フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« 沖縄4日目。漫湖公園にドッキリ……沖縄地形考 | トップページ | 『絵で解る琉球王国 歴史と人物』で琉球の歴史を学ぼう »

2012年11月29日 (木)

今度は書評というか『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること』についてです

 11月25日のブログ『沖縄2日目。米軍基地「観光」である』で書いたとおり、今回の沖縄行で一番頼りになったのがこの本である。何しろ『沖縄・米軍基地観光ガイド』であるのだ。

『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること 沖縄・米軍基地観光ガイド』(須田慎太郎:写真・前泊博盛:監修・乙部克行:編集・矢部宏治:文・発行/書籍情報社/2011年6月15日刊)

 なぜ『観光ガイド』なのか。それは本書にもあるとおり;

『米軍基地を撮影する場合は、基地の敷地内に入ったらもちろんアウトですが、外から撮影しているからといって安心はできません。もし違法行為(私有地への無断侵入など)や、「不当な方法」または「通常ではない方法」による撮影があれば、そこが日本側の土地であっても、「日米安保条約」にもとづく「日米地位協定」に対応した「日本の刑事特別法」によって、10年以下の懲役になるおそれがあるからです。また純粋な観光客ではなく、政治的な背景があるのではないかと疑われると、法律にふれていなくても警官がやってくることもあります。
 だからこの本に収められた写真はすべて、公道、公園、海岸など、「完全に正当な場所」から、とくに見開きの写真は「かなり離れた場所」から撮っています。でもどこに行っても不思議にあるんですね、そうした撮影ポイントが。
   <中略>
 また米軍の問題に関しては、さまざまな形で「超法規措置」がとられていることも、最近少しずつあきらかになっています。ですからみなさんは、なるべく「観光」または「見学」するだけにとどめて、もし撮影する場合は、すこしでも注意されたらすぐに中止するようにしてください』

 ということ。なのであくまでも米軍基地は「取材」じゃなくて「観光」として見てください。ただし、そんな「観光」をする場所が、米軍基地にはいっぱいあります。また、途中で道をたずねると、皆親切にそうした場所を教えてくれるというのだ。

 何故だ?

 そこで、この本の著者はこう考える。

『最初はどうしてこんな簡単に絶好の撮影ポイントにたどりつけるのか不思議でしたが、そのうちに気づきました。これは基地の近くに住む人たちの暗黙の共同作業であり、ひとつの戦いの形なのだと。長年、米軍基地という大きな危険と隣り合わせて生きるなか、彼らは基地を見わたせるポイントを見つけては、またつくっては、みんなで監視してきたのでしょう。もちろん家族や地域を守るためにです。キャンプ・フォスターを見おろす若松公園、ホワイト・ビーチを見下ろす平敷屋公園、キャンプ・マクトリアスを見おろす安慶名城跡などをまわるうちに、その仮説は確信に変わっていきました』

 と。つまり、こうした米軍基地観光ポイントは同時に米軍基地監視ポイントであり、基地に反対する「団結小屋」なんかを作るのもいいが、それでは長期に、何年にもわたって闘い続けるには疲れてしまう。そこで、皆が誰でも基地を「観光」し、同時に「監視」出来る場所を「探し」あるいは「作って」継続して闘うことを可能にしようというのだ。

ということで、本書に収められているのは沖縄本島および周辺にある米軍基地・演習場など全28ヶ所を完全に撮影して、なおかつそれらの写真の撮影ポイントをすべて網羅しているのである。誰でも米軍基地を見たければここに行けば見られるよ、ここに行けば本書と同じ写真が撮れるよという具合に。で、実際に同じポイントから写真を撮影してきたのが11月25日のブログであったわけです。

 実はこういう本を待っていたのである。探していたのである。

 沖縄の観光ガイド本はいくらでもある。沖縄の様々な問題を取り上げた本もいくらでもある。しかし、こうした「米軍基地ガイド(Traveller's Guide to American Bases in Okinawa)」は今までに出版された記憶はない。観光ガイドではまったく米軍基地の問題は取り上げられず、ただただ沖縄の美しい海や、自然、沖縄特有の食事などの「風物」は書かれているが、それだけである。日本全体の0.3%の面積の沖縄本島に、在日米軍施設の70.6%が存在している(沖縄県全体では0.6%の面積に73.9%の米軍施設)という事実なんかまったくないかのような、単なる日本の南の自然豊かな島、という風説のみが語られている。また様々な沖縄の問題を取り上げた本にしても、それを読んだ本土の読者がいざ沖縄に行って、それらの問題点の場所を見てみようという点にこたえた本はまったくなかった。

