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2012年10月 2日 (火)

『辺境ラジオ』と「うめきた大仏」

 個人ネタが三日も続いたので、そろそろ普通のネタに戻す。

 そういえば、内田樹氏のブログ『内田樹の研究室』(http://blog.tatsuru.com/)で「うめきた大仏」のことを読んだのはいつごろか調べてみたら、2011年4月9日のことであった。なんか、もっと最近だったような気がしたんだがなあ。

『辺境ラジオ』(内田樹・名越康文・西靖著/株式会社140B/2012年9月25日刊)

 実は『辺境ラジオ』というのは、内田樹氏、名越康文氏、西靖アナウンサーの3人でやっている、大阪の毎日放送(MBS)ラジオの深夜不定期放送番組のタイトルなのであった。そんなことも知らずに、この本でもって初めてその番組の存在を知り、MBSラジオのサイトから当番組の2011年3月6日放送分をポッドキャストで聴いてみた。

「うめきた」というのは、JR大阪駅の北、梅田貨物駅(通称:梅田北ヤード)が都市再生緊急整備地域に指定され、注目されるようになった場所だそうだ。当然そこにはグランフロント大阪やナレッジ・キャピタルなどの再開発ビルなども決定しているのだが、そこに2018年あるいは2022年にFIFAワールドカップ招致を狙って日本サッカー協会が2009年12月に梅田北ヤードスタジアム構想を立てたことに対して、漫画家の海野つなみさんという人が「わたしやったら大仏建てるね!」と考えて漫画にもしたのだけれども、あまり賛同の声もなく立ち消えになってしまうかと思われたところ、『辺境ラジオ』のメール募集の話を聞き、それじゃあということでメール応募したところ、内田氏の興味にその「うめきた大仏」構想がズッポリ嵌まったというわけなのだ。

 番組でその話を聞いた内田氏はさっそく当時の平松大阪市長に提案したそうだが、結局政教分離という建前から断られたそうである。

『もともと大阪は霊的には強力な都市でしょ。真ん中には上町台地が南北に走ってるけど、近世までは台地の北の端に石山本願寺、南の端には四天王寺という巨大な霊的センターがあった。信長が石山本願寺をつぶして、秀吉がその跡地に建てたのが大阪城。<中略>信長が北の霊的な抑えを壊してしまったせいで、大阪の霊的布置が狂ってしまったんだと思う。』
『日本の霊的再生のためには政教分離なんかナンセンスだと思うんだよね。特に大阪はもともと霊的な都市なんだから。上町台地の南北に、四天王寺と石山本願寺という浄土信仰の二大拠点があって、そこを中心に街が造られた。御堂筋には北御堂・南御堂があり、そのラインに沿って越前や近江の真宗信徒が集まって街を形成していた。そういう極めて宗教的な起源を持つ都市なわけで、その点では東京とまったく成り立ちが違う。
 僕は大阪が活力を失っているのは金の問題じゃないと思う。本来は霊的な起源を持った、宗教的な感受性にあふれた街が、それを失っていることによって都市としての本質的な生命力をうしなっているんです』

 というのが、内田氏の「うめきた大仏」に関する宗教社会学的な論点である。

 近世までは、町を造営するに際して神社仏閣を町の中心におき、それを中心に町が発展してきたというのはその通りである。現在でも、家の新築の際には必ず「地鎮祭」を行い、その土地の神様に土地を利用し、土地に鍬などの器材で変形を加えることの許しを得るのである。内田氏は『東京とはまったく成り立ちが違う』というけれども、実はその東京だって江戸の時代には実に多くの霊的センターがあって、徳川家康が幕府を開き江戸の町を作った時に、日光東照宮を江戸城の真北に作り、鬼門にあたる東北には東叡山寛永寺を作ったというのは有名な話だ。また、明治新政府も東京招魂社、つまり現在の靖国神社を作ったわけだが、この靖国神社の鳥居が神田明神の真正面を向いていること、東から「浅草寺」「靖国神社」「明治神宮」という並びが一直線になっていることなど、やはり霊的センターを無視した作りにはなっていないのだ。

