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2013年4月 5日 (金)

『企業が「帝国化」する』とか言っても、何も怖くはないのだ

 企業が帝国化するというのはある種当然であり、それに対する法整備ができていない国家というものを軽々と超えていくのである。

234__136x『企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔』(松井博著/アスキー新書/2013年2月12日刊)

 私などはドメスティック企業の最たるような「日本語の出版社」にいたせいで、社員当時はあまり意識していなかったが、その私のいた出版社でも今は中国と台湾に子会社を作って現地出版を盛んに行っているしなあ。

 そういえば、つい最近もパソコンの調子が悪くヒューレット・パッカードのコールセンターへ電話をしたら、電話口に出たのは宗さんという日本語を巧みに操る女性で、多分、大連あたりにあるコールセンターに勤務する女性なのだろう。

 つまり『世の中は「仕組み」を創る少数の人々、「仕組み」の中で使われる大半の低賃金労働者、そして「仕組み」の中で消費を強いられる消費者という3つの側面から成り立っている』ということ。私は『「仕組み」の中で消費を強いられる消費者』であり、私の電話に出た中国女性は『「仕組み」の中で使われる大半の低賃金労働者』であり、カリフォルニア州パロアルトにいる『「仕組み」を創る少数の人々』によって生かされているのだな、ということだ。

 企業の目的は収益の極大化である。その目的のためには何をしても許されるというのが企業のビヘイビュアである。時には犯罪すらも許される時がある。

 そんな「帝国」と呼ぶに値する企業には3つの条件を満たしている必要があるという。

1.「帝国」と呼ばれるのにふさわしい企業は、それまでのビジネスの慣習などを破壊し、その在り方を自分たちにとって都合のいい形に根底から変えてしまいます。

2.「抵抗」と呼ばれる企業はどこも、一度手を出すとやめられなくなる麻薬のように、顧客を魅了し、餌付けしてしまう製品やサービスを提供しています。

3.「帝国」の3番目の条件は特定の業界の「食物連鎖」の頂点に君臨し、業界全体に強い影響力を保有することです。

 という3条件。

 まさに、今のアップル、マクドナルド、エクソンモービルなんかはその通りである。

 とは言うものの、現在のアップルはまだその息は残っているけれども、今後のことを考えるとどうなんだろう。

 今のところスティーブ・ジョブズの残した財産で生き延びているが、今後なんらかのイノベーションがないと、昔のアップル、松井氏が就職したころのアップルのような『まるでヒッピーのコミューンや学園祭のような自由な空気が溢れていた』会社になっていくような気がする。

『アップルの帝国化は、iPodの世界的な大ヒット→大量生産の完全外部委託→ユーザーの囲い込み戦略とエコシステムの構築、といった順序で進んでいきました』と書くが、『iPodの世界的な大ヒット』と言っても、じゃあそれがスティーブ・ジョブズの発案によって出来上がった製品なのかといえばそうではない。MP3プレーヤーは既に存在していたが、アップルはそれをリファインし、もっと大きなことはiTsunesを立ち上げたことだろう。

 もともとアップルはそういう会社なのだ。

 今やWindowsでも使われているGUIにしたって、別にアップルが考えたことではなくて、ゼロックスのパロアルト研究所に行って、研究所が考えたGUIという考え方をジョブズがパクっただけなのだ。

 多分、ジョブズが持っている強烈な意志(時にそれは「現実歪曲空間」とも呼ばれた)というものは、ある種の自分が作ろうとしているものへの異常なまでの「こだわり」なのだろう。GUIにしても、Macintosh I、Macintosh IIにしても、勿論、iPodにしてもiPhoneにしても、別にそれが新たなイノベーションではないのだけれども、何かイノベーションを感じさせてしまうジョブズのカリスマ性や、まさに現実歪曲空間なんだと思う。

 ティム・クックは実務的な面ではとても優秀な人物だと思うけれども、ジョブズのようなカリスマ性はないし、ジョブズのような『異常なまでの「こだわり」』はないのかもしれない。ということは、ティム・クック体制の中でアップルが「帝国」から「普通のアメリカ企業」になる日もあるということ。

 そう、ローマ帝国が滅んだように、ロシア帝国が革命で滅んだように、イギリス帝国が自らの植民地独立国アメリカ合衆国の興隆により力を失ったように、「帝国は滅びる」のである。人も企業も国家も同じである。つまり生命のあるものなのだ。

 マクドナルドやエクソンモービルはその帝国を維持する人材育成や後継者作りをやっているようだし、それなりに企業が官僚化するというのは多少の延命策ではあるのだし、トヨタなんかは最後は創業者の家族に経営を任せるという方法論で乗り切ったりするけれども、まだ若い会社であるアップルにはそういう文化はない。

 マクドナルドだってエクソンモービルだってトヨタだって、いつかは滅びるんだろうけれども、その滅びの速さは新しい会社ほど早いのではないか。

 そういう意味では松井氏は好い時にアップルを辞めたと言えるのかもしれない。

 何しろ、ジョブズが帰って来る前の、いわば創業当時の雰囲気を残した『ヒッピーのコミューン』のようなアップルを体験し、その後のジョブズが帰ってきた『目的意識の高い』アップルを経験したのだから。

 そんなアップルもいつかは滅びる。

 企業もいつかは滅びる。

 人間が確実に死ぬのと同じように、企業もいつかは滅びるのだ。

 と言ってしまえば『企業が「帝国化」する』と言っても、何も怖いことはないのだ。

『企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔』(松井博著/アスキー新書/2013年2月12日刊Kindle版もあり。ホンのちょっとだけ安い)

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