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2013年6月25日 (火)

『レイヤー化する世界』で生き延びる方法を考えよう

 佐々木俊尚氏の久々の新刊は、書いてあることはこれまでいろいろなところで目にしてきた別に目新しいことではないが、その結論はなかなかに刺激的だ。

 そうか「超国籍企業」が国民国家を終了させるのだな。「多国籍企業」に代わる「超国籍企業」か。こりゃあ、革命どころの話じゃないなあ。

2013_06_14_6969_edited1 『レイヤー化する世界 テクノロジーとの共犯関係が始まる』(佐々木俊尚著/NHK出版新書/2013年6月10日刊)

 考えてみれば「国民国家」というものそのものが単なる「共同幻想」に過ぎないわけで、別に国民国家という概念は、中世の帝国が滅んだ後にヨーロッパ、特にフランスで市民革命の後に考え出された概念であるに過ぎない。とするならば、18世紀からこの21世紀初頭までよくもった考え方ではあるのだろう。一時期、マルクス主義による革命で国民国家が壊された時期があったものの、結局それは一国社会主義というイビツな形でしか決着せず、そのために揺り返しがあった、結局、国民国家が復活してしまう。

 ところが、今度は新自由主義という、高度に発達した結果元に戻って資本主義の初期の考え方「レッセ・フェール」による、超国籍企業によって国民国家は終了させられてしまうというのだから、皮肉なものである。

 その一つは「超国籍企業は国の経済力を奪う」ということ。つまり、アップルなんかの「メーカー」は世界中のメーカーが作っている部品を、中国で組み立てて、アメリカをはじめとする世界中の市場に出荷しているのである。アップルはアメリカのメーカーであるがアメリカでメイキングはしていない。しかし、その売上はアップルに集中する。結局、アップルはアメリカの経済にはまったく貢献していないのだ。

 最近アップルの米国への税金の過少支払いが問題となったが、アップル(アイルランド~オランダ~ルクセンブルグ~英領ヴァージニア諸島)、マイクロソフト(ルクセンブルグ~アイルランド~バミューダ諸島)、グーグル(アイルランド~オランダ~バミューダ諸島)、アマゾン(ルクセンブルグ)、フェイスブック(アイルランド~ケイマン諸島)という「アメリカの超国籍企業」はみな後ろの括弧に書かれているタックスヘイブンを使っている。

 確かにそれは脱税ではないし、単なる節税策としてそれらの企業の本社が属する国家から許されているわけである。ところがそうした税金逃れの方法はアメリカの税収を著しく低下させ、潤沢な予算を使う軍事力を削ぐことになる。つまり「超国籍企業は国の軍事力を奪う」ということ。

 最後は「超国籍企業は国民の力を奪う」ということ。結局、超国籍企業が世界中でものを作っている理由は「人件費」。つまり、安い人件費を求めて世界中の、その時に一番人件費が低くてなおかつ生産性の高い国に製造場所をシフトしている。だから、本国の仕事は減り、給料も下がっていく。

『そうやって積み重ねていくと、最後はアメリカもヨーロッパも日本も、インドも中国もブラジルも、ベトナムもインドネシアも、そしてアフリカの国ぐにも、同じ仕事は同じ給料になっていくということになるのです』

 で、その次にやってくるのが「ロボットの世界」である。機械にでも出来るような仕事しか出来ない人間はどんどん淘汰されて、ロボットに仕事を奪われてしまうのだ。無人自動車はタクシドライバーやトラックドライバーの仕事を奪うだろうし、無人地上攻撃機はパイロットの仕事を奪う。

 そしてロボットにできない知的な仕事をするごく少数の人だけが仕事をするようになる。

 アメリカの国家情報会議のレポートでは『ひとつの大きな国家が世界を支配するような時代は終わり、さまざまな国や世界企業、さらには非政府組織(NGO)のような団体まで含めて、ばらばらに権力が分散される時代が来る』という報告を提出しているようだがまさしく;

『それは形のはっきりしない大きなネットワークのようなものです。だれも覇権を奪えないけれど、誰もが覇権に参加している、そういうアメーバみたいな姿が、世界の未来なのです』

 という実に実体のない、見えない形の「組織」の時代がやってくるんだな。

 最後に佐々木氏はこう結論づける;

『未来はこのような姿になるでしょう――超国籍企業がつくる〈場〉の上で、無数の小さなビジネス、無数の仕事、無数の文化が立ち上がり、そこで無数の人びとがレイヤーごとにつながりながらひとりひとりのよき生を送っていく』

 と。

 ロボットにはできない知的な仕事ってなんだろうと考えながら生きていくしかないのか。

『レイヤー化する世界 テクノロジーとの共犯関係が始まる』(佐々木俊尚著/NHK出版新書/2013年6月10日刊)

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