フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« ツアー・オブ・ジャパン第5ステージ 波乱なく終わる | トップページ | ツアー・オブ・ジャパン最終東京ステージは西谷のステージ2勝の快挙 »

2013年5月26日 (日)

政治的ではなく経済的理由から賃金格差解消を求める『日本の景気は賃金が決める』

 アベノミクスで取り敢えずは期待感だけで「円安・株高」状況になり、インフレ目標は達成できたようだが、肝心の経済の実態は今までとは変わっていない。本当の好景気はこれから如何にして達成していくかという提言なのである。

20130523_1154『日本の景気は賃金が決める』(吉本佳生著/講談社現代新書/2013年4月20日刊)

 アベノミクスの「三本の矢」とは、①大胆な金融緩和策、②機動的な財政政策(公共事業拡大)、③産業の成長戦略、なわけだが現実はまず①の金融緩和策が実施されただけである。取り敢えず、市中の通貨流通量が増えればそれだけでインフレになるわけで、安倍首相の言うインフレターゲット2%は実現(というか実は3.5%だったという説も)したわけだし、その結果としての株価なんて所詮投資家の気分で動く相場なので、大幅な株高にはなったわけだ。円安のおかげで輸入物価は上がるわけだし、問題のひとつの「インフレ」だけは実現した。

 しかし、インフレになったのは「物価」だけであり、肝心の「賃金は」いまのところ上がりそうもない。まあ、まず物価が先に上昇するのはやむを得ないとして、肝心の賃金が上がる可能性はいまのところ低い。ということはこのまま不況下のインフレーション=スタグフレーションになる可能性は高いわけなので、問題はますます深刻化するということなのである。

 安倍首相は経団連などに賃金のアップを求めているが、しかしいまや日本の経済価値の24%を占めるだけの製造業などの第二次産業を中心とした経団連に協力を求めても意味はない。おまけに今や製造業の大半は現場をアジアなどの海外においている訳で、そんな第二次産業に賃金アップを求めても、それはもともと高収入である製造業の正規雇用者の賃金なので、日本の景気アップには結びつかないのである。

 問題は、今や日本の生産の75%を占める第三次産業に働きかけなければ、日本の景気アップは望めないはずなのである。

 そこで「スタバではグランデを買う」吉本氏の登場となる訳なのである。

 つまり「男性で」「大企業に勤める」「正規雇用者で」「長年働いてきた中高年」という高収入の層ではなく、「女性で」「中小企業の」「非正規雇用者で」「短い勤続年数(若者)」の賃金を上げることで、景気を回復させようというのだ。

 上記の「男・大・正・長」の従業員は基本的には製造業などの第二次産業に多く、他方「女・小・非・短」の従業員は基本的には第三次産業に多い雇用形態である。一方で「男・大・正・長」の年収1千万を超える雇用者に対して、彼らの年収を多少あげたところで、その結果は預金に回るだけで日本の経済成長には結びつかない。他方「女・小・非・短」の年収300万円以下の人たちにとっては、彼らの年収を上げることは、直接的に消費に回り、結果としては日本経済を押し上げる要素になる。「平均消費性向=景気回復への貢献能力」で考えると、年収1千万以上の高所得グループは可処分所得の7割弱しか消費に使わないのに比べて、低所得グループは可処分所得の8割強を消費に回すという総務省の調査結果もあるようだ。

 つまり;

『①賃金デフレを脱して、賃金が上がることと、②賃金格差が縮小して、消費に使う比率が高い人たちにおカネが回ることが、最重要ポイントだといえます』

 ということ。特にこの②の方が重要度が高いということなのだろう。つまり;

『主要先進国でいちばんひどい「属性による賃金格差」を前提に、少しでも賃金格差を縮めて景気回復につなげるためには、"女・小・非・短"の属性をもつ労働者の賃金が上がるような政策を考えるべきです。ぴったり当てはまる産業が「宿泊業、飲食サービス業」として分類されるサービス業です』

 となるのだ。更に;

『日本銀行の大胆な金融緩和で膨張したおカネが、他のバブルに流れるぐらいなら、日本の都市部の不動産バブルが受け皿になるほうがまだマシだという覚悟で、都市部の地価上昇を演出するのに利用すべきです』『いまの日本銀行は不動産投資信託(REIT)だって買っているのですから、①都市部の不動産価格を安定的に上昇させるように誘導して、民間銀行の日銀預け金口座にジャブジャブに積んだマネタリーベースの受け皿とするほうが、②消費者物価を年二%ずつ上げるとか、③国際的な資源市場のバブルもふくめて、どこでもバブルが起きないように注意するとかの、難易度が高そうなことをめざすより、よっぽど現実的な政策運営です』

 となると「おいおい」とも言いたくなるが、しかし、都市部への『人口集積がサービス業の需要を効率的に増やす』ということを考えると、「土地バブル=都市部への人口集積」というものも使いようなのかもしれない。

 結局;

『アベノミクスは、①インフレ目標政策を設定しての金融緩和、②公共事業拡大を中心とした財政政策、③産業の成長戦略を、三本の矢としています。これに対して本書は、①金融緩和を日本の都市部の不動産価格上昇につなげる(バブルになってもかまわない)、②公共事業はできるだけ都市部に集める、これら二つの効果で、③人口を都市部に集めてサービス業を自然に成長・発展させる、の三つを提案しています』

 ということが、簡単な本書のまとめなのだが、結局アベノミクスといったって、それは選挙政策と表裏一体の政策にすぎない。だとすると、「金融緩和や公共事業を都市部に集中させる」という政策はでてこないだろう。

 なにしろ、日本経済に1%しか貢献していない第一次産業を如何に保護しようかということを基本政策においている自民党である。

 それを押し切って、都市集中策を実行するなら、まだアベノミクスにも望みはあるけれどもね。

『日本の景気は賃金が決める』(吉本佳生著/講談社現代新書/2013年4月20日刊/Kindle版は4月1日刊・157円安い)

« ツアー・オブ・ジャパン第5ステージ 波乱なく終わる | トップページ | ツアー・オブ・ジャパン最終東京ステージは西谷のステージ2勝の快挙 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/57442045

この記事へのトラックバック一覧です: 政治的ではなく経済的理由から賃金格差解消を求める『日本の景気は賃金が決める』:

« ツアー・オブ・ジャパン第5ステージ 波乱なく終わる | トップページ | ツアー・オブ・ジャパン最終東京ステージは西谷のステージ2勝の快挙 »

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?