 問題は、やはり戦後の経済主導主義になって、精神的な観点が失われたことなのかもしれない。特に、株価至上主義・グローバル経済主義になってからは、そんな余計なことを考えずに、とにかく当期利益だけを考えて会社を経営するようになったことが、こうした霊的経験をさけるような動きになって来ているのかも知れない。

 内田氏の言っていることは反モダニズムである。宗教的なものを排除しようとするモダニズムに対置して、昔からあった宗教的な考え方を復活させようというのは、実は以前の内田氏からは考えられなかったことなのだが、やはり神戸女学院大学というミッションスクールで教鞭をとるようになってから、すこし考え方がユルくなってきたのだろうか。

 まあ、現在の大阪の元気のなさの原因がそうした霊的センターになるのならば、それは答えが見つかったというようなものだ。どんどん宗教施設を大阪に作ってしまえばいいじゃないか。それはそれで建設需要が増えるかもしれないし、じゃあその原資をどうするのかといえば、内田氏のような大量にいる経済的に豊かな団塊の世代からムシりとればいいのである。

 うん、いまひとつ正体がはっきりしない橋下氏に頼るよりは、コチラの方が具体的でよろしい。

 ところで、『辺境ラジオ』というのは別に「うめきた大仏」だけの番組ではない。『この番組は、アメリカや中国ではなく日本、東京ではなく大阪、テレビではなくラジオ、すなわち、中心ではなく端っこだからこそ見えるニュースの本質を語り合うラジオ報道番組』なので、その時々のビビッドな(?)テーマについて話をしており、本書もそんなテーマについて当然語っているわけだ。

 特に多いのが東京への「一極集中」と、それに比較して相対的な「大阪の地盤沈下」というテーマに関する話題なわけだけれども、しかし全体的なトーンとしては「それでもいいじゃない」ということなのだ。

『都市文化はもっともっと個性的に散らばっていた方がいいと思うんですよね。東京には東京の固有の文化がある。大都市、国際都市ならではの無国籍的な感じがある。無国籍的でハイーパーアクティブであれば、東京はそれでいい。「アクティビティ=価値」だとみんなが信じている都市があるのはぜんぜん構わない。だけど、他の都市もそれを真似することはないでしょう。別にいいんじゃないですか。アクティブじゃなくても。「しっとりしている街」とか「深みのある街」とか「手触りが良い街」とか「優しい街」とか、いろいろな街があっていいと思う。
 ハイパーアクティブであることは東京に任せて、大阪は「優しい街」と言うか、「深みのある街」になった方がいいとおもいますけどね』

 という内田氏の発言にはまったく賛成である。

 と正論を言っといて……。

 ブログの読者の皆さん。私はヘソ曲がりなもんで、その中のごく一部分だけを針小棒大に語っていますが、それには騙されないように。

 実際の本には私が語っていること以上に、いろいろなことが書いてあるのだ。

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コメント

若い人たちが都心に暮らせるようなマンション建設はいいですね。
しかし、「エロ坊主」とは言え、「坊主」がそんなこと言ってイインスカ?

スキンヘッドじゃなくて 丸坊主!! 気持ちいいですよ!! ぼくは エロ坊主と いわれていますが^^
内田樹・名越康文・西靖 西アナウンサーは知ってる なこし?なこえ?さんは 知らない
内田さんは やや 嫌い^^
ぼくはその土地に 新婚さんばかり ただし 結婚してから10年間の 方たちばかりが 入れる マンション群を 建設するべきだと 思った
だいたい 若い人が 都心??に 住めないのが おかしい!!

宗教施設は  不要
坊主や 宗教法人の連中 ろくなのがいない!!

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