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« 『オリンパスOM-Dワークショップ』がワークショップになっていないことについて | トップページ | 『本人伝説』というよりも南伸坊伝説を見ながら考えたこと »

2012年9月 7日 (金)

『ロスジェネの逆襲』はロスジェネの世代間闘争は描いていません。でも、それがいいんです。

 それは別にロストジェネレーションからの逆襲ってことじゃなくて、言ってみれば銀行業務対証券会社業務の戦いを描いただけなんだけれども。

『ロスジェネの逆襲』(池井戸潤著/ダイヤモンド社/2012年6月28日刊)

 基本的にはロストジェネレーション(1970年~1982年生まれ/1993年~2005年大卒)という世代と、バブル世代(1965年~1969年生まれ/1988年~1992年大卒)の間の世代間闘争を描いたものだと思われがちであるが、実はそんな世代間闘争は意味がない、ビジネスにおける闘争はそんな世代間闘争なんて矮小なものは受け付けないものなのだ、ということを語っている作品なのである。

 バブル世代の上司・半沢が語る言葉『オレたちは新人類って呼ばれた。そう呼んでたのは、たとえば団塊の世代といわれている連中でね。世代論でいえば、その団塊の世代がバブルを作って崩壊させた張本人かも知れない。いい学校を出ていい会社に入れば安泰だというのは、いわば団塊の世代までの価値観、尺度で、彼等がそれを形骸化させた。実際に彼等は、会社にいわれるまま持ち株会なんてのに入って自社株を買い続け、家を買うときには値上がりしたその株を売却して頭金にできたわけだ。バブル世代にとって、団塊の世代は、はっきりいって敵役でね。君たちがバブル世代を疎んじているように、オレたちは団塊の世代が鬱陶しくてたまらないわけだ。だけど、団塊世代の社員だからといって、全ての人間が信用できないかというと、そんなことはない。逆に就職氷河期の社員だからといって、全て優秀かといえば、それも違う。結局、世代論なんてのは根拠がないってことさ、上が悪いからと腹を立てたところで、惨めになるのは自分だけだ』

 という言葉の通り、結局世代論でもって話をすることは問題を単純化するということではいいのかもしれないが、しかし、逆にそれは問題の「本筋」から論議を遠ざけることでしかない。要は、「世代」じゃなくて「個人」でしかないということ。「この世代はこういう考え方をする」ということじゃなくて、「Aさんはこういう考え方をする人だ」ということでしかない。

 更に言ってしまえば、ロスジェネ世代が敵にするのは、バブル世代じゃなくて、それより一つ上の団塊の世代でなければいけない。第二次世界大戦後の一番の人口ボリュームゾーンである団塊の世代に対する基本的な批判と闘いがないと、ロスジェネ世代の闘いは終わらないはずだ。つまりそれは、「ロスジェネ世代=団塊ジュニア世代」という考え方からすれば、自分の親から「財を取り返せ!」ということなのだ。もう現役を退いている団塊の世代ではあるが、いくらでも彼らの財を奪い取る方法はある。基本的にこの「対団塊の世代」に対する闘いをキチンと行わずに、「バブル世代vs.ロズジェネ世代」の闘いばかりをやっていれば、それは団塊の世代にとっては「対岸の火事」を見ながらの、自ら何もしないですむ「楽々勝利」ってことでしかない。問題は、この「団塊の世代の既得権益」を如何に剥ぐかということなのである。

 この作品でもそうなのだが、結局ロストジェネレーション世代だといっても、彼らだけではまだまだ社会経験も少なく、敵失を見つけ出す力も少ない。で、結局はバブル世代の力を借りることになるのだけれども、だったら、むしろ敵はやはりバブル世代じゃなくて団塊の世代なんだよな。そのためにバブル世代とロスジェネ世代は共闘する必要があるだろう。

 要は、敵はまさしく『いい学校を出ていい会社に入れば安泰だというのは、いわば団塊の世代までの価値観、尺度で、彼等がそれを形骸化させた』張本人なのである。言ってみれば、自分たちの世代のいいように世の中を作って(まあ、作ったのは彼らより上の世代だが)、同時に自分たちの後の世代が自分たちと同じような権益にありつけないようにバブルを崩壊させたのが、団塊の世代なのだ。

 団塊の世代の連中は、「バブルを演出し崩壊させたのは自分たちじゃない」というかもしれない。しかし、バブルの元になった「土地神話」を作ったのはまさに団塊の世代の「土地」志向なのだ。そう、戦後の基本的な日本経済はこの団塊の世代を中心にして動いてきた。つまり、日本人口のボリュームゾーンということでね。

 ということなので、ロストジェネレーション世代が「逆襲」する相手は「バブル世代」じゃなくて「団塊の世代」であることがわかっていただけただろう。そう、君達の相手はちょと違うんだぞ。

 ただし、世代間闘争と言うのはほとんど不毛である、ということだけは言っておこう。

 

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