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2013年2月26日 (火)

角川歴彦氏のインタビューを読んで思うこと

 出版界唯一の専門紙を謳う『新文化』2013年2月21日号の1面と8面の大半を使って角川歴彦・角川GHD会長へのインタビューを載せている。

Dscf6255_0217shinnbunka(c)新文化

 基本的にはAmazonとの闘い(「交渉」とも言う)を通じて電子書籍の市場を作ってきた角川GHDの考え方を述べたものだ。

 面白いのは『世界でも最大の激戦国である日本にアマゾンが参入してきている。私はアマゾンが来る方がいい、と前から言ってきていました。それはフグのようなもので、食べれば美味しいが毒は怖い。しかし、そこから学ぶことも多い。アマゾンだけがこれからの時代のクラウドプロバイダーじゃないし、受け入れながら闘っていく僕の姿勢を分かってもらえたらと思います』と、フグの毒を恐れて食べようとしない、書籍の電子化や電子書籍へ後ろ向きの、多くの書店や出版社を批判する角川氏の姿勢である。

 結局、電子書籍の出現というものは単なるデバイスの多様化という問題であり、それは本来マーケットの拡大を意味するものであり、別に電子が紙の本の市場を食うなんてことはない筈のものなのである。

 確かに、出版不況と呼ばれる時代背景の中でのAmazonとKindleの登場は、まるで電子書籍が紙の書籍の市場を奪ってしまうというようなものの見方をされてしまっている。しかし、「出版不況」と「電子書籍」は全く違う次元の問題なのだ。たまたま、それが同じ時期に起きてしまった、というだけのこと。

 出版不況は、一つは少子化とか本を読まなくなった若者層などの外的な要因もあるが、一方、出版社自身が招いた不況でもあるのだ。つまり、本を読まなくなった若者に対して、そんな若者たちが読みたくなるような本を作らずに、目先の対策として「新書」「文庫」などの「廉価本」ばかりを作って、なおかつ返品対策として大量の新刊を出してきたという、出版社側の自転車操業自体が不況を作り出してきたのだ。

「本が売れない→それは本が高いから(という大間違い)→じゃあ安い本を作ればいい(というこれまた大間違い)→安くなってしまったので大量に新刊を出さなければならない→大量の新刊を出すので、大量の返品が出てくる→その返品際策として、これまた大量の新刊を出す」という不況スパイラルに落ちいているのが、現在の出版業界である。まあ、2,000社あるという出版社の3分の2位が倒産・廃業するまでは、この不況スパイラルは続くだろう。1980年代から1990年代にかけてのバブル経済のままに、厳しい時代対策を怠ってきたツケが、今やってきたというだけのことである。

 一方、電子書籍は、例えば今から20年ほど前に実用化が見えてきた「Eインク」のテクノロジーが、やっと商用化されてきたのがつい10年ほど前。同じ時期に、ネットの時代が「2.0」と言われて時代を支配するようになってきた訳だ。この「ネット2.0」と「Eインク」の技術を繋ぎ合せたのがAmazonのKindleなわけである。私がMITで20年ほど前に見てきた「Eインク」のテクノロジーは、当時は新聞に合った技術であると考えられてきた。毎日毎日新しい紙に印刷されて読まれる新聞を、「Eインク」は変えてしまうと考えられていたのだった。しかし、新聞は生きながらえてきており(と言っても無くなってしまった新聞も多いが)、それが出版の分野で生かされてきているということなのだ。

 新聞では多少遅れてやってきており、今現実のものとなってきている。多分、新聞の場合は紙面の電子化の前に、パソコンで読まれる新聞という時期があったために、多少タブレット化が遅れたのかもしれない。しかし、新聞も今や紙で読まれる時代は終わっている。

「情報」というものが、それが出た時に既に「陳腐化」が始まっている「モノ」である以上、本よりは新聞などの「情報性」の高いメディアの方が電子化、タブレット化には適しているモノであることは確かだ。

 書籍の電子化に関しては、まったく恐れるものではなく、まさしくデバイスの多様化と受け止めて、まさにそのための企画化を考えていくべきだろう。当然、紙の書籍でなくてはあり得ない企画もある筈だ。出版社はそのように前向きに考えていくべきだし、出版社の社員で電子書籍に後ろ向きの社員なんかがいたら、即刻退職を命じるべきである。

 同じことは書店にも言えるわけで、電子書籍に後ろ向きの書店はもはや生き残ることはないだろう。それは単なる「勝者必衰」の法則に他ならない。いつまでも同じ業態で生き残れるほど甘いこの社会の商業ではない。常に業態を変えて生き残るのが商業の常である。ならば、電子書籍に後ろ向きにならずに、堂々と電子書籍と付き合う道を、書店も考えなければならない。

 時代の変化に後ろ向きになった瞬間、その人はその生きる世界から退場すべき存在となってしまう。

 常に前向きの努力を続けられる者だけが、その世界での勝ち残りとなるのだ。

 で、一体いつ頃から『新文化』は電子化するのだろうか?

 同じ号に載っていたランス・アームストロングのドーピングに関する現在執筆中のノンフィクション『Cycle of Lie』のことも気になるが、それはまたいずれ。

 

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