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2013年6月 5日 (水)

『コンビニの戦士たち』の予定調和について

 1月27日のブログ「『コンビニの戦士達』はここで終わっちゃダメなんだ」で「絶対後がある話なんだけれどもなあ。どうしちゃうんだろう?」と書いたら、著者の幻夜軌跡氏から「『コンビニの戦士達 本編』が今日から発売になりました」という知らせが来たのが5月20日のこと。早速Amazonで購入したのだが、それ以前から手に付けていた本やらなんやらあって、ブログのUPが遅れてしまった。

20130601_1611『コンビニの戦士達 本編』(幻夜軌跡著/のぎのぎ出版/2013年5月19日刊)

 ということで「序章」となった1月に出た版では「俺」と言っていた主人公は、実は「善人面」という名前だったことが分かる。

 まあ、確かに善人面だよな。おまけに、コンビニ・ヘルマートの親会社に就職が内定し、そちらの方でアルバイト、つまり有給のインターンシップを勧められる立場なんだもんな。だとしたら、初めから「若き店長」よりは二段も三段も上の立場から、それこそ「上から目線」でもって話ができるっていうもんだ。元々、体育会系体質でもって上の人間にはヘイコラするのが「若き店長」の体質なんだから、初めから「俺=善人面」にはヘイコラするのが見えている。

 初めからエリートとしてコンビニ・ヘルマートに君臨するのが分かっている「俺=善人面」なのだが、何故か途中から話が変わってくる。

 あとは「マネージャー/普通/アニメオタク/パチプロ/孤独/パートリーダー/静寂/サポーター/アイドル/巨乳/天下取り/人間嫌い/お坊ちゃん/男喰い/バイトリーダー/守護神/不死鳥/留年/ドスケベ」などなど、「バックレ」以外は序章に出てきたメンバーは勢ぞろい。そして、「俺=善人面」がATMをレンチで殴りつけているガテン系の男に、ATM代わりに殴りつけられて頭に怪我をしてヘルマートを辞めた後に入ってきた「新入り」と、新入りの体を狙う本部のSVが新登場(SVは序章でも出てたかな?)。

 これで登場人物は全部揃った。

 で、さすがに「女はセックスの対象としてしか見ない」ヘルマートの親会社である。「俺=善人面」と一緒にインターンシップをやることになった女の子を、お持ち帰りしようとする「先輩」の姿を見たあたりからストーリーが動き出す。

 久しぶりに会った彼女と話をする「俺=善人面」

『それでも俺の事を一番に喜んでくれる彼女が愛しいと思った。これまでお互いにアルバイトをしているのもあったし、ヘルマートのランダムで増える勤務日数で一般的なカップルよりずっと一緒に過ごす時間は少なかった。彼女はいつも俺の状況を理解してくれて不平不満を言う事がなく、こんな俺のどこがよかったのか変わらず好きでいてくれた。
 本当に、男にとって都合のいい女だ。
 え?
 とっさに浮かんだフレーズに驚いた。
 俺は今なんて言った?』

『女は俺の心にさざ波を立てることなく、隣でただ笑っていてくれればいい。
 しょせんそんなもんだろ。
 まただ……
 ちょくちょく思考にノイズが混じってしまう。なんだこれは?』

 つまり

『何の心配もなく、負担もないのがつまらない』

 という自分の心境の変化に気づくと、ヘルマートという『戦場にいることを楽しんでいた自分』に気がつくのであった。

『ヘルマートはあんなに狭く思える箱の中だというのに、一度だって退屈だと思ったことがない。店長やスタッフもお客さんも俺をフリーにはしなかった。
 ヘルマートを離れた今はこんなにも広い世界なのに、こんなに窮屈に感じている。
 ヘルマートは刺激的だった』

 と。『そもそもヘルマートは、今の会社に入りたいから、始めたアルバイトだった』にもかかわらず、そのヘルマートにいた時期の刺激的で、アクティブな毎日の方が、ヘルマートの親会社への就職が決まって、エリートの道を歩むことが決まった現在よりも魅力的な日々だったように思えてきてしまうのだった。

 と。こうなればもはやストーリーは決まった方向にしか動かない。つまり、ヘルマートに帰還し、ヘルマートを変える方向へと「俺=善人面」は動き出すのだ。

 そこでヘルマートの社員総会へ潜り込んだ「俺=善人面」は……、とここから先を語ってしまうとネタバレになってしまうので、やめるが、まあ話はそういう方向に進んでいくのである。

 つまりこれって「予定調和」?

 う~む、かなり濃いキャラ立ちした登場人物に期待して、「お話はこれからだ」的なことを以前のブログで書いたし、著者も「あとがき」で『すると、不思議なことにキャラクター達が一人歩きして行くのです』と書くように、まさにそんなキャラクターが立っているお話ではあるのだが、今回はまさにそんなキャラクターたちに勝手に歩かしてしまったために、ちょっと予定調和的なストーリーになってしまっているのが惜しい。

 多分、このキャラクターたちはまだまだお話を作りだしそうな人たちだ。今後、さらに予定調和を外したストーリーを期待しようじゃないか。

 なんて囃し立てたりして。

『コンビニの戦士達 本編』(幻夜軌跡著/のぎのぎ出版/2013年5月19日刊)

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コンビニの戦士達は、きっとここからです!

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