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2013年5月 2日 (木)

『ビッグデータの覇者たち』は壮大な「ゴミ集め」

 ビッグデータ、ビッグデータと言ったって、それはネット上にあふれた個人の細かなデータ、メール、ライフログなどなど、行ってみれば「壮大なゴミの集積」なのだが。

2013_04_30_24252『ビッグデータの覇者たち』(海部美知著/講談社現代新書/2013年4月20日刊)

 しかし、貝塚が古代人のゴミ捨て場であったものが、現代人にとっては古代人の秘密を解く重要なカギになったり、石油だって数百万円前の生物の死骸だったりということを考えると、そんな「ビッグデータ」が新たな時代の石油にはならないとしても、貝塚くらいにはなるのかもしれない。

 で、今そんな「ゴミ収集」に明け暮れているのがグーグル、アップル、アマゾン、フェイスブックというところだが、多分マイクロソフトやIBM、ヒューレット・パッカードあたりに代表されるシリコンバレー企業も同じようなゴミ収集をやっているのだろう。グーグルが考える『データというものは、量をたくさん集めていけば、どこかの時点で質に変わる』のがどのタイミングかはいまではまだ確実には分かっていないけれでも、いつかは確実にやってくるのだろう。

 では、そんな「ゴミ収集」がアメリカ企業だけがやっているのだろうかというと、実は日本でもやっていたんですね。それがホンダのインターナビだったのである。つまり、ホンダ車に搭載されたインターナビの走行データをグーグル・マップとマッシュアップして、3.11東日本大震災の際に通行可能な道路情報を一般公開したのである。ホンダ・インターナビ・プレミアムクラブでは会員の車に搭載されたナビの「フローティングカーデータ」は会員の車に搭載されたGPSや各種センサーからの走行データを集めていて、普段は渋滞情報や駐車場状況などを会員向けにサービスしていたのだが、そのデータを一般公開すれば、地震の後の混乱する情報の中で、通行可能な道路情報を提供することができるわけだ。

 自分がどこにいるかというGPS位置情報は基本的にはプライバシー問題を起こす原因にもなるが、一方でそんな有効な使い方もできるという一例だ。さすがに、1980年代からテレメータ・システムでF1の走行データをレース中に埼玉の研究所で受けて、それを次のレースで使うエンジンの改良に生かしてきたホンダならではの情報の使い方だ。まあ、その結果、勝ちすぎてホンダ・バッシングが起きてしまったことは、昨日のブログに書いた通りなんだけれどもね。

 で、その大震災の後を受けて、地震の最大の後遺症である原発事故から日本の電力供給事情はクライシスを迎える。そんな時に言われ始めたのが「スマードグリッド」という考え方だ。つまり、各家庭や事業所で使われる電力を如何にして一日の中で平準化して、昼間の電力使用と夜間の電力使用を同じようにして、一日の電力使用を抑えるかというテーマ。まさしく、各家庭や事業所の細かい使用データを明らかにして、それをどう使うかという問題。そんなの、勝手にすればいいじゃんというのがそれまでの考え方だったのだが、それをみんなで協力して電力使用を抑えましょうという考え方。その「各家庭の細かい使用データ」こそがさおれを集積することによってビッグデータ化するということ。

 なるほど、そうやって考えるとビッグデータもわかりやすい。

 というわかりやすいものでビッグデータを考えてみると、まずそれは行政に生かす必要があるのじゃないか。

 まず現在の「縦割り行政」をやめて内情をビッグデータ化することによって、行政の内容を「見える化」し無駄を省く。そうすれば今の公務員の数も相当減らすことが可能となって、まさしく行政のスリム化ができる。

 次が失業保険や生活保護行政をすべて「見える化」することによって、不正受給や誤支給をなくすことができる。

 そして最大の問題は医療への適用かな。その為にはまずカルテの電子化がまず第一に必要だし、その電子化されたカルテを如何に各医療機関で共有するかということ。

 で、結局どうなるかというと、問題はプライバシーと公共の福祉とのバランスの問題になる、というか実はそれが一番の問題。

 政府の前に丸裸で放り出された私たちは、それでもより良い福祉を求めてそれを甘受するのか、あるいはそれは勘弁ということで、自分で何とかするから政府(行政機関)の世話にはならない道を歩むのか。

 ビッグデータに関するプライバシー問題の実害を海部氏は以下のように見る。

・軽度の実害
①スパム問題。メールアドレスを取られ、売り込みの迷惑メールやウィルス入りメールなどが送られてくる。
②隠しておきたい事実が表に出て、知り合いの間で噂になる。

・重度の実害
③ストーカーやネットいじめの被害に遭ったり、詐欺や盗難などの犯罪のターゲットになったりする。
④隠しておきたい事実、家族や健康上の問題などが表に出て、就職や結婚、保険加入やローン審査などの障害になる。
⑤政府や権力を持つ団体が個人の行動を監視し、プロファイリングで「危険人物」と見なされるなど、抑圧を受ける。

 というもの。

 まあ、なんといっても一番の問題は⑤ですね。

 とは言うものの、もはや主要道路には監視カメラで我々の行動はすべて権力の前に晒されているわけで、いまさら言ってももう遅いか。

 まあ、なんとも生きにくい(逆に言えば「生きやすい」)世の中ではありますな。

『ビッグデータの覇者たち』(海部美知著/講談社現代新書/2013年4月20日刊)これもKindle版が出ていた、まったくなあ。脊髄反射で298円損しちゃった。

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