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2012年12月 1日 (土)

『沖縄戦「集団自決」消せない傷痕』が見せる戦争の傷痕

 著者の山城博明氏は沖縄県宮古島の出身。沖縄大学在学中から沖縄復帰闘争、全軍労闘争、全島ゼネスト、コザ暴動などベトナム戦争や佐藤・ニクソン共同声明「沖縄の核抜き・本土並み、72年返還」を巡る多くの沖縄における闘争の写真を撮り、『現代の眼』などに発表してきて、卒業後、讀賣新聞西部本社に入社、その後、琉球新報に移ったフォトグラファーである。

『沖縄戦「集団自決」消せない傷痕』(写真:山城博明/解説:宮城晴美/高文研/2012年9月29日刊)

 そんな山崎氏の沖縄、慶良間諸島での集団自決の生き残りの人たちを撮影し、証言を集めた写真集である。

 沖縄での集団自決については、日本軍の関与について否定する人たちがいる。そんな命令を軍が出してはいない、○○隊長がそんな指令を出していない、云々。だから「玉砕」や「集団自決」はなく、皆自ら自死していったのだ、という極端なことを言う人までいる。

 しかし、そんな枝葉末節は問題ではないのだ。実際に軍が多くの現地人を徴用・徴兵して戦争を戦っていたのである。そんな雰囲気の中で、「生きて虜囚の辱めを受けず」というような戦陣訓や、「死してお国のために」などという本来は軍人だけの考え方が一般人にまで普及していた時代の出来事なのだ。

 本来、民間人は敵軍に捉えられてもそれは保護されるだけであり、軍人のように捕虜となることはないというのがジュネーブ条約で定められており、民間人を殺したり、捕虜にしたりしたらジュネーブ条約違反となり、戦後裁判で有罪・戦犯となってしまう。ところが、そんなことを知ってか知らずか、日本軍の将兵はそうしたことを一般人には教えず、また自ら行ってきた一般人に対する強姦や殺戮から、アメリカ軍が攻めてきたら一般日本人もそれと同じ扱いを受けるのだと人々を脅し、自ら死を選ばざるを得ないような気分に一般人を追い込み、結果として一般人まで玉砕に追い込んだというのが、その集団自決の実態ではなかったのか?

 勿論、ちょっと論点はずれるが、米軍による東京大空襲や広島・長崎への原爆投下も、日本軍による重慶絨毯爆撃と同様、ジュネーブ条約違反である。というか現代戦争ではごく一般的に民間人への攻撃が行われているが、これらもみなジュネーブ条約違反であるが、最早それを言い出す人はいなくなってしまっている。

 元に戻って、つまり、「命令を発したか・発しなかったか」ということはまさしく枝葉末節であり、そんな細かいことにこだわって、集団自決があったかなかったかと問うのはまったく馬鹿げている。ところがこうした馬鹿げた枝葉末節にこだわるんですね、保守派の人たちは。そんなことだから、2007年9月29日に宜野湾海浜公園で行われた、集団自決の教科書への記述に対する文部科学省の検定に抗議する超党派の県民集会が主催者発表で11万人集まったという事実に対して、いやいや2万人だったとか4万人だったとか言って、あたかもそんな集会がなかったかのような言い方をする。これだって、何人集まったかが問題ではなく、そうした集会が行われたという事実が重要なのである。

 沖縄の人たちからすれば、自らの歴史としてあまり触れたくない集団自決、つまり生き残っている人たちは死んだ人たちに対する「裏切り」という感覚を持っているために、その問題には触れて欲しくないことなのだろう。山城氏も最初は写真に撮ることの許可を得るためにえらく苦労したようだ。しかし、こうした歴史の証言者たちもすで80歳から90歳になっているわけで、今のうちに映像に捉えておかないと、いずれ歴史の中に埋もれてしまいかねない。そんな意味で、かなりショッキングな写真集ではあるが、誰かがやらなければいけない仕事なのだろう。

 最後に「解説」として書かれた宮城晴美さんの「1945年3月――永遠に消せない記憶」から引用する。

『逃げ場のない小さな離島という狭窄空間のなかで、敵への投降・“捕虜”を禁じる日本軍の徹底した死の論理が、住民を「玉砕」思想へと追い込んでいった。厳しい監視体制の下、敵に強姦・殺害される恐怖心、生き残ることの恐怖心に支配された住民のとった行動が、「集団自決」だったのである。
 敗戦後70年近い歳月が流れてもなお、生き残った人たちの心身の傷が癒えることはない。それでも、自らの身体の傷を“裸出”し、山城さんのカメラを通して戦争のむごさ、理不尽さを告発した島の人々の勇気に心から敬意を表したい。』

 ところで、昨日の『絵で解る琉球王国』とこの本は、豊見城市にある戸田書店豊見城店で購入した。この戸田書店豊見城店は「沖縄の本」コーナーがものすごく充実していて、棚段数もかなりの本数がある。他の沖縄の書店よりはずっと充実した状況を、静岡に本店がある戸田書店が実現しているというのも何か不思議である。頑張れ沖縄の書店。

 山城博明氏のサイトはコチラ→ http://www.tenpau.com/

 戸田書店のサイトはコチラ→ https://www.todabooks.co.jp/

 これにて「tsunokenのブログ 沖縄編」はひとまず終了。またいずれ沖縄については書くつもり。お楽しみに。

 最後に『小説 琉球処分』を今一度紹介しておく。まず、この本を読んでからかな。

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