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« 今週のfitbit weekly progress report 2 | トップページ | Inter BEE 2012 の会場から »

2012年11月14日 (水)

『アメリカを占拠せよ!』という言い方は、さすがに共産主義者ならではあるが、残念ながらそうはならないのだ

 結局、アメリカの民主主義を象徴する「草の根民主主義」の運動は左右に分れ、左右から議会政治を批判したのだが、しかし右からの動きは共和党に利用されてしまったということなのだけれども、それは何故なんだろう。

『アメリカを占拠せよ!』(ノーム・チョムスキー著/松本剛史訳/ちくま新書/2012年10月10日刊)

 ノーム・チョムスキーMIT名誉教授は言う。

『共和党は何年も前に、政党だというふりをするのもやめてしまいました。あれだけ一貫した献身的な姿勢で、権力と利益をごくわずかな層の集中させることに専念してきた以上、もはや政党とはいいがたい。彼らにはひとつの教理問答(カテキズム)があって、まるで昔の共産党の出来損ないのようにそれをくりかえしています。
 とはいえ、選挙区の票を確保するためには、何かをしなくてはならない。もちろん例の「一パーセント」の票だけでは足りません。そこで、つねに一定数いるけれども、政治的にはあまり組織化されていない層を動員してきました――福音派の人々のほか、自分たちの権利やこの国が奪われることを恐れる移民排斥主義者などを。
 民主党は少しばかりちがっていて、支持者の層も異なりますが、それでも共和党とほぼ同じ道をたどろうとしています。現在の民主党を実質的に動かしている穏健派の議員たちは、一世代前の穏健派の共和党員とほとんど変わりません。それがいま、民主党の主流を成している状態なのです。彼らは自分たちの利益に適う選挙民を組織化し、動員しようと――こちらの言い方のほうがよければ、「取り込もう」としています。白人の労働者階級については、ほぼ見放してしまった。これはかなりの驚きでした。
 したがって、じつに悲しい事態ではありますが、現時点での民主党支持者に白人労働者はほとんど含まれません。民主党が動員しようとするのは、ヒスパニック、黒人、進歩党です。オキュパイ運動にも触手を伸ばそうとするでしょう。
 そしき労働者はいまだに民主党の票田で、これもやはり取り込もうとする。オキュパイ運動への対し方は、他の有権者の場合とまったく変わらない。政治家がぽんぽんと頭を叩いて、「私は君たちの味方だ、投票してくれたまえ」と言ってくるでしょう』

 結局、2008年のリーマン・ショックを期に、二つの草の根民主主義運動「ティーパーティー」と「オキュパイ」が生まれたわけだけれども、片方はオバマ政権の標榜する政策に対して「それは大きな政府」への道であり、大きな政府は社会主義への道であるということで反発し、もう一方は2008年の大統領選でバラク・オバマを支持したが、結局「オバマに騙された」と感じている層が中心になっているという特徴がある。

 しかし、両者はそれほど違っているわけではなく、同じ99パーセントの層なのである。つまり、2007年において、最も裕福な1パーセントがアメリカ合衆国の全ての資産の34.6パーセントを所有しており、次の19パーセントの人口が50.5パーセントを所有、残りの80パーセントが14.9パーセントしか所有していないという。その80パーセントの層がティーパーティーとオキュパイに分れて戦っているわけである。双方とも「We are the 99%」なのである。

 1992年から2007年にかけて、アメリカにおける高額所得者上位400名の収入はおよそ400倍上昇していながら、平均税率は37パーセント低下している、という所得税が累進税率でないが故の問題に対して、オバマが高額所得者への累進課税を提案すると、それは社会主義的な政策だと反対する。医療保険制度を導入しようとすると、それは共産主義だと反対する。という基本的に「政治オンチ」の人たちがなんか「草の根民主主義」なんだとばかりにティーパーティーなんかに参加するわけだ。そりゃ、共和党の「政治屋」には取り込まれるわけだよな。

 で、一方のオキュパイの方も一時的には盛り上がった運動ではあるけれども、それは長続きはせずに、いつのまにか沈静化してしまっている。勿論、表向きは沈静化しているけれども、そのひとつひとつの運動は参加者の中に確実に残って、引き続きなんらかの形で運動を続けている人たちがいるだろう。しかし、オキュパイにしても自然発生的におこった運動であるから、参加者は基本的に「政治オンチ」であることは、ティーパーティーと同じである。ティーパーティーと違うのは、ティーパーティーは明確な指導者がいたのに比較して、オキュパイには指導者がいないということなのだ。

 チョムスキー名誉教授だって指導者ではなく、単なる寄り添いインテリゲンチャでしかない。70年安保の時の羽仁五郎とか吉本隆明みたいにね。

 問題は、そんな「草の根民主主義」と「議会」を繋げる「環」なのであるけれども、個々の政治家がそんな「環」を持っているだろうけれども、政党として持っているところはない。したがって、共和党はティーパーティーを見限ってしまったし、民主党もオキュパイからは距離を保ったままである。

 今後、このオキュパイがアメリカの国政にどんな影響を残していくのかはいまだに見えない。2008年のサラ・ペイリンが共和党の大統領候補になったころはかなり目立っていたティーパーティーも、今年のロムニーに対してはあまり積極的に支援をしていないようだ。一説によると中道派のロムニーは保守系過激派のティーパーティーでは支援できないというのが理由だという説もある。

 アメリカの選挙制度がそうした草の根民主主義派「ティーパーティー」「オキュパイ」などの院外派を直接選ばないような制度になっているというのも事実ではあるわけだけれども、だったら議会に自分たちの代表を民主・共和両党に送り込むという方法もあるわけだ。しかし、共和党のティーパーティー寄りの議員だけしか、今のところいない。しかし、それもティーパーティー出身ではなく、ティーパーティーの言うことを上手く取り込んだ議員だけである。

 結局、ブッシュ政権の金持ち優遇策と戦費の拡大による財政赤字がすべてのアメリカ経済の不振の理由なのだけれども、だとしたらすべての議員がオバマの政策に賛成してもいいとは思うのだが、なぜか共和党は「オバマの政治」だというだけで反対に回ってしまう。日本のような「党議拘束」がないアメリカの政党政治には少しは期待していたのだけれども、最近の共和党はちょっとおかしい。共和党支持者だって、99パーセントや80パーセントの、所謂「負け組み」がいるでしょう。なんで、そういう人のことを考えないの? ということである。

 ということで、残念ながらチョムスキー氏が期待するようにはアメリカ社会は変わらないだろう。相変わらず、全世界に迷惑と困惑を与えながら生き続けるのがアメリカ経済である。

 若い国でありなら、世界に覇権をもっている国。世界の覇権を失った時に、どうすればいいのか分っていない国。世界の国々(いまのところヨーロッパやアジア)と同列になった時に、どうすればいいのか分っていない国があるのだ。

 あと10~20年後の世界がどうなっているのか、それは分らないが、とにかくアメリカを中軸とした世界秩序がなくなっていることだけは、間違いない。

 その時に、アメリカがどういう立場で世界に迫ってくるのだろうか。

 

 

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