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2013年4月27日 (土)

『君は本当に出世したくないのか?』という設問は正しくない。前提は「君が今の会社にとどまるならば」と入れなければ

 まあ、出世はしたくないかと言われればしたいけれども、でもそのためにアクセクするよりは自分の好きな本を作っている方がよっぽど充実しているよな、という出版社独特の雰囲気の中で37年半生活してきた私は、このような「出世」に重きを置く本の書評はできないはずなんだけど……。

20130424_1723『君は本当に出世したくないのか?』(尾崎弘之著/クリークアンドリバー社/2013年4月11日刊)

 でも、しちゃうのだ。

 だって、東大法学部を卒業後、途中ニューヨーク大学MBA、早稲田大学大学院博士課程を間に入れて、野村證券→モルガンスタンレー→ゴ―ルドマンサックス→ソフトバンク・インベストメント→バイオビジョン・キャピタル→ディアベックと職を転々とし、2005年にやっと現在の東京工科大学教授の職に就いた尾崎氏に『なぜ、「石の上にも三年」なのか?』なんて語られてもねえ、なんかリアリティめっちゃ少なくね?

 で、尾崎氏による出世の五か条というのがあるそうだ。

(1)組織における自分の位置を正確に測定する
(2)結果と成果とを適切に区別する
(3)変化と成功を意識する
(4)仕事の目的と人生の目標をリンクさせる
(5)誤解と錯覚によって、自分の行動を制約しない

『出世とは組織内で自由を得るためのものである』という当たり前のことを尾崎氏は言うのであるが、そのための五か条が上記のものだ。

 さらに『実力とイメージを兼ね備えているグループを「一軍」、実務能力はあるがイメージが悪いグループを「二軍」、実務能力はないがイメージが優れているグループを「詐欺師」、実務能力、イメージとも欠如しているグループを「負け犬」と名付けてみた』とし、それをMBAお得意のマトリックスに落とし込む。

 これらの二つの指標からみると、私はまず五か条の(1)で完全に落第し、マトリックスではやはり完全に「二軍」であった。ただし、五か条の(2)~(5)はかなり自覚的に実行してきたし、実務能力(映画のプロデューサーとしての能力)はあった方だろうと、自惚れもさせていただいても問題はないはずだ。

(2)の 『組織の中では第三者(=決定権者)が判断することによって、はじめてその人の仕事ぶりに評価が下る。つまり、結果は各メンバーが出すが、それを成果として認めるかどうかは上司次第になるのだ』という考え方はよく理解しているし、そのような「成果」を私は上げてきた。(3)の点でも『出世を望むならば、常に変化を心がけていなければならない』というとおり、私の属する会社では扱っていなかった分野ばかりを歩いてきた気がする。(4)については、少なくとも40代までは『つねに目標を設定し、前進を心がけて』いたのだが、まあ、最近は「1日1冊本を読む」こと位かな。で、(5)なのだが「外国人への苦手意識」なんてものはないし、「視点変更技術」はあるはずである。

 じゃあ、なんで私が出世できなかったのかといえば、やはり(1)の「組織における自分の位置」を間違ってしまったからなのだろう。

 結局、私は私の好きな映画作りでは一生懸命仕事をして、それなりの成果も出したわけなのであるが、なんだ私の会社は映画会社じゃなくて出版社なのであって、そんな出版社では映画で稼いでも全然評価をしてくれなかった、という単純な話であった。しかし、この鈍感な男はそれにも気づかずに一生懸命映画を作っていたっていうわけなのであった。

 まあ、自分の好きなことをやって、それを会社も認めてくれていたわけなので、それだけでも十分会社には感謝するし、会社にも経済的な恩返しはできたわけなので、別にその会社で出世できなかったからと言っても、別に何の不満もないのであるが……。

 ひとつだけ言えることは、出世するとそのレベルにおいて見えてくる世界が違ってくるということ。また、物事の決定できる範囲も広がってくるし、社員なりの自由の獲得度も変わってくるということなのだ。勿論、収入もね。

 そんな意味では、サラリーマンを続ける以上はやはり出世を目指すべきだろうし、そのためには多少の自己犠牲も必要になってくる。それがいやならば「会社員でいるときは平社員でいい」と居直るか、あるいは会社員であることを辞めるか、という選択肢がある。

 会社員であるということと、そうじゃなくてフリーで仕事をするということの間には、基本的には差はない。一方は「会社」という組織に守られていて、多少は安穏と生活はできるが、しかし会社に搾取されているという現実は決して変えられないし、まあ「社畜」としていつしか飼いならされているのだろうな。一方、フリーで仕事をするということは、そんな「搾取」よりは多少は好い条件で「自分がやった仕事の成果物」を自分が獲得することができるし、人から仕事以外の部分で何かを言われることはない代わりに、生活は基本的に不安定である。

 で、結局安定を求めるのであれば、社畜であることを認めなければならないし、同じ社畜ならばより上の立場になって人を支配するようになるために「出世」をした方がいい、という一種の処世術がここにはある。

 ただし、これは本当に処世術にしかすぎない。人生のフィロソフィーをかけた問いかけではない、単なる処世術。

 会社員を続けるならば出世した方がいいよ、というね。

そりゃあそうだ。

 ただし、会社員を続けるかどうか。どちらがいいかは全く分からない。

 それこそ、「自分で決めなさい」なのである。

『君は本当に出世したくないのか?』(尾崎弘之著/クリークアンドリバー社/2013年4月11日刊)電子版のみ

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書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

>まったく「本書で何を言いたいのか」
>が分からない構成になっている。

悪書にひっかかりましたね。
僕もそうです。 

「君は世界を迎え撃つ準備ができているか?!」
という,やたら勇ましいタイトルの田村さんの本の内容はガラクタそのものでした。

「ビジネスは逆張りが基本。そういう意味でカンボジアは穴場だ」というのも失笑もの。
「ビジネス」を「政治」におきかえれば,田村さんの
政治履歴は?  です。

2009年の民主党の政権交代がなると,その3カ月後には自民党を離党し民主党に入党。
1年後に民主党で落選。

やってることは「逆張り」の反対でしょうね。
最高値の民主党株を買って,最安値で民主党株
を売り払った,というところでしょうか。

著者の悪口ばかりになりました。
ひとの悪口は後味の悪いものですね。
失礼しました。

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