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2013年6月26日 (水)

『中高年正社員が危ない』という時代になってしまったのだ

 中高年正社員というのは一番安心していていい立場かと思ったのだが、実はそうでもないらしい。若手派遣切りはほぼ方式が出来上がったので、次は中高年正社員ということなのかも知れない。

2013_06_13_6968_edited1「解雇ルール見送り」に騙されるな 中高年正社員が危ない』(鈴木剛著/小学館101新書/2013年6月8日刊)

 朝日新聞でレポートされていた「追い出し部屋」をはじめとする中高年正社員の、それも中間管理職(名ばかり管理職もある)をターゲットとした退職勧奨のことなのである。

 要は、「追い出し部屋」とかに追いやって、いろいろな嫌がらせ(何をしてもいけないというのも一種の嫌がらせだ)をして自分の方から辞職を申し出るように仕向けるというわけなんだけれども、結局それは日本の雇用慣行から会社都合で勝手に従業員をクビにできないことからやむを得ずとった手段だということなのだ。

 ということなので、現在「解雇ルール緩和=解雇の金銭解決制度」が国会で審議されているわけなのだ。取り敢えず7月に行われる参議院選挙をにらんで、2013年6月にとりまとめられる予定の産業競争力会議の報告には入れないことになったようだが、そんなものは選挙で昨年12月の衆議院選挙に引き続き自民党が圧勝してしまえば、再び浮上してくることは見え見えではある。

 というくらい、私は竹中平蔵氏が言う『日本の正社員は世界で最も守られている』という発言もその通りだと思っていたのだが、実はそうでもないらしい。

『実は経済協力開発機構(OECD)の調査でも、日本はとくに解雇しにくい国ではありません。雇用保護規制の強さを表す指標では上の図表にあるように日本は30ヵ国中23位で米国や英国以外のほとんどの先進国より規制は弱いのです』

 と書いてある「上の図表」を見ると、「正社員の解雇規制」では米国、英国、オーストラリア、イタリアの次くらいに規制がない状態だし、「非正規労働者の保護」でも米国、英国、オーストラリア、スウェーデン、オランダの次くらいに保護が出来ていないし、「整理解雇で求められる条件」では日本が一番条件がない状態になっている。

 なんだ、全然日本の正社員も守られていないじゃないか。それをもっとクビにしやすくしろ、というのが産業競争力会議の主旨らしい。

『経済界は、さらに解雇しやすくすべきだと声高に主張していました。産業競争力会議に長谷川閑史・武田薬品工業社長が出した「人材力強化・雇用制度改革について」と題するペーパー(テーマ別会合の主査として提出)では、雇用に関する重点施策が次のようにまとめられています。

《【重点施策】
●雇用維持型の解雇ルールを世界標準の労働移動型ルールに転換するため、再就職支援金、最終的な金銭解決を含め、解雇の手続きを労働契約法で明確に規定する。
●雇用維持を目的とした現行の雇用調整助成金を基本的に廃止し、その財源をもって、職業訓練バウチャー、民間アウトプレースメント会社等の活用助成など、人材移動を支援する制度に切り替える。
●ハローワークの持つ求人情報や各種助成金を民間開放して、紹介・訓練・カウンセリング、アウトプレースメントなどを一体的・効果的に提供できる仕組みを作る》』

 としているが、実は労働契約法第16条というのがあって;

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」

 という規定がある。「人材力強化・雇用制度改革について」の言い方は、この規定をなくし、「合理的理由がなかろうが」「社会通念上相当であると認められなくても」解雇できるようにしろ、ということなのだ。つまり、「お前の顔をみたくないから」なんてとんでもない理由でも金さえ払えば解雇できるようにしろ、ということ。

 中高年の高賃金が若者の低賃金に繋がっているという論があり、だから働かない中高年のクビを切りやすくしろという発想になるのであるが、そうやって中高年のクビを切っても、決して若者の賃金が上がるということはなくなって、結局、中高年の穴埋めは派遣などの非正規労働者がやるということになるだろうというのは、いまや明確である。

 もし、「雇用維持型の解雇ルールを世界標準の労働移動型ルールに転換」するというのであれば、「同一価値労働同一賃金」という世界標準のルールも同時に行わなければならないだろう。

 労働者が「会社に就職」して一生をその会社で過ごすという社会通念を変えるというのであれば、労働者が「会社に就職」するのではなく、その「職業に就職」する。「新人一括採用」ルールという日本だけのガラパゴス・ルールをやめて「通念採用」をする。賃金も年功序列、「若い時には低賃金で我慢せよ」というルールをやめて「若くても高賃金」で就職希望者を募る。という具合に、日本のすべての「仕事の仕方のルール」を変えなければならないだろう。

 そうやってすべてのルールを世界標準にして始めて、解雇ルールについても論議できるようになるはずだ。

 それを解雇ルールだけについて論議するというのは、いかにも従業員のことを考えていない、自分も従業員のなれの果てでしかないのにもかかわらず、従業員のことを何も考えていない日本の経営者らしい、と言えばその通りではあるなあ。

「解雇ルール見送り」に騙されるな 中高年正社員が危ない』(鈴木剛著/小学館101新書/2013年6月8日刊)

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