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2012年12月18日 (火)

『ふがいない僕は空を見た』を見たふがいない僕たち

「性」の映画である。画面のそこかしこに「セックス」や「出産」にまつわるシーンが出てくる。しかし、それらのシーンがどちらかというと「性」よりは「生」のシーンに見えてしまうのだ。

『ふがいない僕は空を見た』(監督:タナダユキ/原作:窪美澄/脚本:向井康介/プロデューサー:佐藤現・木村俊樹/制作:ステアウェイ/製作:東映ビデオ・東映チャンネル・ステアウェイ)

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『「ふがいない=いくじがない。気概・気力に欠けている(「広辞苑」第六版)」僕』って誰なんだろう。

 助産院を営む母子家庭の一人息子で、アニメ同人誌販売イベントで出会ったコスプレ主婦とのセックスに溺れる斉藤卓巳(永山絢斗)くんのことだろうか、あるいは卓巳の友人でコンビニや郵便配達のアルバイトで認知症の祖母を支えながら極貧生活をしている福田良太(窪田正孝)くんのことなのだろうか、そんな良太に勉強して大学に行くことを進める強制わいせつで逮捕されてしまった元予備校教師の田岡良文(三浦貴大)のことなのか、または卓巳に妻を寝取られてしまったのにそんな妻と別れるのは嫌だと泣き喚くマザコン男の岡本慶一郎(山中崇)のことなのか、はたまた良太に「団地の住民はしょうがないな」と小言を垂れるコンビニの店長、有坂研二(山本浩司)のことなのだろうか。または、アニメ誌販売イベントで出会った高校生とコスプレセックスに溺れる不妊症の主婦、あんずこと岡本里美(田畑智子)なのだろうか、あるいはそんなコスプレセックスに溺れる卓巳くんを今でも嫌いになれない同級生、松永七奈(田中美晴)のことなのか、またはマザコン息子を抱えて不妊症の息子の妻にやたら不妊治療やら代理母をすすめる岡本マチコ(銀粉蝶)なのか、良太と同じコンビニでバイトをしている七奈の友人でありながら卓巳と里美のコスプレセックスの写真を学校中どころか町中に配っているあくつ純子(小篠恵奈)なのか、はたまた卓巳の担任教師で自分が妊娠していることを恋人に言えずに堕胎可能な時期を逃してしまい、それを卓巳の母親である助産師に一発で見抜かれてしまう野村先生(藤原よしこ)なのか、それとも一見しっかりしているようだが原作を読むと『中学・高校時代は、みっちゃんの言葉を借りると「殺人以外の、目につくわるいことはなんでもひととおりやった超不良」だったらしい』みっちゃんこと長田光代(梶原阿貴)なのか、でも一番ふがいないのは卓巳の母親であり別れた夫にいまだに頼まれると小遣いを渡してしまう斉藤寿美子(原田美枝子)なのかもしれない。

 とまあ、登場人物すべてが「ふがいない」存在なのかもしれない。いやいやそれ以上に、この映画をみている私たち自身が「ふがいない」のである。

 しかし、そんな「ふがいない」僕たち・私たちであっても、生まれた以上は生きていかなければならない。

 映画の中でお産を手伝った卓巳が、生まれてきた赤ん坊の一点を見つめながら言うセリフ。

『おまえ、やっかいなものをくっつけて生まれてきたね』

 そのもののように、私たちは「やっかいなもの」を持ち続ける「ふがいない」存在なのだ。

2012_12_14_033_2卓巳とあんずのコスプレセックスの衣装が映画館に飾ってあった

 原作版『ふがいない僕は空を見た』もどうぞ。収録作『ミクマリ』は2009年「女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞。『ふがいない僕は空を見た』は2010年『本の雑誌』ベストテン1位、2011年本屋大賞2位、第24回山本周五郎賞受賞作である。

『ふがいない僕は空を見た』(窪美澄著/新潮文庫/2012年10月1日刊)

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