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2012年9月24日 (月)

電子出版について再び

 9月20日付の『新文化』が再び電子書籍を取り上げて『紙と電子のニーズ明確に 紙の市場との共生を』というタイトルで、「コンテンツ(人、書籍・雑誌、音楽、映像、ゲーム、スポーツ、文化・芸術、デジタル、イベント・スペース)、グッズ・サービスの制作・企画、コンサルティング、販売代行」を行っているアイズ㈱の石黒隆士代表取締役の記事が掲載されている。

2012_09_23_006_2http://www.shinbunka.co.jp/

 まずは8月にアイズ㈱が行った「紙の書籍と電子書籍の意識調査アンケート」の結果から見えてきた現状は、電子書籍の専用デバイスを持っている人はまだ7.3%であり、今後購入予定の人は11.5%にすぎないということだ。88.5%の人はあまり関心がないということである。

 サンプル数が300人という少なさは気になるとはいえ、出版業界人や一部のアーリーアダプターにしか、まだ電子書籍デバイスは浸透していないということだ。それも当然である。まだまだ電子書籍タイトルはごく僅かでしかないし、青空文庫なんかの古い作品ばかりでは読者は増えない。結局、出版社が新規タイトルをどんどん積極的に電子化しなければ、電子書籍の普及はまだ難しいというところだろう。しかし、9月4日のエントリー『本なんて、国の思惑でデジタル化することに何の意味もない』で書いたとおり、基本的に出版社にとってデジタル化というのは、経費ばっかりかかって全く売上には寄与しないのだから、それができるのは大出版社だけであり、中小出版社はデジタル化をあせる必要はない。ただし、その場合、出版契約書にはデジタル化権には触れるべきではないし、デジタル化権は著者の側に残しておくべきなのである。

 更にアンケート結果を見ると、「電子書籍に期待したいサービス」という点では、「価格の安さ」が40.7%、「読みやすさ、便利さ」が29%、「映像、音声等との複合サービス」が17.7%、「絶版、新人作家などいままでなかった本の入手」が32.3%という結果で、結局、「絶版、新人作家などいままでなかった本の入手」を期待する人以外は、あまり電子書籍の性格がわかっていないということだろう。まあ、電子書籍デバイスを持っている人が11.5%というアンケートなのだから、それは仕方がないとは言うものの、あまりにもデジタルの基本が分かっていない人が多いものだなあという気がするのだ。

「価格の安さ」という点を上げる人はアメリカのアマゾンの低価格政策を見て期待しているのかも知れないが、それは電子書籍が数多く売れるという前提があって初めて言えることだ。日本の電子書籍の現状、数部から数十部しか売れないのが普通であり数百部も売れたら大ヒットという世界では、当然、紙の書籍から電子化するためのオーサリング費用なんてものが別にかかる以上は、実は紙の書籍と同じ価格でも大赤字なのである。『ステーブ・ジョブズ』が電子で1万部売れたなんてのは別格中の別格の話なのである。

 ではアメリカでは何であんなに電子書籍が安く手に入り、そして売れているのだろうか。実際のところは私には分らないが、多分、こういうことではないかと考えている。

 つまり、まず大前提としてアメリカの書籍は高いということがある。ペーパーバックはそうでもないが、それ以外のハードカバーは数十ドルが基本である。更に、アメリカの読者は基本的に車で移動するので「電車で本を読む」という習慣はなく、音声ブックなんかで本を読む(?)ことに慣れているので、基本的に本を紙で読まなければならないという前提がないのだ。

 これが、アメリカと日本の彼我の差であり、そんな異なった市場環境にある国を比較しても始まらないということであろう。

 日本で電子書籍が普及するのは、多分これから電子教科書が出てきて、それで電子書籍に慣れた子どもたちが自分で本を買って読むような時代になると、「本は電子で読む」というのが当たり前になるだろう。ということは、まだ10年位は先の話しだし、10年後も生き残っていることが分っている出版社は今からでも電子書籍への対応は考えておくべきだが、そんな10年先にはどうなっているか分らんもんねっていう出版社は、別に今から電子出版に取り組む必要はないということになる。

 つまり、日本の出版界はデジタル化によって嫌でも淘汰・連合の時代を迎えるだろうというとだ。大きな出版社はまずます大きくなるだろうし、中小出版社は無くなるか、大手に合併されて生き残るか潰れるか、ということである。まあ、それは出版界が「業界」として大きくなれるかどうかが関わってくる問題だ。

 今のような中小出版社の集まりである出版業界では今後の外国との競争力はつかない。だとしたら、対外競争力をつけるための合従連衡は仕方のないことかもしれない。

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コメント

いつも楽しく読んでいます。

アマゾンが電子書籍を安く売れるのは、アマゾン側が差額を負担しているからです。出版社側は通常の値段で卸しているのですが、アマゾン側は赤字を負担してでも戦略的に安値路線を取っているのです。

もちろん普通の会社なら考えられないことですが、ワンマン社長の強力なリーダーシップと、株式市場やVCから資金調達の道がある有力企業であるが故に取れるやり方です。

個人的には、電子書籍の廉売はアマゾンを利するのみで出版社はますます疲弊する一方だと思っているので反対です。

ただ心配は無用だとも思っています。世界でもこんな戦略が取れるのはアマゾンだけですし、日本ではとうてい無理でしょうから。

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