フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« 『ウェブでの<伝わる>文章の書き方』はあくまでも初心者向けの文書読本 | トップページ | Weekly progress report from Fitbit, from Jan.14 to Jan.20. »

2013年1月23日 (水)

『学問のすすめ』は慶應義塾の宣伝パンフなのであった

 なにしろ岩波文庫版にある『合本学問之勧序』の書き出しがスゴい。

『本編は余が読書の余暇随時に記すところにして、明治五年二月第一編を初として、同九年十一月第十七編をもって終わり、発兌の全数、今日に至るまで凡そ七十万冊にして、そのうち初編は二十万冊に下らず、これに加うるに、前年は版権の法厳ならずして偽版の流行盛んなりしことなれば、その数もまた十数万なるべし。仮に初編の真偽版本を合して二十二万冊とすれば、これを日本の人口三千五百万に比例して、国民百六十名のうち一名は必ずこの本を読みたる者なり』

 というこの本がいかにベストセラーであるかを自慢する筆致たるや、凡そ他の例をしらない。まさに超自慢話から始まるのであった。

『学問のすすめ』(福沢諭吉著/岩波文庫/1942年12月21日刊/Kindle版/2008年1月14日刊)Kindle版は青空文庫なのでタダである。ただし『合本学問之勧序』は岩波文庫版じゃないと読めません。

 勿論;

『「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と言えり。されば天より人を生ずるには、万人は万人皆同じ位にして、生まれながら貴賤上下の差別なく、万物の霊たる身と心との働きをもって天地の間にあるよろずの物を資り、もって衣食住の用を達し、自由自在、互いに人の妨げをなさずしておのおの安楽にこの世を渡らしめ給うの趣意なり。されども今、広くこの人間世界を見渡すに、かしこき人あり、おろかなる人あり、貧しきもあり、富めるもあり、貴人もあり、下人もありて、その有様雲と泥との相違あるに似たるは何ぞや。その次第はなはだ明かなり。『実語教』に、「人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なり」とあり。されば賢人と愚人との別は、学ぶと学ばざるとによりてできるものなり。また世の中にむずかしき仕事もあり、やすき仕事もあり。そのむずかしき仕事をする者を身分重き人と名づけ、やすき仕事をする者を身分軽き人という。すべて心を用い心配する仕事はむつかしくて、手足を用いる力役はやすし。ゆえに、医者、学者、政府の役人、または大なる商売をする町人、あまたの奉公人を召し使う大百姓などは、身分重くして貴き者と言うべし。
 身分重くして貴ければおのずからその家も富んで、下々の者より見れば及ぶべからずようなれども、その本を尋ぬればただその人に学問の力あるとなきとによりてその相違もできたるのみにて、天より定めたる約束にあらず。諺にいわく、「天は富貴を人に与えずして、これをその人の働きに与うるものなり」と。されば前にも言えるとおり、人は生まれながらにして貴賤・貧富の別なし。ただ学問を勧めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるなり』

 という有名な初篇の書き出しはよく知っている。しかし、五編;

『わが輩今日慶應義塾にありて明治七年一月一日に逢えり。この年号はわが国独立の年号なり。この塾はわが社中独立の塾なり。独立の塾に居て独立の新年に逢うを得るはまた悦ばしからずや。けだしこれを得て悦ぶべきものは、これを失えば悲しみとなるべし。ゆえに今日悦ぶの時において他日悲しむの時あるのを忘るべからず』

『ひとりわが慶應義塾の社中はわずかにこの災難を免れて、数年独立の名を失わず、独立の塾にいて独立の気を養い、その期するところは全国の独立を維持するの一事にあり』

 などというものを読んでいると、なんだこれは慶應義塾の宣伝なのかと思ってしまう。

 ただし、慶應義塾自体は福沢諭吉の理想とも言うべき、国からも独立した私塾を目指したわけであるから、如何にも福沢諭吉の個人の発想からした理想が、慶應義塾の宣伝になってしまうのもやむを得ないか。

『商売勤めざるべからず、法律議せざるべからず、工業起こさざるべからず、農業勧めざるべからず、著書・訳術・新聞の出版、およそ文明の事件はことごとく取りてわが私有となし、国民の先をなして政府と相助け、官の力と私の力と互いに平均して一国全体の力を増し、かの薄弱なる独立を移して動かすべからざるの基礎に置き、外国と鋒を争いて毫も譲ることなく、今より数十の新年を経て、顧みて今月今日の有様を回想し、今日の独立を悦ばずしてかえってこれを憫笑するの勢いに至るは、豈一大快事ならずや』

 という部分にも私有の学校としての姿勢が感じられる。

 まあ、そんな学校の宣伝パンフレットがベストセラーになってしまうんだから、明治初期の日本の教養主義というか、文化レベルの高さを感じさせる。

 明治の人たちは偉かったんだな。

 

« 『ウェブでの<伝わる>文章の書き方』はあくまでも初心者向けの文書読本 | トップページ | Weekly progress report from Fitbit, from Jan.14 to Jan.20. »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/56598576

この記事へのトラックバック一覧です: 『学問のすすめ』は慶應義塾の宣伝パンフなのであった:

« 『ウェブでの<伝わる>文章の書き方』はあくまでも初心者向けの文書読本 | トップページ | Weekly progress report from Fitbit, from Jan.14 to Jan.20. »

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?