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2012年10月19日 (金)

『2014年、中国は崩壊する』はちょっと一方的なシミュレーション?

 国会新聞記者による中国の現状分析と、近未来のシミュレーションなわけだけれども……。

『2014年、中国は崩壊する』(宇田川敬介著/扶桑社新書/2012年6月1日刊)

 11月8日から開かれる中国共産党第18回全国代表大会で、胡錦濤氏の後を引き継ぐ習近平氏の体制が2013年から開かれるわけなのであるが、その習近平体制での経済・政治シミュレーションとして宇田川氏は以下のような予想を展開する。

『政権交代の年、そして政権交代後1年間は何事もない。しかhし、その期間が過ぎ、政治不信がより一層募れば、下層民衆の突き上げは容赦ないだろう。その分岐点は習近平体制が発足してから1年経過後。2014年だ』

『習近平が国家主席になって1年、2014年の初夏。これまで30年続いた計画経済による8%を超える経済成長が滞り、マイナスに転じる』

『上海や香港などの経済大都市に関しては、下落傾向が鈍いものの、中国西部地区の不動産は日本のバブル崩壊と同様に「二束三文」となり、値がつかない状態になるだろう』

『中国株は、不動産の下落に連れ添うように売られ、投機目的としてもその価値を失う。一部の勝ち組企業が残るものの、それ以外の企業価値は大部分が損なわれるだろう。
 株価の暴落によって都市生活者のドロップアウトが進む。先に挙げたバブル不動産のスラム街化は、中国企業の株価を引き下げ、治安の悪化から外国企業の撤退を招き、中国国内おける「負のスパイラス」を完成させる』

『バブル崩壊でデフレが進行するなか、変動相場制に移行しても通貨安にはならず、通貨高にしかならないのだ』

『このような状態で中国のGDPは極端に下がる』

『習近平政権はバブル崩壊対策として、一つには国家の資産のあり方や通貨発行の方法を変更すること、そして、もう一つは地下経済の流通システムを崩壊させ、上部の一般経済に組み入れようとするだろう』

『この二つの政策が行き詰ると、国務院は、なりふり構わずに景気浮揚を図る政策に舵を切る。それが保有する外国債の売却と保護関税の創設だ。はっきり言えば、改革開放経済前の中国に戻ってしまうことだ。習近平版、または21世紀版の「文化大革命」が発動されるのだ』

『中国の主だった者の多くは日本やカナダといった外国に逃れるが、下層民衆のすべてが中国から脱出できるわけではない。大多数は弾圧された生活を余儀なくされる。当初は公安武装警察、次に人民解放軍がこれらの弾圧にあたるだろう。そうした過程において、天安門事件のような国務院に対するデモが各地で起きる。人民解放軍に影響力のある習近平は、人民解放軍を容赦なく中国の下層民衆に対して差し向けることになる』

『武力弾圧が怖くて行動に出なかった多くの下層民衆が、いずれは反乱した人民解放軍の武器を携えて国務院に向かうだろう。その結果、中国国内は内戦状態になる』

『アメリカやロシアなどの軍事大国は、中国の内戦に介入するが、その介入によって軍事衝突は激しさを増し、中国は完全に崩壊するだろう』

『これまで自治区であったチベットや新疆ウィグルなどの独立や、それ以外の地域、地区についてもロシア・アメリカ・イギリス・インドなどによる分割統治が発生する。香港のような租借地が発生したり、あるいは満州国のような民族単位の国家ができる可能性もある。また、内戦によって全土が荒廃し、周辺国や信託統治国における「復興特需」が発生するだろう』

 という一直線ストーリーである。

 しかし、そんな一直線のストーリー通りに話は進むのであろうか。歴史というものは様々な可能性の集大成であるのだから、そのような一種類のシミュレーションをしていると必ず間違えることになる。勿論、宇田川氏はその為の安全弁も作っており、「あとがき」に申し訳程度に上記以外の可能性も触れている。

『一つは、中国の指導部が筆者の想像以上に素晴らしい政治を行った場合だ。現在、習近平体制とは言ったものの、現時点ではどのような政治を行うのか未知数のまま筆を進めてきた。習近平が筆者の想像を上回るような画期的な政策を矢継ぎ早に行えば、「歪み」はソフトランディングし、中国がより一層発展していく可能性もなくはない。
 他方の可能性は戦争である。中国が現在のまま国家社会主義を推進しながら市場経済を発展、継続させるには「拡大主義」以外にはありえない。国境を巡る紛争はもちろん、アメリカ、ロシア、インドなどと戦争がはじまってしまえば、中国は外部の敵に対峙するという意味で、内部からの崩壊を免れることができる。これはソフトランディングではないが、中国の崩壊を避ける一つの手段であることに違いはない』

 ということである。

 しかしながら、第一のストーリーについて殆ど1冊を通して展開しているのに比べて、それ以外のストーリーは「あとがき」のこれだけのスペースでしかない。

 新書という本のスタイルからして、これはやむを得ないと考えるのか、あるいは第一のストーリーだけを考えていれば良いという風に宇田川氏が考えているのかは分らない。とは言うものの、やはり宇田川氏としてはこの第一のストーリーが一番大切なのだろう。170ページの殆どを費やしているのは、この「中国崩壊ストーリー」なのだから。

 しかし、私は多分宇田川氏の予想は外れると考えている。

 習近平氏がどのような政策を採るのかは今のところわからない。最近のIMF総会に欠席した中国の様子を見ると、なりふり構わぬ保護貿易政策に移る可能性もないではない。しかし、内戦状態になって諸外国の介入を招くような状態になるデメリットは、中国がこれまでの歴史で学んできたことだし、対外戦争を仕掛けられる国の状態ではないことは、為政者なら知っているはずであるし、そのデメリットも熟知しているはずである。

 だとしたら、習近平氏は必死になって国がそのような状態に陥ることを避けるはずである。軍事的なプレゼンスを示すことと、実際に軍事力を行使することはまったく別なのである。

 いずれにせよ、習近平体制がどのような政策を採ってくるかは剋目して待つ必要はあるけれども、徒に怖がる必要はないだろう。

 勿論、どのような状態になっても慌てることはないように、国も企業も準備しておく必要は認めるけれどもね。

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