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« 澁澤建氏の話を聞いて、日本の破綻を期待する自分がいた | トップページ | 新宿区市谷加賀町二丁目の現場 »

2013年2月 1日 (金)

『文庫はなぜ読まれるのか』なんてことに気づかないと、電子書籍に完璧にやられちゃうよ

『新文化』の1月31日号のカバーストーリーは、実業之日本社の第二出版部長兼文芸出版部長兼ライツ・編集総務部長という何か大変な仕事人間である岩野裕一による『文庫の行く末が「紙」の未来決める』という記事である。

 岩野氏は昨年11月に『文庫はなぜ読まれるのか 文庫の歴史と現在そして近未来』(出版メディアパル)という本を上梓した。内容は、実業之日本文庫という新しい文庫レーベルの立ち上げと、もうひとつライツ管理という業務を兼務する中での考え方をまとめたもの。

 つまり「文庫」という、言ってみれば「二次メディア」での仕事と、その為の契約管理・交渉という仕事の中から「コンテンツ」とは何か、という部分に触れ、そして考えたことを出版したわけなのであるが、今更なんでこんなことを言わなければならないほど、出版業界は遅れていたんだということを再認識させられた気分である。

『つまり、「作品」というコンテンツが、最初にそれが世に出た「版面」から離れてひとり歩きすることで、経済的なトラブルが出版社にもたらされかねないことは、半世紀以上も前からすでにわかっていたはずなのである』と、永井荷風の『墨東奇譚』事件のことを例証するのであり、1980年代に起きた出版権を巡る裁判の例を語るわけなのであるが、それらは単に出版社と著者が契約書でもって出版権の確認をすることを怠っていたためにおきた事件にすぎないのであって、そんなものは出版社の怠慢でしかない。

 ところが、今更ながらにそのような昔の事件を持ち出さなければいけないというのは、それだけ出版業界が世の中の変化に目をつぶって「いやなことは見なかったことにする。見なかったことはないことにする」という、まさに畑村洋太郎氏の『失敗学』のままの世界がここにもあるわけなのであるな。

 岩野氏は『そもそも文庫本をフォーマットとして考えてみた場合、単行本より廉価で、携帯性に優れて移動先での読書に適しており、保存にも場所をとらないというメリットがある。これは電子書籍の特長と酷似していることに、私たちは改めて注意を払うべきだろう』という。

 まさに、文庫というユーティリティなコンテンツ・ソフトに出会ったがゆえに分かった事なのかもしれないが、今更こんなことが警鐘になるような出版業界がアマゾンに食われてしまうのは、最早明明白白である。

 岩野氏の指摘はまさにその通りなのであるが、それに気づく業界人ははたして何人いるのだろうか。

 怪しいものである。

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