 そうしたふたつの問題点に完全にこたえてくれる本が本書である。

 まさしく、「観光ガイド」として沖縄の米軍基地を捉えて、なおかつ写真の撮り方まで教えてくれているのである。それも沖縄本島の米軍施設はすべて網羅されている。こんなに懇切丁寧なガイドブックはない。さらに、ついでに言ってしまえば、そうした米軍基地の存在の問題、その元になっている「日米安全保障条約」の問題、さらにそれを運用する「日米地位協定」のも問題なども、懇切丁寧に解説してくれる。勿論、写真も豊富に収録されていて、「沖縄米軍基地写真集」としても充実していて、いわゆる「基地萌え」「戦闘機萌え」などの基地マニアの要望にも応えている。別に、米軍基地に反対する人たちばかりが読者である必要はない。当然、基地賛成の人だって読んでも面白いのだ。

 問題は、日米安保条約に賛成するのか、反対するのかではない。仮に日米安保条約に賛成してもいいが、であっても問題は「日本全土の0.3%の場所に70.6%の米軍基地がある」という「いびつさ」だけは認めてはならない、ということなのだ。

 反対する人は単純だ、三沢も横田も横須賀も厚木も岩国も佐世保も沖縄の米軍基地も出て行けということだろう。まあ、すぐには無理だろうけれども。更に米軍基地を全ての日本から追い出した後の、日本及びアジアの平和をどうやって守ってくのかという問題もある。いまや、日本の平和だけを守っていけばいいという立場ではないのだ、この日本は。勿論、アメリカだってアメリカの平和を守るために在外基地を置いているわけで、別に日本の「尖閣列島」を守るために沖縄の米軍基地があるわけではないということは当然である。

 しかし、米軍基地を容認する人たちは、であるならばその基地負担は本土の都道府県で応分に負うべきだろうという考え方をしなければいけないはずだ。沖縄だけに一方的に異様なまでの負担を強いている現状を変えなければいけないのだ。沖縄の米軍基地はよその話ではないのだ。日本人全体に突きつけられた問題なのである。知らん顔はしてはならない。

 と、まあそれが沖縄の基地問題なのですね。沖縄の本土復帰がされてからは、沖縄だけに基地負担を負わせることは出来ないはずだ。条約が日米でされた条約である以上は、日本の国中でそれらの負担を応分に受け容れるべきだという正論を全ての日本国民は受け容れなければならない。

 その意味では、鳩山由紀夫総理が普天間の移転を「国外、最低でも県外」といった時に、「関空を使っても良い」といった当時の大阪県知事・橋下徹はまだスジが通った発言をしていたわけだ。もっとも、それは地元の猛反対に会ってすぐに下げてしまったがね。でも、そういう問題ではないだろう。

 まあ、そういう問題。でも、これはすごく大きい問題だ。

 そのためには、沖縄の人たちはもっと大きな声で主張していい問題だし、本土の人間も、もっと基地受け入れに前向きにならなければいけない問題だ。

 と、そういうこと。問題はすごく単純。でも、解決はすごく大変な問題だ。所詮、皆「総論賛成各論反対」の日本人だからね。

 で、沖縄ネタはまだ続く。明日からは那覇で買った「沖縄の本」について書きます。

 どうかな?

 

« 沖縄4日目。漫湖公園にドッキリ……沖縄地形考 | トップページ | 『絵で解る琉球王国 歴史と人物』で琉球の歴史を学ぼう »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/56202957

この記事へのトラックバック一覧です: 今度は書評というか『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること』についてです:

« 沖縄4日目。漫湖公園にドッキリ……沖縄地形考 | トップページ | 『絵で解る琉球王国 歴史と人物』で琉球の歴史を学ぼう »

2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?