フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« 『マダガスカルへ写真を撮りに行く』のは何故か? | トップページ | 『衝動買い日記』は普通の「買い物日記」じゃん »

2013年5月17日 (金)

『「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった』わけないじゃん

 さすがは多賀敏行氏は元外交官だけはある。マッカーサーの「日本人は十二歳」発言や、パキスタンのブット氏の「日本人はエコノミック・アニマルだ」発言、EC報告書の「日本人はウサギ小屋に住んでる」という表現は、誤解に基づく解釈だといって、日本人はそんなに外国から蔑まれている訳ではない、というのだが。

20130511_2246『「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった 誤解と誤訳の近現代史』(多賀敏行著/新潮新書/2004年9月刊)

 しかし、そんな多賀氏の本を読んでも、やっぱりそれらの言葉は日本及び日本人を蔑んでいるとしか思えないのだ。まあ、これは別に私が国粋主義者というわけでも右翼でもないけれども、やはりそれはそれで、それらの時点で諸外国は日本の「よく見えない姿」にたいして怖れと蔑みで対処するというのは、ごく普通にあることなのではないだろうか。

『「日本人はドイツ人と異なり封建体制下でしか生きたことがなく、世界のことも十分知らずに暮らしてきた。そして欧米の自由とか革命とかが何のことか知らずに暮らしてきた。欧米の社会の発展の度合いで見ると子供のようなものである。しかし子供であるからこそ、教育が可能だ。壮年期に確信犯として悪事を働いたドイツとは違う」ということを強調したかったのだろう。日本をいわば慈父の立場から弁護せんとする発言であったといえよう』

 という表現そのものに、やはり日本人に対する憐れみが感じられるのではないだろうか。

 エコノミック・アニマルという表現にしてもブット氏の『新聞記者ふぜいの知ったことではない。日本人などは金に飢えた動物で、政治のわかる動物ではない』という暴言から来た言葉であり、つまりそれは「The Japanese is not a political animal」という文脈のなかで「The Japanese is an economic animal」と発言したのであれば、それはやはり蔑みの意図があるのではないだろうか。

 それは「『ド・ゴール大統領が池田勇人首相を「トランジスタのセールスマン」と揶揄した』 のと同じ文脈の中での蔑みなのではないか。

 もっとも今やトップセールスの名の下に、大統領や首相が自らの国の主要生産物を外国に売り込むことは当たり前になってしまい、それこそ「トランジスタのセールスマン」発言は褒め言葉になってしまうという点で、昔の政治家の感覚に「古き良き時代」を感じてしまうのであるけれどもね。

「日本人はウサギ小屋に住んでいる」という発言についても、たしかにフランス語で「cage a lapins……画一的な狭いアパルトマンの多くから成る建物」という言葉があるにしても、だからといって「ウサギ小屋」に日本人を褒める表現はないのである。

 つまり『日本経済の猛烈な拡大は、過密で、競争の激しい島国の人々の勤勉さ、訓練、社会への忠誠心、管理能力によってもたらされた。この国は西洋人からみると、ウサギ小屋とさして変わらない住宅環境の下に生息している働き気違いの国だ』というEC対日秘密文書の表現は、まさしく「秘密文書」であるがゆえに、全く日本及び日本人に対する考慮は一考だにさえれていないという点においても、まさしく日本人を蔑んで、しかし、今後とも日本の経済的優勢は続くであろうという一種の諦めにも似た響きがある。

 多賀氏は、子ブッシュの2002年9月12日の国連演説について『「我々は必要な決議が採択されるよう国連安保理と一緒に働く」(We will work with the U.N. Security Council for the necessary resolutions.)』の最後の部分「the necessary resolutions」という複数形で表現した部分に注目する。つまりそれはチェイニー副大統領とラムズフェルド国防長官という強硬派に対する、パウエル国務長官とブレア・イギリス首相の勝利だという。つまり「必要な決議」を複数形にすることによって、フランスに対するアメリカの譲歩を引き出したというのだ。

 これは「超過去完了時制……The Ex-Pluperfect Past Tense」という本来ありえない時制を持ち出してイギリスのインタビュアーを煙に巻いたパパ・ブッシュとの違いが見えて面白い。

 結局、子ブッシュの方はパウエルが書いた原稿を何も考えずに読んだだけなのに対し、パパ・ブッシュのトンでも文法は自分で考えたそうである。やはり、海軍のパイロットとして活躍、その後ちゃんとエール大学に入学し卒業したパパ・ブッシュと、エール大学に(大量の寄付金と引き換えに)裏口入学し、ベトナム戦争には兵役逃れをした元ジャンキーの子ブッシュの違いなのかな。

 まあ、いずれにせよ「他国から蔑まれた表現で批判を受ける」というのは、結局そういう形でしか新興国を批判できない先進国(つまり、これからは落ちていくだけの国)の焦りでしかないわけで、第二次世界大戦でほとんど経済的には立ちいかなくなってしまった日本が、その後、驚異の復活を見せた姿に欧米先進国が恐れおののいて、不思議な日本及び日本人を評したという風に考えれば、別に蔑まされることの理不尽さを考える必要もないほどである。

 言ってみれば、それは今我々が韓国や中国に対して持っている感覚のようなものであろう。。

 結局、マトモに向き合っても勝てそうにもないから、なんか相手を蔑む部分を探して、そこをいかにも的な感じで攻め立てる。しかし、そんなことで攻め立てても何にもならないで、結局はその国や国民に負けるのである。

 ちょうどいま、我々日本人は勢いのよい韓国や中国に追い立てられて、昔のヨーロッパ人のように慄いているのだろうな。で、嫌韓だとか嫌中だとか言っている連中と同じなのだ。

 ああ、残念。

『「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった 誤解と誤訳の近現代史』(多賀敏行著/新潮新書/2004年9月刊/電子版は2012年7月27日刊)紙版は「品切れ重版未定」みたいで、電子版だけが生きているようだ。これが電子版のいいところである。ようは「品切れなし」ってところがね。

« 『マダガスカルへ写真を撮りに行く』のは何故か? | トップページ | 『衝動買い日記』は普通の「買い物日記」じゃん »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/57363618

この記事へのトラックバック一覧です: 『「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった』わけないじゃん:

« 『マダガスカルへ写真を撮りに行く』のは何故か? | トップページ | 『衝動買い日記』は普通の「買い物日記」じゃん »

2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?