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2012年10月18日 (木)

『新幹線 お掃除の天使たち』は特別なことではないのだがなあ

 この本で触れられている「鉄道整備株式会社」いわゆるテッセイは、10月1日に社名を「株式会社JR東日本テクノハートTESSEI」と変更している。

「テクノハート」が何を意味するものかは分らないが、これからそれが明らかになるのだろう。

『新幹線 お掃除の天使たち 「世界一の現場力」はどう生まれたか?』(遠藤功著/あさ出版/2012年8月28日刊)

 東京駅で折り返すJR東日本の東北・上越・北陸新幹線の停車時間は12分。降車に2分、乗車に3分かかるので、その間、清掃に割ける時間は7分しかない。しかし、その7分間で『車両清掃、トイレ掃除、ゴミ出し、座席カバーの交換、忘れ物のチェックなどを完璧に終える』。さらに、列車の入線・降車時、清掃を終えホームで待つ乗客が乗車時に整列し一礼する姿を目にした人は多いはずだ。

 こうした働く姿の美しさとお客さんを大切にする「礼の文化」に海外から目をつけられ、マスコミの取材も多く、アメリカのスタンフォード大学やフランスのエセック大学なんかからも研修希望者が来て、カリフォルニア州知事時代のアーノルド・シュワルツネッガーが「新幹線の売り込みもいいが、このシステムを輸入したい」と言ったなどの逸話が残されている。

 テッセイ自体は、JR東日本の数あるグループ会社のひとつで車両内や駅構内の清掃を行う会社に過ぎないし、パート社員が多くて社員の平均年齢も52歳という、本来は地味な会社である。しかし、それが「新幹線劇場」と呼ばれるに至るには、どんな道筋があったのか、というのが本書の内容である。

 それは言ってみれば「QCサークル運動」の集大成であるといえる。

 QCというのは、本来メーカーなんかで進められた運動で、『同じ職場で品質管理活動を自発的に小グループで行う活動のことである。全社的品質管理活動の一環として自己啓発、相互啓発を行い、QC手法を活用して職場の管理、改善を継続的に全員参加で行うものである』(Wikipediaより)ということだ。

 トヨタの「カイゼン」運動なんかが有名で、主に自動車や電機メーカーの工場部分で行われて、「安全な自動車作り、安全な家電製品作り」なんかを目標にして行われている、いわば日本お得意の「現場力」作りに寄与する職場運動である。

 上の人間の作ったマニュアルに従って作業を行うのではなく、自分たちで職場のあり方や作業のあり方を考えて働きましょうという、いわば(日本人なら)当然のことをまんまやったということなのであるが、それが他国の「マニュアル通りに仕事をしないとダメ」という発想から見ると実に新鮮に見えて、その「システムを導入したい」なんていう勘違いの反応さえ出るのである。それは「システム」の問題ではなく「考え方」の問題なのだからね。

 ところが、今や日本でもアメリカ式の「マニュアル通りの仕事の仕方」が普通になってしまっている。まあ、アメリカ発のチェーン店方式のコーヒーショップやファミリーレストランなんかがそのはしりなのだけれども、これも一種のグローバル化なのかもしれないが、決まりきった挨拶やサービスのやり方が普通になってしまって、やっている本人たちはマネージャーがそうしろというから仕方ないのかも知れないが、結局は自分たちが何も考えない気持ちよさの中に埋没してしまっているようだ。

 QCの基本理念は3つあるそうだ。

①企業の体質改善・発展に寄与すること。
②人間性を尊重し、生きがいのある明るい職場を作ること。
③人間の能力を発揮し、無限の能力を引き出すこと。

 ということである。

 それを職場の現場にいる人間が自ら考え出し、改善に向かって歩き出すというのがQCの基本であるわけなのだが、それらは考えてみれば皆が普通にやっていることなのである。

 テッセイの人たちが、皆、生き生きとして仕事ができているのならば、それは結構なことであるが、別に特別なことをしているわけでもないことが、このように本で取り上げられること自体が、実は日本及び日本人が劣化している証拠なのかも知れない。

 その意味では、確かに良い本なのであるが……。

 

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