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2013年3月13日 (水)

『フェデレーション』のいささか緻密さを欠くストーリー展開について

 アメリカで投資顧問会社に勤務する広瀬隆雄氏の小説は『いきなりニューヨークで面接しろと言われても、困ります』『商社マンはガイジンと付き合ってキャリアを棒に振るような真似はしない』『「おまえはスーパーモデルを目指せ!」なんて、よくも残酷なことが言えたわね』といういわゆるニューヨーク三部作や、ヘッジファンドのアナリストが主役の『すべての輝けるもの』などは、自分の体験から書いた小説であるから、まだいいようなものだが、このSF作品になると初めて挑戦する分野なのだろう。

 ちょっとそのストーリーは緻密さを欠き、リアリティに欠ける設定も加わって、今回はあまりオススメできない。今後シリーズが続くようだが、その中で軌道修正を求めたい。

『フェデレーション①』(広瀬隆雄著/Amazon Servies International/2013年2月22日刊・Kindle版のみ)

 21世紀のヨーロッパ、財政破綻を起こした南欧を中心にドイツが再建したヨーロッパはEUの発展型の国家連邦となっており、しかしそれは実際にはドイツによるヨーロッパ支配だった。それが「フェデレーション」。つまり、ヒットラーが夢見た欧州連邦が、彼の死後90年を経て遂に成立したわけである。つまり今から20年ほど後のヨーロッパ。

 欧州連邦政府は欧州各地の民族主義運動を抑えるために「焚書」を行って、フェデレーション域内の各国民族としての記憶や固有の文化への郷愁を呼び起こさなくさせた。

 そのころの世界はEMと呼ばれる「エンハンスト・マン(Enhanced Man)」、つまり脳にチップを埋め込んで、ARゴーグルをかけることで様々なコンピュータ・リードアウトを読むことができるという人たちと、HRと呼ばれる「ヒューマナイズド・ロボット(Humanized Robot)」が共生する世界。

 ポーランドはクラカフのシフィエンチゴ・トマシャ街という娼婦街から逃げてきたゾフィアというEM化していない女性を、偶然助けたHRのテス。この二人が主人公。

 よりロボットに近い存在になりたいという人間がなるのがEMであり、一方ロボット側はHRとなって人間が持つ感情を既に持っている。つまり、人間とロボットを見ても、どちらがEMで、どちらがHRであるのかは、一見しただけでは区別がつかない状況になっている、そんな時代の話なのである。

 とまあ、そこまでが第1章の設定話。第2章ではテスの仕事がPTS(Put to Sleep:安楽死)ツアーの看護師という仕事であることが明かされて、つまりテスが「死/あるいは殺しのスペシャリスト」であることが明かされる。

 ここまでも主人公二人の設定話、だからまだいい。

 しかし、第3章になると、突然物語が動き出す。

 まず、ゾフィアがドイツ首相の(つまり欧州連邦のトップである)ブラック・チャンセラーと呼ばれる人間のSMの相手だった(それもブラック・チャンセラーがMの)という話があり、ゾフィアがいた娼館のリーダーのクロードの話になる。

 ところが、このクロードがいとも簡単にテスによって殺される。だって、ドイツ首相が来るような娼館でしょう。そのオーナーがそんな簡単に術中に陥っちゃうの? というのがまず第1の疑問。

 そして、第4章になると早くも大物ブラック・チャンセラーの登場である。ゾフィアに化けたテスは何の疑いもなくブラック・チャンセラーに近づき、ブラック・チャンセラーにボンデージ・プレイを命じ、臀部に鞭打ち、ハイヒールでぐいぐい踏みにじる。この辺も、もっと近辺に対する警戒はあるはずだ。

 だって、ドイツ首相で欧州連合のトップでしょう。おまけにその人のSM趣味(それもM)がバレたら最大級のスキャンダルである。確かにテスはロボットだからゾフィアに化けるのは人間が人間に化けるよりは楽かも知れないが、だからといってそんな簡単に欧州連合のトップに近づけるのだろうか、というのが不思議。

 最後にチオペンタールという昏睡状態に陥らせることのできる薬を、ブラック・チャンセラーの臀部に注射したテスは、救急車でブラックチャンセラーを運びだし、アジトに連れていくと、ブラック・チャンセラーに過去3年間に公布したフェデレーションの全ての法律にNLP(No Longer Applied)、つまり無効宣言を出すことを命じる。勿論、それに逆らえば命を失うことと引き換え条件である。

 しかし、その最後のブラック・チャンセラーの台詞は;

「いい。あの女、実にいい味、出している」

 である。

 つまり、今後のブラック・チャンセラーのテスあるいはゾフィアへの巻き返しがあるという予告なんだけれども、それにしても、なんでこんなにストーリー展開を急激にしなければならないのか。

 特に、第3章、第4章の展開のアッサリ感は、何なんだ。ブラック・チャンセラーはヨーロッパの首相に当たる人なんでしょう。だったら、そんなに簡単な警護におかれているわけないじゃん、というのが基本的な問題。

 ここのリアリティがないと、その後の全ての部分においてのリアリティがなくなって、読んでいても面白い展開にならないんだよなあ。 

 なあんだよ、そんなマンガじゃないぜ、ということで……。

 ということで、やっぱり残念なKindle Direct Publishing なんだよな。

 確かにメディアの出始めの時は玉石混交はやむを得ないという話を、3月9日に作家の志茂田景樹氏としたばかりだけれども、もうちょっと玉石混交までいってほしいもんだ。石ばっかりってのもねえ。とちょっと残念。

 ①だけ読んで批判して、後は読まないってのもなんなんで、とりあえず、②までは読んでみるけどね。

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