嫌気がさして、そっとしておいて欲しいから、という感情が封印の背景にはある』

 という以上、そこから更に突っ込んだ理由は聞けなかったのだろう。

『写真の封印は決して必然の運命ではなかったと、私は思う』

 と山口は書く。

『あまりに人の心を動かす写真であったゆえにポスターやチラシにする発想が生まれたのかもしれないが、そうではなくて、人の心を動かす唯一無二の写真だからこそ、ことさらに撮影者と被写体に対する敬意をもって、「るみえちゃん」の写真と同じように大切に大切に守ってきたのなら、封印には至らなかったはずだ。
「休ませてあげたい」の言葉は、写真それ自体に対する否定ではなく、水俣の広告塔として使われた状況にあげた声だと解釈すべきではないか』

 と。

 しかし、実際にはネット上などで既に数多くの「入浴する智子と母」写真が存在するわけで、実質的にはその写真を封印している訳ではない。とは言うものの、上村夫妻としては写真を新たな媒体には載せないということで、その決意を表したのだろうか。

 残念ながら、ユージン・スミス、アイリーン・スミス共著『MINAMATA 水俣』は再版されてはいない。

 本書は2012年第19回小学館ノンフィクション大賞受賞作『R130-#34 封印された写真――ユージン・スミスの「水俣」』の書籍化である。

『ユージン・スミス ―水俣に捧げた写真家の1100日―』(山口由美著/小学館/2013年4月27日刊)(Kindle版は出てないので旧写真集『水俣』を紹介。ただし、こちらも絶版なので中古本を探すしかない)

2013_06_06_63112_2

 ユージン・スミスに倣ってオリンパスペンFTを買うバカ。カメラ本体18,800円+F ZUIKO Auto-S 38mm/F1.8 7,800円。併せて26,600円。まあ、そんなものか。問題は左ののトライXにどんな写真が写っているかだよな。現像が怖い。

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コメント

ユージンスミスの戦時中に撮った写真はアリゾナ
大学へ行けば見ることが出来るのでしょうか
是非お教え下さい

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